著者:李 栄薫(編著)
日本語版書籍:『反日種族主義 日韓危機の根源』(2019年、文藝春秋)
解題
「反日種族主義」という本は2019年7月に発刊され、韓国で11万部売れ、日本では40万部を越えるベストセラーとなった。代表著者の李栄熏校長は反日種族主義とは「隣の日本を永遠の仇と捉える敵対感情である」とし民族ではなく種族と言う言葉を使った。「種族は隣人を悪の種族と見なす。客観的論議が許容されない不変の敵対感情、嘘は種族を結束させるトーテムの役割」だからだ。発刊された当時は文在寅政権下で反日政策の嵐が吹き荒れ、日韓関係が最悪となった時だった。学校の教科書はいわゆる徴用工像、慰安婦像の写真が表紙から大々的に塗装され、街もテレビ報道も何もかもが反日一色となった。朴槿恵前大統領や政権下の要人も数多く収監された後、高麗連邦が生まれかねない危機的な状況下だった。その時に救世主のごとき現れたのがこの「反日種族主義」という本である。赤化統一を防
ぐためには破綻寸前にまでいった日韓関係を取り戻すため、各地で有識者を呼びセミナーが開かれた。国民の啓蒙に韓国内の愛国保守国民はこの本を何十冊も購入し人々に配る等、必死だった。
この本の出だしである李栄熏校長のプロローグが特に衝撃的だった。「嘘をつく国民、嘘をつく政治、嘘つきの学問、嘘の裁判、反日種族主義」というタイトルだ。長年、心のなかでモヤモヤと燻り続け爆発寸前の日本人の感情を韓国の学者が見事に言ってのけてくれたことに感動した日本人も多いだろう。その中の一説をここにあげる。「この国の国民が嘘を嘘とも思わず、この国の歴史学や社会学は嘘の温床、この国の大学は嘘の製造工場」歯に衣着せぬこの文章に真実を追求する学者の良心的レベルの高さを感じてやまない。
韓国では1965年以降、小中高の学校教科書で日本の統治時代を7奪と教えてきた。その7つは国王、主権、土地、国語、姓名、命、資源だ。これをほとんどの国民はそう信じている。教科書がそうであり、ドラマ、映画がそうなので、日本人が真実を語ろうとしても客観的論議が許容されず、
感情的になる。この問題を見事に覆し、史実を資料を下に説明したのが共同著者の六名の学者だ。
韓国人は「徴用」という単語に「強制」という単語をわざわざつけ、日本軍が朝鮮人を無理やり日本に連れていき過酷な労働を強いたと思い込んでいる。この徴用工問題の嘘を覆した李宇衍氏は問題の元凶が1965年に日本の朝総連系の朝鮮大学の教員朴慶植の書いた「朝鮮人強制連行の記録」だ
と指摘し、韓国の教育界が60年間もこの本を何ら検証もせず参考にして学校の歴史教科書を作成したと明らかにした。
陸軍特別志願兵が一体どんな存在であったかを書いた元高麗大学教授の鄭安基氏は、帝国陸軍の訓練を受けた朝鮮出身の陸軍特別志願兵は日本の天皇に忠誠を誓ったからこそ独立後、大韓民国に尽忠報国でき、抜群の戦闘指揮能力をもって韓国戦争で国際共産勢力の南進を阻止することができたとした。李氏朝鮮時代にはなかった知識と技術、そして勤勉性と責任感を体得した陸軍特別志願兵出身者は第二次世界大戦後、韓国建国の重要な役割を果たしたとはっきりと主張した。またそれは同時に日本の先人たちの朝鮮統治が如何に立派であったかという証明にもなるのだ。
この本は「土地を奪い、米の収奪、命を奪い、貞操を奪った極悪非道な日本人」という一般韓国民の概念を間違いなく払拭してくれる本であり先人の名誉を回復してくれる本だ。上でも述べたが韓国では11万部を超えるベストセラーとなったが、残念なことに今現在も嘘の歴史教科書はそのまま使われ、小中高の学校の教育現場では嘘の教育が毎日なされていることを考えると韓国ではこれからもさらにこの本が普及されることを心より願ってやまない。まずはさらにもっと多くの政治家、言論人、教育者が読むべきだ。この画期的な著書「反日種族主義」を書かれた六名の先生方には心より感謝する。もう一つ欲を言えば、「植民地支配」という表現が所々に見られるが、実際日本は本当に何もかも与え尽くしたのであって、植民地とは土地を搾取し隷属させるという意味があるので、この植民地支配という言葉を他の表現に変えていただければ申し分ない本だ。
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