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書評 金柄憲著『赤い水曜日-慰安婦運動30年の嘘』(文藝春秋 2022年)
評者 国際歴史論戦研究所上席研究員 矢野義昭
掲載 Amazonレビュー

一日本人として納得できない腹立たしい日韓の懸案事項として、吉田清治という男の虚言と朝日新聞の誤報が重なり、国際問題にまで拡大してしまった、いわゆる「従軍慰安婦」問題がある。

もともと、「従軍慰安婦」という制度そのものが存在しなかった。居たのは、当時合法であった公娼制度に基づき、軍を相手に売春行為をしていた売春婦と彼女たちの抱え主の売春宿主たちである。売春婦の約半数は日本人であったが、元日本人売春婦で日本政府に対し賠償請求をし、あるいは旧軍による強制的連行を訴えた者は皆無である。

これがなぜ日韓間の重大事案にまでなったかと言えば、韓国内で反日活動を展開してきた旧挺対協、現在の正義連などの、主体思想派とも呼ばれる極左勢力の存在がある。彼らの主張は、日本側の虚言を誇張しさらに虚言を重ねた政治宣伝であることは、日本側の研究者により既に明らかになっている。

本書の特色は、そのような日本の先人に対する不当な誹謗中傷、名誉棄損に対する日本人の無念の思いを、韓国内の良心的学者の一人である国史教科書研究所の金柄憲所長が、代弁している点にある。

金柄憲氏は、本書を通じ、韓国内の極左勢力の主張が、公的証拠も物的証拠もなく、文献すら都合よく歪曲利用し、当時の実情を無視した、歴史学的検証に堪えないものであることを、当時の確実な証拠やデータに基づく論理的分析により、疑問の余地もなく実証している。

その批判の対象は、左派の主張の根拠となっている、自称「元慰安婦」たちの証言、司法府の判決文、クマラスワミ報告書、韓国教科書の記述、保坂祐二の金氏を名誉棄損で訴えた訴訟での主張など、広範多岐にわたっており、極左派の論拠のほぼすべてを網羅していると言ってよい。極左派の論拠は完膚無きまでに論破されている。

その点で、日本人として痛快と言えば痛快な書であるが、それだけに終始するならば、金氏に対して非礼であろう。金氏の思いは、このような極左勢力の虚偽の主張が、韓国ソウル中央地方裁判所の判決文の根拠とされ、歴史的事実として教科書に堂々と載せられていることへの深い憂慮にある。

金氏は文中で、「裁判官がデタラメな判決文を書き、教科書執筆者たちは誤った歴史を教科書に載せ、子供たちに間違った歴史を教えている。実に恥ずかしい。」と慨嘆している。

こんなことでは、「世界の中の韓国は「ウソつきの国」との烙印を押され、絶体絶命の危機に瀕する」ことになるとの、真の愛国者としての思いが行間から伝わってくる。

金氏は、単なる文筆家や研究者ではない。行動の人でもあり、慰安婦法廃止国民行動代表を務めている。1992年1月8日から、ソウル市内の日本大使館前で日本軍「慰安婦」問題解決のための水曜集会が毎週開かれてきた。

さらに2011年12月14日、水曜集会の千回目の日を記念して、日本大使館前の広場に「平和の少女像」という名の慰安婦像が設置された。このようにして、本書の書名となっている、「赤い水曜日」と呼ばれる、毎水曜日に慰安婦像前で開かれる極左勢力の「慰安婦」強制連行を非難する集会が慣例化されていった。

しかし、金柄憲氏は勇気ある行動に出た。この集会に対抗して二〇二一年七月十四日の千五百回目の水曜集会の当日、たった一人で反対デモを敢行したのである。その勇気と行動力には敬意を表さざるを得ない。金氏こそ、韓国人の気概と誇りを体現した、真の知識人というべきであろう。

今では、「赤い水曜日」の集会でも、金氏に賛同する人々が多数を占めるようになり、極左勢力は少数派に転落、かつての勢いを失っている。金氏とその理解者、支援者の根気強い、正義の声がようやく正当に評価される時代が来たと言えよう。

北東アジア情勢は、台湾海峡を巡る米中対立の激化、北朝鮮の相次ぐミサイル発射など、緊迫の度を加えている。今後ますます日韓、日米韓の緊密な連携が安全保障はじめ各分野で重要になっていくことは間違いがない。

そのような時代に先駆ける日韓の相互理解と信頼関係構築に向けた学術的金字塔として、本書を日韓の読者に薦めたい。

国際歴史論戦研究所上席研究員
矢野 義昭

・国連協議資格NGO 国際キャリア支援協会

UN ECOSOC Special Consultative Status NGO

International Career Support Association


・NGO iRICH 国際歴史論戦研究所

iRICH International Research Institute of Controversial Histories

執筆者:藤木俊一

日本と韓国の間で長年懸案の慰安婦問題に関して

Comfort women issue, longstanding contentious issue between Japan and the Republic of Korea.

 日本政府は、1996年1月4日にラディカ・クマラスワミ特別報告者によって国連人権委員会に提出された「女性に対する暴力とその原因及び結果に関する報告書」の附属文書1「戦時における軍事的性奴隷制問題に関する朝鮮民主主義人民共和国、大韓民国および日本への訪問調査に基づく報告書」に対する日本政府の公式な42ページに及ぶ詳細な反論を用意し提出したが、当時の国連担当の外交官が、反論することで、かえって慰安婦問題の議論を起こしかねないと懸念し、その一度出した反論書を引っ込めてしまったのである。

             The Government of Japan prepared and submitted its official 42-page detailed rebuttal to Annex 1 of the Report on "Violence against Women and Its Causes and Consequences," submitted to the United Nations Human Rights Committee by Special Rapporteur Radhika Coomaraswamy on January 4, 1996, "Report based on the visit to the Democratic People's Republic of Korea, Republic of Korea and Japan on the issue of military sexual slavery in time of war. However, a Japanese diplomat assigned to the United Nations at the time retracted his written rebuttal, fearing that doing so might provoke a debate on the comfort women issue.

 このクマラスワミ報告書に大きな影響を与えたのが、当時の日本弁護士連合会の海外調査特別委員であった戸塚悦郎弁護士である。この戸塚弁護士が、単に生活費を稼ぐ戦時売春婦であった「慰安婦」を「性奴隷」と言い換えた人物である。

 人類史上、黒人にとって最も悲惨な歴史であり、白人にとって大きな負の歴史であり、双方にとって非常に敏感な言葉である「奴隷」を用いることで、短期間に双方の注目を集める結果となった。

 そもそも、日本の歴史には奴隷制度など存在しておらず、韓国人の配偶者をもつこの戸塚悦郎弁護士は、戦時売春婦を被害者と位置づけ、事実に則さない作り話を国際社会が認識するよう国際教育開発(IDE)というNGOの名前で、1992年2月より国連でのロビー活動を開始したのである。

A major influence on the Kumaraswamy Report was Etsuro Totsuka, a lawyer who was then a member of the Japan Federation of Bar Associations' Special Committee on Overseas Investigations. He was the one who changed the term "comfort women," who were simply wartime prostitutes earning a living, to "sex slaves.

 By using the word "slave," which is the most tragic history for blacks and the most negative history for whites in human history, and a very sensitive word for both sides, he has brought attention to both sides in a short period of time.

Etsuro Totsuka, a lawyer with a Korean spouse, began lobbying the United Nations in February 1992 under the name of an NGO called "International Development for Education (IDE)" to position wartime prostitutes as victims and to make the international community aware of a fiction that is not based on fact.

 1993年5月、IDEにより元慰安婦に対する個人補償の勧告要求を元に、日本国政府に小委員会より留意事項として通達された。

 1993年7月国連人権委員会の「人権委員会差別防止・少数者保護小委員会」で「戦時奴隷制問題」の特別報告者を任命する決議が採択され、スリランカのラディカ・

クマラスワミが特別報告官に任命された。

             In May 1993, the Subcommittee notified the Government of Japan of the points to note based on the IDE's request for individual compensation for former comfort women.

  In July 1993, the United Nations Human Rights Commission's "Human Rights Commission Subcommittee on Prevention of Discrimination and Protection of Minorities" adopted a resolution to appoint a special rapporteur on the issue of wartime slavery. Sri Lankan citizen Radika Coomaraswamy was appointed as Special Rapporteur.

 日本弁護士連合会による国連ロビー活動により、戦時売春婦が「性奴隷」と言い換えられたのである。これについては、当時日弁連会長だった土屋公献も日弁連が国連において、慰安婦を「性的奴隷(Sex Slaves またはSexual Slavery)」 として扱い、国連から日本政府に補償をおこなうように働きかけたとしている。

「戦時売春婦」という言葉は、日弁連が国連でのロビー活動を通じて「性奴隷」と言い換えていた。

 日本弁護士連合会の土屋公成会長(当時)は、1995年11月16日の声明で、日弁連が国連で慰安婦を「性奴隷あるいは性奴隷」として扱い、国連を利用して日本政府に慰安婦の補償を求めるロビー活動を行ったことを記しています。

https://www.nichibenren.or.jp/document/statement/year/1995/1995_15.html

The term "Wartime Prostitutes" was paraphrased as "Sex Slaves" by the Japan Federation of Bar Associations through its lobbying activities at the United Nations.

 Kosei Tsuchiya, then president of the Japan Federation of Bar Associations, wrote in his statement on November 16, 1995, that the Japan Federation of Bar Associations treated comfort women as "Sex Slaves or Sexual Slavery" at the United Nations and used the UN to lobby for compensation from the Japanese government to the comfort women.

 この戸塚悦郎弁護士は、後に日本弁護士連合会より政治的になりすぎているということで、海外調査特別委員を解任されている。

Etsuro Totsuka was later dismissed from the Japan Federation of Bar Associations as a member of the Foreign Investigation Special Committee for being too political.

 この戸塚悦郎氏の内縁の妻は、韓国の「韓国挺身隊問題対策協議会」(現在の日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)のメンバーである北朝鮮傘下の朝鮮総連の元幹部と日本人妻の間に生まれた山下英愛(崔英愛)氏である。

 また、この慰安婦問題を歪曲し朝日新聞にいくつもの記事を書いた当時の記者である植村隆氏の配偶者も、詐欺容疑で2011年12月に韓国当局により逮捕された「太平洋戦争犠牲者遺族会」の当時会長の梁順任(ヤン・スニム)の娘である

 この朝日新聞の当時の記者である植村隆氏は、2021年3月に日本の最高裁判所の判決において、『植村氏が取材で、女性がだまされて慰安婦になったと聞きながら「日本軍により戦場に連行され、慰安婦にさせられた」と報じた』と認定している。これは、事実と違うことをこの植村隆記者が新聞に書いたということになる。しかし、新聞の影響力は強く、業者によって騙された女性が、日本軍により連行させられたとの謝った認識が世界中に広がり、国連の特別報告者までもがそれを信じるに至ったのである。

Etsuro Totsuka's common-law wife is Yamashita Yeong-ae (Choi Yeong-ae), born to a Japanese mother married to a man who was a former senior official of the North Korea-affiliated the General Association of Korean Residents in Japan (Chongryon).  Yamashita is a member of the South Korean Council for Measures Against the Korean Paratroopers (now Justice Memory Solidarity for the Resolution of the Japanese Military Sexual Slavery Issue).

 The spouse of Takashi Uemura, a reporter at the time who distorted the comfort women issue and wrote several articles for the Asahi Newspaper, is also the daughter of Yang Soon-im, then president of the Bereaved Families Association of Victims of the Pacific War, who was arrested by the South Korean authorities in December 2011 on charges of fraud.

 This then Asahi Shimbun reporter, Takashi Uemura, was found by the Japanese Supreme Court in its March 2021 ruling to have reported “in his interviews that women were taken to the battlefield and made to become comfort women by the Japanese military" while hearing that they had been tricked into becoming comfort women by brokers.

 This means that this Asahi Newspaper reporter, Takashi Uemura, wrote something in the newspaper that was not true. However, the influence of the newspaper was so strong that the false perception spread around the world, and even the UN Special Rapporteur came to believe it.

 日本弁護士連合会とは、日本で弁護士活動を行うために、全ての弁護士が「強制加入」させられる利権組織で、その中の一部の政治的な思想を強く持つ弁護士らのみがNGOを組織しているに過ぎず、日本弁護士連合会に所属する弁護士の総意ではない。そもそも、弁護士が政治的な思想で行動することこそがその使命に反する行いであり、所属する弁護士らが、この日本弁護士連合会の名前を使って、いかにも日本の弁護士の総意であるかのごとく振る舞い、国連で活動しているに過ぎない。

The Japan Federation of Bar Associations is a special interest organization that all lawyers are "forced" to join in order to practice law in Japan, and only a small group of lawyers with strong political views have organized an NGO, which is not the consensus of the lawyers who belong to the Japan Federation of Bar Associations. In the first place, it is against the mission of lawyers to act on political ideas, and the lawyers belonging to the NGO are only using the name of the Japan Federation of Bar Associations to act as if they are the consensus of all lawyers in Japan and are working at the United Nations.

 そもそも、この慰安婦問題とは、日本軍に委託された民間業者が高額の前借り金と引き換えに売春婦を募集し、当時は日本の統治下にあった朝鮮半島、その他の貧困に苦しむ家族や女性たちが応募したものである。中には、親と相談の上、慰安婦になることを決意したものや、親に売られたもの、民間業者による甘言に乗せられた女性がいたことは否めない。しかし、日本国政府または、日本軍による組織的な強制連行などはそのシステム上あり得ないことは、様々な当時の資料によって明らかである。

In the first place, the issue of comfort women was one in which private contractors outsourced by the Japanese military recruited prostitutes in exchange for a huge advanced payment, and families and women suffering from poverty on the Korean Peninsula and elsewhere under Japanese rule at the time applied for the job.

It is undeniable that some of these women decided to become comfort women after consulting with their parents, others were sold by their parents, and still others were naively persuaded by private brokers. However, it is clear from various documents of the time that there was no such thing as systematic forced enrollment by the Japanese government or the Japanese military in system.

 一方、日本軍が強制連行して性奴隷にしたとする側は、自らの主張に一貫性がないことを指摘されると、「日本軍が証拠を隠滅するために焼却処分にした」と、様々な創作話を事実として喧伝していったのである。

 また、彼等が証拠とする文章には、日本国の当時の募集に関する公文書などが存在するが、自らの主張に都合の悪い部分は隠蔽し、都合のよい部分を歪曲させて証拠であるとしているに過ぎない。

On the other hand, when we pointed out the inconsistency of their claims, the organizations and groups that claimed that the Japanese military had forced them into sexual slavery propagated various invented stories as facts, claiming that the Japanese military had burned the evidence to destroy it.

 In addition, the texts they use as evidence include the official documents of the Japanese government regarding recruitment at the time, but they simply hide the parts that are inconvenient for their claims and distort the parts that are convenient to them, claiming them as evidence.

 これを見ても、「日本軍が証拠を隠滅するために証拠を焼却処分にした」といいつつも、自らがその証拠が存在することを示しているが、これらの矛楯していることは意に介さないのである。

This shows that while they say that the Japanese military incinerated the evidence to destroy the evidence, they themselves have shown that the evidence exists. They do not care about these contradictions.

 この日弁連NGOは、韓国の韓国挺身隊問題対策協議会(現在は日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯)と、密接な関係を持っている。

 しかし、この「挺身隊」とは、国際法に照らしても合法である「勤労奉仕団体」である。

「女子挺身隊」が日本内地で結成されたのは、終戦間際の1944年8月の女子挺身勤労令においてである。また、朝鮮半島においては、官斡旋による「募集」であり、強制性は一切なかったのは、その法令の内容を見ても明らかである。

 要するに、韓国では「慰安婦」と「挺身隊」の区別すらわからず、また、その仕事の内用すら分からずに「韓国挺身隊問題対策協議会」なる組織を作ったのである。

The Japan Federation of Bar Associations NGO has a close relationship with the Korean Council for the Korean Volunteer Corps Issue (currently the Justice and Memory Solidarity to Solve the Issue of Japanese Military Sexual Slavery).

However, this "volunteer corps" is a "labor service organization" that is legal even in light of international law.

The Women's Volunteer Corps was formed in Japan in August 1944, just before the end of the war, when the Women's Volunteer Work Ordinance was issued. In addition, it is clear from the contents of the law that in the Korean peninsula, recruitment was done through official mediation and there was absolutely no coercion.

In short, South Korea did not even know the difference between "comfort women" and the "volunteer corps," and did not even understand the internal use of the work, and created an organization called the "Korea Council for Measures against the Issue of the Volunteer Corps."

 2020年5月25日には、韓国挺身隊問題対策協議会の広告塔でもあった自称元慰安婦である李容洙(イ・ヨンス)氏が、この団体に「利用され騙されてきた」「挺対協が慰安婦を利用したことは絶対に許せない」との記者会見を行った。

On May 25, 2020, Lee Yong Soo, a self-proclaimed former comfort woman who was also a billboard for the Korean Council for measure of Volunteer Corps Issue held a press conference, expressing her belief that she had been "used and deceived" by this organization and "I will never forgive the Korean Council for measure of Volunteer Corps Issue for using comfort women.”

 李容洙氏は、この記者会見で、この団体の当時の理事長で、現在は韓国の国会議員である尹美香(ユン・ミヒャン)に対して、「必ず罪に問われ、罰せられなければならない」「私利私欲を満たした」「30年間も利用され、だまされてきた」「慰安婦を利用した。私を裏切って、国民を裏切って、全世界の人々を裏切ってだました」と発言した。

 元慰安婦を「性奴隷」と主張し、旧日本軍による被害を訴える運動のやり方にも「どうして私が性奴隷なのか。とんでもない話だ」と怒りをあらわにしていた。

 これに対し、尹美香氏は、30年間広告塔として寄付金集めに利用してきた李容洙氏を、実際は慰安婦ではなかったと言っている。

At this press conference, Lee Yong Soo said about Yoon Mi-hyang, then president of this organization and now a member of the South Korean National Assembly, "She need to be charged with crimes she has committed and punished," "she had fulfilled her personal interests by cheating us for 30 years," "She had used comfort women. She betrayed me, betrayed the people, betrayed and deceived the whole world," she said.

She also expressed her anger at the way the campaign has been conducted that claims that former comfort women were "sex slaves" and the damage was caused by the former Japanese military. She angrily said, "Why am I a sex slave? It is an outrageous story."

 In contrast, Yoon Mi-hyang that Lee Yong Soo, whom she has used as a poster woman for 30 years to raise donations, was not actually a comfort woman.

  この尹美香氏は、自称元慰安婦を利用した寄付金詐欺を行い、その寄付金で5件の豪邸を建てるなどしてきたとして、現在、韓国検察が懲役5年の求刑を行っており、裁判中である。

 慰安婦に対する支援金が集まることに味を占めた韓国挺身隊問題対策協議会の尹美香氏は、慰安婦の発言などを歪曲し、悲惨に聞こえるように物語を作っていったのである。その内容が想像を絶するほどの悲惨な内容だったので、マスコミなどもこぞって記事として取り上げていった。

Yoon Mi-hyang has been accused of using self-proclaimed former comfort women to collect a donation fund and building five mansions with their donations, and is currently on trial with South Korean prosecutors seeking a five-year prison sentence.

 She, a former leader of the Korean Council for Measure of Volunteer Corps Issue, had gotten a taste of the support money raised for the comfort women, distorted the women's statements and created a story to make them sound miserable. The content of the story was unimaginably tragic, and the mass media picked up on it.

  このように慰安婦問題とは、日本の一部の韓国人配偶者を持つ弁護士や新聞記者らによって創造され、その後に韓国内のいくつかの利権団体、日本の利権団体らによって捏造され続けたものであり、日本政府が行った本格的な調査からも、国や軍による強制を示す証拠は一切見つかっていない。

Thus, the comfort women issue was created by some Japanese lawyers and newspaper reporters with Korean spouses, and subsequently continued to be fabricated by several interest groups in Korea and Japan, and no evidence of coercion by the state or the military has been found even from a full-scale investigation conducted by the Japanese government.

 しかし、日本政府の当時官房長官であった河野洋平氏は、韓国政府の意のままに談話を発表した。これが、河野談話と呼ばれる慰安婦問題に言及した最初の談話であった。

 日本には、日本国内で日本人の間では通用する「本音建前」という民族的文化がある。

日本人は争いをこのまない。このため、物事が悪化傾向にある場合、自らが間違っていない、悪いと考えていない場合であっても、謝罪することでその場を納めようとする民族的性質がある。

However, Yohei Kono, then Chief Cabinet Secretary of the Japanese government, issued a statement at the behest of the South Korean government. This was the first statement that referred to the comfort women issue, known as the Kono Statement.

There is a national culture of "honne tatemae (one`s true feeling and one`s official stand)" that prevails in Japan and among Japanese people. The Japanese do not like conflict. Therefore, when things are going downhill, they tend to try to settle the situation or calm the situation by apologizing, even if they are not in the wrong and do not think they are in the wrong.

 また、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」ということわざがある。

これは、偉くなればなるほど、低姿勢になるというもので、日本国内では善行とされている行いの1つである。

 この国内でしか通用しない方法を用いた当時の日本政府の幼稚な外交が、現在の慰安婦問題を創ったと言っても過言ではない。

In addition, there is a proverb that says, ``The more the rice grows, the more it bows its head.''

This is one of the behaviors that are regarded as good deeds in Japan, as they say, "The higher your status, the more humble you should be."  It is no exaggeration to say that the naive diplomacy of the Japanese government at the time, which used methods that were only applicable domestically, created the current comfort women issue.

 日本政府は、この「河野談話を踏襲する」と歴代の内閣が言い続けているが、閣議において「慰安婦問題では軍や官憲による強制連行はない」「従軍慰安婦という名称は間違っている。慰安婦は軍属ではない」という決議を複数回行っている。

  国連の人権理事会、その他の条約体委員会の会合、国際社会においても、この日本政府の矛楯が繰り返し指摘されているが、日本政府は一向にその矛楯を正そうとしておらず、それが日本政府に対する不信感となっているのである。さらに、それは日本国民の国際社会における信用を著しく毀損しており、この日本政府の矛楯が、日本人への人権侵害へと発展しているのである。

While successive Japanese government cabinets have said that they will follow the Kono Statement, the Japanese government has subsequently passed resolutions at cabinet meetings stating that "there is no forced recruitment by the military or officials in the comfort women issue," and "the name 'military comfort women' is incorrect.”  The cabinet has passed several resolutions stating that "comfort women are not members of the military.” These contradictions of the Japanese government have been repeatedly pointed out at the UN Human Rights Council, other treaty body committee meetings, and in the international community, but the Japanese government has made no attempt to correct these contradictions, which has led to distrust of the Japanese government. Furthermore, it has seriously damaged the credibility of the Japanese people in the international community, and this contradiction of the Japanese government has developed into a violation of the human rights of the Japanese people.

 慰安婦問題、徴用工問題に関するロビー活動を行っている団体やNGOは、ほぼ同一である。これらの詐欺的行為を白日の下にさらすために、1951年より14年の歳月を掛けて日韓両国が国交回復のために努力し、1965年に結んだ「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約」「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」(略称:大韓民国との請求権・経済協力協定)に関して国際社会への更なる説明と、「大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行」に関しても、韓国に対して、法と秩序に基づく履行をさらに強く要求すべきである。

Groups and NGOs who are engaging in lobbying activities for comfort women issues and forced laborers issue are almost the same. Japan and South Korea made every effort for 14years since 1951 to normalize the relationship between the two nations and concluded the following: “Treaty on Basic Relations between Japan and the Republic of Korea” and “Agreement Between Japan and the Republic of Korea Concerning the Settlement of Problems in Regard to Property and Claims and Economic Cooperation.” The Japanese government needs to explain that treaty and agreement further to the international community in order to expose the fraudulent acts of the groups and NGOs.  Further, Japan should demand South Korea to comply based on the law and the order regarding “Failure of the Republic of Korea to comply with obligations regarding arbitration under the Agreement.”

 この1965年に結ばれた「大韓民国との請求権・経済協力協定」において、日本政府は韓国に対して有償・無償・技術供与で合計8億ドル(当時の韓国の国家予算の2倍以上の額)を支出しており、さらに、韓国国内に残している50億ドルを優に超える設備や財産を韓国に無償提供している。

Based on the above agreement with the Republic of Korea which was concluded in 1965, the Japanese government spent 800 million dollars (more than twice the national budget of South Korea at that time) for South Korea and provided equipment and property, free of charge, to South Korea, which were left in the country and was worth more than 5 billion dollars.

 しかし、韓国政府はこれら日本政府からの援助や未払い金を、権利のある国民に分配せずに時の朴正熙大統領が、自国のインフラ整備のために使ったのである。

 よって、未払い賃金などの請求権をもつ国民へその賃金が支払われなかったことが、この慰安婦問題や徴用工問題という日本と韓国の間の問題に発展しているのである。

However, the South Korean government under President Park Chung-hee used the money for the country’s infrastructure development instead of paying it to its people for compensation. The fact that Japanese support was not used for unpaid compensation of people has developed to the problem of comfort women and forced laborers between the two nations. 

 我々、国際キャリア支援協会は、国連人権理事会に対して以下の勧告を日本政府に対して行うように要請する。

We, International Career Support Association, would like to ask the United Nations Human Rights Council to demand the Japanese government to do the following:

1. 慰安婦問題における日本政府の矛楯を解決するために河野官房長官談話を破棄しろ。

  1. To vacate the Kono statement in order to solve the contradiction of the Japanese government regarding the comfort women issue.

2. 日本政府は、1996年に一度、国連人権委員会に提出し引っ込めた慰安婦問題に関

する日本政府の反論書を国連人権理事会および、各条約体委員会宛に提出せよ。

  • To submit the rebuttal paper regarding the comfort women issue, which the Japanese government prepared but did not submit in 1996, to the UNHRC and other treaty committees.

3. 日本政府は、日本国内外における日本人の人権を考慮し、慰安婦問題の誤解を解くことに注力せよ。

  • To make every effort to solve the misunderstanding of the comfort women issue in order to protect human rights for the Japanese people domestically and internationally.

4.日本政府は、韓国政府による一方的な1965年に締結した「大韓民国との請求権・経済協力協定」に対する違反や、2015年の慰安婦問題解決のための日韓合意など、度重なる国際法違反に対して断固として国際社会に訴え、情治国家である韓国を法治国家として導く努力をするべきである。

  • To appeal to the international community the violation of the South Korean government regarding the agreement concluded in 1965 as well as the agreement of 2015 regarding the comfort women issue. South Korea has been repeatedly violating international law because the country is governed by people’s feeling not by the law. 

また、人権理事会は、様々な意図をもった活動家や弁護士、新聞記者、著述家などによって捏造された内容を元にして書かれたクマラスワミ特別報告者による報告書、マクドゥーガル特別報告者による報告書を再度、事実と照合し、日本へ慰安婦問題を再調査する特別報告者を送るように要請する。これにより、慰安婦問題の嘘が暴かれ、事実が見えてくると考える。

We also request the UNHRC to send Japan another special rapporteur to reinvestigate the comfort women issue based on fact.  Both the Coomaraswamy Report and McDougall Report were written based on the fabrication of activists, lawyers, journalists, novelists, etc., who have their own agenda to fabricate the comfort women issue. We hope that conducting an investigation based on facts, the lies of the comfort women issues will be revealed and the truth will come out.

 ソウルの日本大使館前に慰安婦像なるものが建立されている。これは、ウイーン条約違反である。さらに韓国内には、様々な地域に100体以上建立されており、米国やその他の国にも慰安婦像を建立している。韓国の女子小学生への「将来何になりたいですか?」というインタビューにおいて、「慰安婦になりたい」との回答まである。これは、子どもに対する人権侵害でもある。

There is a comfort woman statue in front of the Japanese Embassy in Seoul, which is a clear violation of the Vienna Convention. Further, there are more than 100 statues all over the country, and they have been building statues in the US and other countries. Some Korean elementary school girls answer, “I want to be a comfort woman,” in response to a question, “What do you want to be in the future?” Such an indoctrination is even a human rights violation against children.

 慰安婦問題は、北朝鮮による日本と韓国の分断工作であることは、韓国の歴史教科書の研究者である金柄憲氏や米国のハーバード大学ロースクールのジョン・マーク・ラムザイヤー教授(John Mark Ramseyer)などの論文からも理解できる。

Based on the reports written by Kim Byung heon, who is a researcher of history textbooks of South Korea, and Professor John Mark Ramseyer of Harvard University Law School in the US, it is clear that the comfort women issue is the maneuver by North Korea to divide Japan and South Korea.

 国連人権理事会には、勇気をもってこれらの真相を究明する義務があり、これ以上の日本国民への人権侵害に加担すべきではない。 We think that the UNHRC has a duty to investigate this matter and not to be involved in the violation of human rights against Japanese people anymore.

発言者:国際歴史論戦研究所 上席研究員 藤木俊一

iRICH国際歴史論戦研究所と国連経済社会理事会の協議資格を有する国際キャリア支援協会の協力の下に国際歴史論戦研究所の藤木上席研究員が、2023年3月23日に国連欧州本部で行われた第52会期国連人権理事会の「理事会が特に注目すべき人権問題」として、中国政府による様々な人権蹂躙に関して発言をし、人権理事会に勧告を求めました。 発言内容は以下の通りです。 発言の英文は、日本語訳の下にあります。


第52会期国連人権理事会 発言日:2023年3月23日(会期2023年2月27日~4月1日)

【発言:日本語訳】

議長、有り難う御座います。

中国は、10人の日本人ビジネスマンをスパイ容疑で拘束していますが、一切の詳細は明らかにしていません。これは、「人質外交」であり、明らかな「人権侵害」です。

更に、この人権理事会に来る中国の人権状況を批判するNGOの情報を前もって理事会より得て、その家族などへ脅迫をするなどの行為は深刻な「人権蹂躙」です。

昨年、高等弁務官より中国のウイグルに関するレポートが提出されました。

ウイグル人およびその他のイスラム系少数民族に対する大規模な「恣意的自由剥奪」、「拷問」、「性的・性別を基にした暴力」に関する信頼できる訴えを含め、中国が新疆で行った「深刻な虐待」が記されていました。

議長、何百万人ものウイグル人達は何か罪を犯したのでしょうか?

さらに中国がパキスタンの一部で開発をしている「中パ経済回廊」においてその地域の住民たちが強制移住させられ、拷問に遭い、殺害されているのです。特にバローチスタン人達は、ジェノサイドの被害に遭っています。

議長、バローチスタン人達は何か罪を犯したのでしょうか?

人権理事会には、これらの被害に遭いやすい少数民族や女性、子供を勇気を持って守る使命があります。

我々は人権理事会に対して中国政府に以下の勧告を出すように要請します。

1.速やかに日本人10名釈放し、政治目的で人質に取るのを即座にやめよ。

2.新疆ウイグル自治区の強制収容所に収容されている全ての人々を即時解放せよ。

3.バローチスタンで、中国とパキスタンが共謀して行っているジェノサイドをすぐにやめ、この地域の住民の人権、生命を守れ。

議長、ご清聴有り難う御座いました。

【発言:原文(英語)】

52nd United Nations Human Rights Council “Item4” Oral Statement

Submitted by: International Career Support Association

Speaker: Shunichi FUJIKI

Thank you, Mr. President,

China has detained 10 Japanese businessmen on suspicion of espionage, but has not disclosed any details. This is hostage diplomacy and a clear violation of human rights.

Furthermore, China has obtained information from this Council in advance about NGOs that criticize China, and has threatened the families of those NGO members, which is a grave violation of human rights.

Last year’s the High Commissioner report on Uyghurs in China described serious abuses committed by China in Xinjiang, including massive arbitrary deprivations of liberty against Uyghurs and members of other Muslim minorities, as well as credible allegations of torture, sexual and gender-based violence.

Mr. President, have millions of Uyghurs committed any crimes?

Furthermore, in the China-Pakistani Economic Corridor, which China is developing in parts of Pakistan, the inhabitants are forcibly removed from the region, tortured and killed especially Baloch people, have been victimized of genocide as well.

Mr. President, have Baloch people committed any crimes?

The Human Rights Council has a mandate to courageously defend these vulnerable minorities, women and children.

We urge this Council to issue the following recommendations to the Chinese government.

1. Immediately release the 10 Japanese nationals and stop taking hostage for political purposes.

2. Immediately release all people held in concentration camps in Xinjiang.

3. Immediately stop the genocide being carried out in Balochistan with the complicity of China, Pakistan, and protect the human rights and lives of the people in the region.

Thank you for your attention, Mr. President

<参照サイト>

52nd Regular Session of Human Rights Council

23 March 2023

Item:4 General Debate (Cont'd) - 39th meeting, 52nd Regular Session of Human Rights Council

アイテム4 一般討論 特に国連人権理事会が注目すべき人権問題 第52会期国連人権理事会39会合

1:55:48~International Career Support Association 国際キャリア支援協会

https://media.un.org/en/asset/k1o/k1osfrwgui?kalturaStartTime=6948

【日本語版】https://i-rich.org/?p=1406

Kuno Jun, Guest Fellow, Associate Professor, Japan University of Economics

It has been already a year since Russia invaded Ukraine. During all this time, I have been consistently expressing my view at every opportunity as a scholar of modern history. The point in question is not to decide which side is in the right, but to use this occasion to start a serious discussion, based on history, about what we should do for the interest of our country.

Being “based on history” does not mean that we can ignore what is going on at present. Even today, the Japanese Northern Territories and the Chishima Islands (Kuril Islands) are still illegally occupied by Russia. Making things straight, let me explain that the four northern islands of Etorofu, Kunashiri, Habomai and Shikotan were unlawfully occupied by the Russian Army after the end of the Greater East Asian War. The Kuril Islands legally became Japanese territory by the treaty of exchange between Sakhalin and Kuril concluded in 1875 and South Sakhalin legally became Japanese territory, following the Portsmouth Peace Treaty in 1905. In addition to the Russian illegal invasion, the issue of the detention of Japanese prisoners of war in Siberia after World War II remains unsettled, without any apology nor compensation for the illegal detention on the part of the Soviet Union/ Russia in the postwar years. In other words, Russia has been violating Japan’s sovereignty to this day, ignoring the act of violation of Japan’s sovereignty in the not so distant past by the Soviet Union, from which Russia inherited the status as a legal state. (Further back in the past, before the modern period, there was an incident of Russian invasion (1806-07), which is not to be mentioned any further here.)

While it is natural that there are many varying views and assertions when it comes to diplomatic dealing with Russia, it goes without saying that it is indispensable to recognize the historical facts and the present situation in order to consider any realistic policy toward Russia. And in order to affirm Japan’s international position that Japan will protect its national interests from now on and will not allow Russia to commit any further oppressive acts, it is our country’s duty to inform the international community of the violation of other countries’ sovereignty on the part of Russia. We cannot help but admit that the Japanese government in the postwar years failed to make any serious efforts to convey the historical facts even domestically in Japan.

Speaking of my personal experience, at an elementary school I attended in Nara Prefecture they taught social class using a sub-textbook titled “Living in Nara Prefecture.” I clearly remember that the textbook said, “Totsukawa Village (located in Nara Prefecture) is the largest village in Japan.” Certainly, this description is right in view of the data available then about the ranking of municipal areas. In fact, however, villages like Rubetsu, Shana and Shibetoro in Etorofu Island and Yorubetsu in Kunashiri Island are bigger in area. The author of the textbook may have had no malicious intention, but the fact that textbook publishers continue to use such false description and that public education continues to use such textbooks with wrong information makes me wonder whether similar flawed approach is adequate with respect to the protection of our country’s territories. On the other hand, seen from the Soviet Union/ Russia’s perspective, such passivity may create the impression that Japan has no intention to recover its territories unlawfully occupied by another country. I came to be closely interested in the territorial issue in later years, not through school education or forced hard work for the entrance examination, but through study out of my own interest.

As of the Russian invasion of Ukraine this time, first of all, it is naturally important to stand resolutely with the international community against the violent and lawless Russian invasion. Essentially, now that Russia is in a predicament due to difficulties in winning the war and it spends huge amounts of resources in military actions, it is a good opportunity for Japan to retrieve its Northern Territories and the Kuril Islands or at least to lay the foundation for the retrieve. This may sound a little bit indiscreet. However, have peaceful measures taken at peaceful times been ever successful in moving forward the process of retrieving our land so far? Of course, the Japanese Government is not solely to blame for the failure due to its tactlessness, but another big issue is also general public’s lack of awareness or historical recognition of the situation. I do not totally deny the importance of economic aid and human exchanges. However, after all those ineffective efforts on the part of Japan, for nearly eighty years, part of Japan has been lost. Japan must be determined, once and for all, to change its thinking and tactics.

And one more thing to worry about is that there are those who loudly speak for Russia among conservatives, yet they should raise their voices to defend the national interests. In other words, some argue that President Biden is to blame for the outbreak of the Ukrainian War, criticizing political corruption and diplomatic blunders on the part of Ukraine, while putting President Putin’s aggressive acts in relative perspective. In such arguments, actors like American Deep State (Dark Government) appear often and some even seem to collaborate with speakers who usually regard prewar Japan as “evil.” Of course, such arguments did not suddenly appear last year, but there had been already prototypical believers, saying “To criticize Russia over the Northern Territories issue is exactly what the United States wants, trying to prevent Russo-Japanese cooperation.” However, I cannot help but wonder if such argument is beneficial to Japan’s national interest or it can be helpful in promoting the retrieve of the Northern Territories.

I am not pro-America at all. When I was in elementary school, I was taught by a private tutor that “the attack on Pearl Harbor might have been a plot by the United States.” Around that time, I witnessed with my own eyes incidents of the U.S. pressure on its free importing issue. Ever since then, I have been sheerly doubtful about the United States policies. And at the International Military Tribunal for Far East a.k.a. Tokyo Trials led by the United States (although it was partly influenced by a non-dominant faction of the US), many innocent Japanese were executed, which I can never forgive emotionally.

I cannot agree with either the idea of vindicating Russia or the “Deep State” theory. There is no definite proof that “it was entirely the doing of the Biden Administration from scratch,” and I don’t think it is good for the Japanese to believe such a story. As I mentioned earlier, I do not believe in the United States, but I do feel it necessary for Japan to do the minimal duty when it comes to the U.S.-Japan alliance. If not, no decent country would agree to build an alliance with Japan. Of course, through such a process (including international intelligence war), it is necessary to obtain the support of the international opinion, and there is no probability that sympathizing with Putin as things are now should lead to it.

In the modern history of our country, there always has been temptation toward an “anti-American” impulse, especially after the Soviet Union was established through the Russian Revolution. The Soviet Union and the communist power, which were the true enemies of Japan, conspired to alienate Japan from the United States for their own survival. It worked, up until the conclusion of the Anti-Comintern Pact between Japan, Germany and Italy (1937), but after signing the Tripartite Pact between Germany, Italy and Japan plus the Soviet-Japanese Neutrality Pact (1941), the policy against communism was practically abandoned. The failure of the Japanese diplomacy at that time was not militarism but that Japan entered the war against the United States and Britain at the most suitable timing and following the most suitable composition for the Soviet Union, believing in the Soviet Union, a communist state. Consequently, the neutrality pact with Japan was abandoned by the Soviet Union, whom Japan expected to become arbitrator immediately before the end of the war, instead, it invaded Japanese territories without any provocation. And the Soviet aggression continued after the war officially ended. Thus, Japan’s Northern Territories remain unreturned at present. Japan of the Reiwa era must not forget the history of bitter betrayal by the Soviet Union. The issue of returning Japanese territories unlawfully occupied by Soviet Union must not be slighted. After the Greater East Asian War ended, the unit under the command of Higuchi Kiichiro of the Fifth Area Army courageously fought against the dominant Russian Army in Shumushu Island in the northernmost end of the Kuril Islands and all the surviving officers and soldiers were harshly detained in Siberia and thus saved Hokkaido through their courage and sacrifice. Japan must not nullify their gallant fight and sacrificial efforts. In the advent of the tragic invasion of Ukraine, although I am not at all hoping the conflict to last much longer nor victims’ number to further increase, we must do all that we can to solve the territorial issue, which still has not been resolved. This attempt is not Japan’s ill-willed revenge against the unlawful invasion of the Soviet Union committed 78 years ago, taking advantage of Japan’s worst predicament at that time. This is a good opportunity for Japan to make Russia, which has been historically menacing peace and to which the right opinion of the international community seems to mean nothing, recognize the right opinion, based on history, in cooperation with other countries concerned. The Japanese Government should appeal to the world for the solution of the urgent issue of returning the Japanese Northern Territories, explaining how it happened in the first place, following the Ukraine problem.

【英語版】https://i-rich.org/?p=1410

国際歴史論戦研究所ゲスト・フェロー 日本経済大学准教授 久野 潤

 ロシアがウクライナへ侵攻してから、早や1年が経った。この間、近代史研究者の一人として、私はあらゆる場で一貫して主張してきたつもりである。両国のうちどちらが正しいかという話よりも、この機会に歴史を踏まえて我が国の国益のために何をすべきかを真剣に議論すべきだと。

 「歴史を」というのは、なにも現状を無視していいという意味ではない。現状としても、我が国は自国領である北方領土や千島列島をロシアに不法占拠されたままである。念のために説明すれば、北方四島(択捉・国後・歯舞・色丹)が大東亜戦争停戦後にソ連軍により不法侵攻および占領されたものであるのに対して、千島列島は明治8年(1875)の樺太・千島交換条約により、さらに南樺太も明治38年(1905)のポーツマス条約により、合法的に日本領となったものである。その不法侵攻に加え、シベリア抑留問題についても、戦後ソ連―ロシア側から不法拘束に対して謝罪も賠償も無いままである。すなわちロシアという国は、我が国に対して現今においても主権侵害を続けており、また法的地位を継承したソ連による遠くない過去の主権侵害を頬かむりしているのである。(さらに近代以前の侵略行為である文化露寇(1806~07)などもあるが、ここでは取り上げない)

 対ロ外交についてさまざまな意見・主張はあっていいのだが、ロシアに対する現実的な政策を考えるうえで、こうした史実や現状を認識することが不可欠であることは言うまでもない。そして、我が国の将来にわたる国益を守り、彼の国のこれ以上の横暴を認めないという国際的立場を示すためにも、ロシアによる主権侵害の事実を広く国際社会に周知する義務が日本政府にはある。否、戦後の日本政府には、それを国内的にすら周知させる最低限の努力が足りていなかったと言わざるを得ない。

 個人的経験を述べると、筆者が通っていた奈良県下の小学校では、社会科の授業で教科書と併せて『奈良県のくらし』という副読本が使用されていた。今でも憶えているのは、その中で「(奈良県に所在する)十津川村は日本でいちばん大きな村」と書かれていたことである。確かに、市販のデータブックなどで市町村面積ランキングを見る限りでは、そのように見なすのも已むを得ないかもしれない。しかし実際は、択捉島内の留別(るべつ)村・紗那(しゃな)村・蘂取(しべとろ)村、そして国後島内の留夜別(るよべつ)村が十津川村よりも大きな面積を有しているのである。執筆者に悪意は無いかもしれないが、教材出版社がそのような記述を続けること、そして公教育の場でそのような記述の副読本を使用し続けることは、我が国の領土を守るという観点からは如何なものか。逆に、ソ連―ロシア側から見れば、日本側が「不法占拠されている領土を取り戻す意思はありません」と宣言しているに等しい。筆者が後に領土問題に強い関心を抱くようになったのは、学校教育や受験勉強によるものではなく、やはり独学によるものである。

 そして、今般のロシアによるウクライナ侵攻に対しては、その「深層」究明の前に、まずもってロシアの不法侵攻に対して国際社会と共に毅然たる態度をとるのが当然であろう。さらに本来であれば、ロシアがウクライナとの戦争終結に手間取り、軍事力など莫大なリソースが割かれている現状は、北方領土や千島列島を取り戻す、少なくともその布石を打つべき機会でもある。いささか不謹慎な物言いに聞こえるかもしれないが、ではこれまで平時に平和的な手段で、少しでも領土奪還のプロセスが進んだと言えるだろうか。これはもちろん、政府だけが無為無策だというのではなく、一般国民の問題意識や歴史認識にも関わる大問題である。筆者も、経済援助や人的交流を全否定するものではない。しかし、そうした日本側の努力を経ても、80年近くにわたり領土が奪われている状況が変わらないのであれば、日本側も腹をくくって考え方ややり方を変えなければならない。

 そしてもう一つ残念なのは、こうした国益を守るために声を挙げるべきいわゆる保守層の中に、少なからずロシア擁護論を唱える論客が存在することである。言い方を変えれば、ウクライナの政治腐敗や外交失策を批判し、プーチン大統領の侵略行為を相対化したうえで、戦争発生の原因をバイデン大統領などに帰する議論である。そうした議論にはしばしば、アメリカの「ディープステート」(闇の政府)なるアクターも登場し、普段は戦前の日本を「悪」と見なすような思想をもつ論者と共闘するかのような様相さえ呈している。もっとも、こうした議論は昨年から突如出現したものではなく、たとえば「北方領土問題でロシアを批判するのは、日ロ提携を妨げようとするアメリカの思うツボだ」といったプロトタイプが存在した。しかし、こうした議論が果たして日本の国益に寄与するのか、あるいは北方領土奪還を進めるうえで何かしらのステップになり得るのか。

 かく述べる筆者は、決して「親米派」ではない。小学生時分に「真珠湾攻撃はアメリカによる陰謀かもしれない」と学習塾の先生に教わり、同時期にアメリカの圧力による輸入自由化問題などを目の当たりにしてから、アメリカという国の政策には一貫して強い疑念をもっている。そして、(主流派でない勢力が策動した一面があるとはいえ)アメリカ主導による極東国際軍事裁判、いわゆる東京裁判で無実の日本人多数が処刑されたことは心情的には断じて許せない。

 そんな筆者でも、ロシア擁護論や「ディープステート」論にはとうてい与する気にはなれない。「バイデン政権が最初からすべて仕組んでいた」という主張の確たる証拠もなければ、そのように思い込むことが日本人にとって得策でもないからである。前述のようにアメリカという国を信用しない筆者も、日米同盟について日本側も最低限の義理を果たす必要を感じている。でなければ、仮に将来日米安保条約が解消されたとして、その次にまともな国が同盟を結んでくれないのではないか。もちろん、こうした過程で(国際的な情報戦も含めて)国際世論の理解を求める必要もあるので、現今の事態でプーチンに心を寄せることがそれにつながることは無いであろう。

 我が国の近現代史においては、特にロシア革命によるソ連成立後、常に「反米」衝動への誘惑があった。日本の本当の敵であったソ連や共産主義勢力は、自らの生き残りを賭けて日米離間をけしかけた。日独伊防共協定まではよかったが、日独伊三国同盟(1937)+日ソ中立条約(1941)により防共国策が実質的に放棄されてしまった。往時の日本外交の失敗は、軍国主義などではなく、ソ連という共産主義国家を信じて、彼の国に甚だ都合のいいタイミングと構図でアメリカ・イギリスと戦端を開いてしまったことである。結果として我が国は、仲介役まで期待したソ連に終戦直前に中立条約を破棄されて一方的に侵攻され、終戦後も侵略が続き、今も領土を奪われたままなのである。

 ソ連にこれほど酷い目に遭った歴史を、令和の日本が忘却してはならない。ソ連の後継国家たるロシアに引き続き不法占領されたままの領土の奪還も、等閑に附してはならない。大東亜戦争終戦後、千島列島北端の占守島で優勢なソ連軍相手に戦い、生き残った将兵も全員シベリア抑留の憂き目を見ながら、そのことによって北海道を守った樋口季一郎第五方面軍麾下の部隊の奮戦と犠牲を無にしてはならない。今般のウクライナ問題を機会に——といっても決して紛争状態の長期化を、ましてや犠牲者の増加を望んだりする者ではないが——いまだ返還の目途も立っていない領土問題の清算を最大限に図るべきではないか。我が国の最たる窮境に乗じた78年前のソ連による不法侵略に対する、意地悪な意趣返しではない。歴史的に平和を脅かしてきた、国際社会の正論が普段通用しない相手に対して、歴史を踏まえた正論を他の関係諸国ともども認めさせる機会ではないか。すなわち、日本政府はウクライナ問題を契機として未解決の領土問題を、その生じた経緯とともに返還の要を世界に向けて訴える責務があるといえよう。