コンテンツへスキップ

【 講演会資料 PDF ダウンロード 】

● 演題 「アイヌは縄文人の末裔である――アイヌ問題を放置すると北海道は第二のウクライナになる――」

● 講師: 澤田健一先生(縄文アイヌ研究会 主宰)

略歴: 昭和39年、札幌市生まれ。

同志社大学工学部卒業。既存の枠にとらわれず、歴史・考古学を独自に学ぶ。

著書: 『縄文人の日本史 縄文人からアイヌへ』 柏艪社、2019。

『夷の古代史 邪馬台国そしてアイヌ』 柏艪社、2020。

『古代文明と縄文人 世界に広がる日本の夷』 柏艪社、2022。

● 日時:令和5年1月26日(木)開場17:30 開始18:00 閉会20:00 (前半:講演 後半:質疑応答)

● 場所:文京区民センター 2A会議室 (東京都文京区本郷4-15-14)

 都営三田線・大江戸線「春日駅A2出口」徒歩2分、丸ノ内線「後楽園駅4b出口」徒歩5分、

南北線「後楽園駅6番出口」徒歩5分、JR水道橋駅東口徒歩15分

● 参加費:1000円  (事前申し込み不要)

● 主催 問い合わせ

国際歴史論戦研究所(iRICH) i-rich.org/

Mail  info@i-rich.org   Tel 03-6912-0047

英語版:https://en.i-rich.org/archives/362

国連 自由権規約委員会 136セッション 対日審査会 参加報告

国際歴史論戦研究所ではジュネーブの国連で行われた自由権規約委員会136セッション(2022年10月10日~ 11月4日)に3名を派遣し、期間中に行われた委員・NGO会合と対日審査会に参加しました。ここに参加報告と会議での発言資料を掲載いたします。

1. 参加報告 矢野義昭 (国際歴史論戦研究所 上席研究員)
「左翼・グローバリストが操る人権を口実とする日本破壊工作の震源地―国連自由権規約委員会」

2. 参加報告 山本優美子 (国際歴史論戦研究所 所長)
「自由権規約委員会における慰安婦問題と不甲斐ない日本政府―我々が声を挙げなければ誰が真実を言うのか」

3. NGO発言 慰安婦問題について 発言者:矢野義昭・藤木俊一・山本優美子

派遣者: 山本優美子(所長)、藤木俊一(上席研究員)、矢野義昭(上席研究員)
期間:2022年10月10日(月)~14日(金)
場所:スイス ジュネーブ 国連ウィルソン
日程:2022年
・10/10 (月)
10:00~10:30  オープニング セッション
11:00~13:00  NGO 公式ブリーフィング フィリピン、キルギスタン、日本
・10/13(木)
11:00~13:00  NGO 公式ブリーフィング 日本(10/10からの続き)、非公式ブリーフィング 日本
15:00~18:00  対日審査会
・10/14(金)
10:00~13:00  対日審査会

************************************************************************
【1-参加報告】 

左翼・グローバリストが操る人権を口実とする日本破壊工作の震源地
― 国連自由権規約委員会

国際歴史論戦研究所 上席研究員 矢野義昭

今回初めてジュネーブでの自由権規約委員会のセッションに参加した。

初日の10月10日月曜日は、11時頃からNGO側の公式的なブリーフィングが、事前に送付した文書に従い英語で行われた。各NGOのブリーファーが次々に、それぞれが採りあげた議題に応じて、一人4分の制限時間内で議長の指名に基づき意見表明を行った。

日本のセッションであり、オンラインのブリーフィングも認められていたため、今回は23名という多数の日本に対するNGOのブリーフィングが集中した。そのため、10日の予定された時間内で終わらず、木曜日13日の午前中11時から再開することになった。

木曜日13日の午後と金曜日14日の午前には、日本政府の各省庁から成る代表団の第7回日本政府報告に対する委員からの質疑が行われた。

そこで最も印象的だったことは、ブリーファーも取り上げるテーマも、我々のグループを除き、左翼勢力が大半を占めており、自由権規約委員会の委員も彼らと同じ人権至上主義の左翼・グローバリストでしかなかったことである。

10日のNGO側のブリーファーは、我々のグループ以外は、日弁連、部落解放同盟などの左翼団体のNGOグループであり、在日朝鮮人も含まれていた。彼らが次々に登場し、左翼勢力の一方的な主張を、日本国内でおなじみのテーマについて、事実誤認や誇張、虚偽も交えて展開していた。

これを日本の実情や正当な歴史についてほとんど知識もないと思われる、自由権規約委員会の委員たちが聞き取り、それに質問を投げかけるという形で、NGOの公式ブリーフィングの開陳と質疑は進められた。

左翼NGOが訴えたテーマは、男女共同参画・男女平等、死刑廃止、LGBT差別反対、福島原発の放射能汚染補償、在日朝鮮人・琉球人・アイヌなどの少数民族に対する差別とヘイト・スピーチ反対、セクハラ反対など、日本国内でも左翼勢力が採りあげてきた問題ばかりである。

これに対し我々のグループからは日本沖縄政策研究フォーラム会長の仲村覚氏は、沖縄の歴史と遺伝子分析結果などに基づき、沖縄の人がれっきとした日本人であり少数民族ではないこと、また沖縄の本土復帰運動は日本人が心から祖国復帰を願ったからこそ実現したことを、オンライン・ビデオを通じて訴えた。

私も、ヘイト・スビートについて、多数者の意思を尊重する民主主義の下では、少数者といえども法規とルールに順なければならず、米国のBLMのような暴力行為は少数者でも許されないと訴えた。

NGOの訴えを受け止める側の委員たちは、途上国を中心に18カ国から成り、日本の古谷委員は日本の本セッションには参加しなかった。委員の中で積極に発言し、NGOの見解を質したのは、エジプト、ギアナ、ウガンダ、ポルトガルの委員など、小国の途上国の委員であった。彼らの質問は、日本の実情も歴史・文化も考慮せず、紋切り型の人権至上主義に立った、左翼グループの主張そのままの問いかけであった。

質問は細部にわたり、具体的な事例、例えば日本人がヘイト・スピーチを受けた具体例などの問いかけもあった。

ヘイト・スピーチについては、質問を受けて藤木俊一氏は、性奴隷との表現は根拠がないと反論した。私からも、慰安婦問題において日本軍による強制性は全く認められなかったが、慰安婦が日本軍により強制的に拉致されたかのような虚偽が広められている、そのため、海外において日本人の子供たちがいじめにあうといった事例もあると反論した。

しかし仲村氏や私たちの反論は、日本政府に対する自由権規約委員会の質疑では、全く考慮されなかった。NGOに質問したメンバーとほぼ同じ委員が、日本の各省庁から成る約30名の日本政府代表団に、以前の総括所見の勧告がどの程度履行されたかを確認し、今回のNGOなどの訴えを踏まえ、さらに新たな意見を付して質疑を行った。

上に述べたように、我々のグループの主張は考慮されず、予期したように、左翼勢力のNGOの主張に沿った、日本の実情も歴史も文化も無視した、後進国同然の国と見なすかのような、人権至上主義に立った「上から目線」の委員ばかりであった。

委員達から日本政府代表団に対し、例えば、琉球人もアイヌも在日朝鮮人も、日本国内で不当な差別やヘイト・スピーチに苦しむマイノリティであるとの事実に反する一方的な観点に立ち、彼らの人権状況改善策が具体的にどのようにとられているのか、あるいは日本国内では女性が差別されているが、前回からどの程度の改善が見られたのか統計データを示し説明し今後の改善策を示せ、あるいは、死刑廃止についての具体的な日本政府としての姿勢を問いただす、福島原発の放射能汚染の被害の実態はどうなっているのかと言った、日本国内や今回参加した左翼勢力と軌を一にした問題について、一人当たり数十項目、計数百項目の細部質問がつぎつぎに投げかけられた。

その際に、委員側が日本の実態として挙げた論拠は、いずれも山城博治など、左翼の一部活動家の主張を、裏付けも採らずに引用した、公平性と客観性に欠けたものであった。科学的、学問的手法を使い、歴史的事実の確認や現地調査結果を踏まえた質問とは思えない。

これらの指摘に対し、日本側の各省庁代表の回答は、それぞれの所掌に応じて回答していた。その回答内容はそれぞれに異なっている。死刑廃止などについては、先例を踏まえ日本政府の立場を繰り返したに止まった。

しかし、中には主要な管理職に占める女性の比率を、いつまでに何パーセントにするなど、必要もない約束をして、日本政府の政策に反映せざるを得ないような回答もあった。慰安婦問題についても、明確に虚偽と否定しない、事実を認め謝罪したともとれる、あいまいな回答に終始している。

このような政府回答の姿勢では、左翼人権派の主張に沿い国連の権威をかさに着た自由権規約委員会の主張に押し切られ、日本に対する内政干渉を許すことになる。かついったん勧告に従い、国内での政策に反映すれば、さらにその成果を毎回追求されるなど、日本国内の政策を、一方的に左傾化、グローバリズム化、非日本化の方向に傾斜させることにもなる。

特に、日本国民も政府も外務省など官庁もマスコミも、国連の権威に弱い。国連関係者の偽善性、腐敗や無能を見抜くことができず、その勧告を妄信する傾向がある。そのために、日本国内で批判しても時すでに遅く、国際的な普遍的価値観に立つ公約であるとして批判が封じ込められ、法として制定され政策化されることになる。

例えばアイヌ新法では、アイヌが先住民との誤った歴史認識に基づく、いつわりの「先住民」が捏造され、アイヌを自称する一部反日活動家の活動に法的根拠を与える結果を招いている。彼らは、沖縄の日本からの分離独立運動を画策している勢力と通じており、いずれも中国の影響力が浸透し、北朝鮮・韓国の旧「挺隊協」現「正義連」の勢力が主導している。

世界で最も人権弾圧を行っている中国は、国連の自由権規約委員会に代表団を送っているもののウイグル、チベットなどの人権状況は改善されていない。北朝鮮に至っては、2001年の前回の審査に代表団の記録はなく、他委員会には10名ほどの代表団を送る程度だ。

国際歴史論戦研究所のメンバーもNGOとして登録し、中国や北朝鮮のウイグル、チベット、香港などでの人権弾圧に対する非難を行っているが、その成果が具体的に中国や北朝鮮の政策に反映されることは期待できそうもない。

逆に、先進国であり人権擁護が最も進んでいる日本が、約30名の大代表団を派遣し、神妙に途上国の委員の一方的意見を拝聴しているのは、滑稽とすら言える。おそらく、この代表団派遣には、約3千万円の税金が投じられているであろう。日本の将来を思いボランティアで活動し、日本のために弁護している、我々のようなNGOには予算もなく、支援の根拠となる法制もない。

これまで自由権規約委員会に大規模な代表団を出しながら、日本の国益や歴史的事実に基づく客観性・公平性に十分に配慮せず、無責任かつ無知な国連自由権規約委員会の「勧告」を拝聴することに終始してきた、日本政府の責任も重い。

派遣された官僚にも責任がある。本来ならば外務省が主導して、関係各省庁が、謂われなき日本の人権状況に対する非難や誤解に対しては、堂々と正論を展開し一歩も譲歩すべきではないであろう。もしもそれをしない官僚がいれば、政治がそれを把握し人事権を発動して更迭するくらいの措置が必要ではないだろうか。

このような内政干渉まがいの国益侵害を黙認してきた日本政府の姿勢は、早急に改められねばならない。また日本国民特に政治家とメディアは、この現実を知るべきである。

日本国民が知らないまま、ジュネーブの国連機関の中で、日本の左傾化を推進する活動が、左翼主導で、それと同調する左翼・グローバリストから成る日本の実情を無視して憚らない委員達と結託して進められている。その現場を目の当たりにして、この現実をこれ以上放置できないとの思いを新たにした。

以上

************************************************************************

【2-参加報告】

自由権規約委員会における慰安婦問題と不甲斐ない日本政府
我々が声を挙げなければ誰が真実を言うのか

国際歴史論戦研究所 所長 山本優美子

自由権規約委員会の対日審査会では、1993年に行われた49セッションから慰安婦問題が扱われています。今回参加した2022年10月の136セッションの対日審査会で慰安婦問題が委員会と日本政府の間でどのように議論されたのかとその感想を記します。

1. 委員からの質問

委員会から慰安婦問題について日本政府代表団に質問したのはエチオピアのイゲズ委員(Mr. Imeru Tamerat YIGEZU男性)でした。

委員会から日本政府に事前に出された質問事項(CCPR/C/JPN/QPR/7)では慰安婦問題を「第二次世界大戦中の日本軍による性奴隷(「慰安婦」)の問題」(原文:the issue of sexual slavery (“comfort women”) perpetrated by the Japanese military during the Second World War)と記していました。対日審査会では、イゲズ委員はこの問題は議論のあるセンシティブな問題なので適切な用語として、と前置きして「第二次世界大戦中に日本軍によって人権侵害された被害者と申したてられている慰安婦」(発言原文:comfort women who are allegedly have been victims of human rights violations perpetrated by the military during WW2)と表現し、発言中は「性奴隷」(sexual slavery)という言葉は使いませんでした。アフリカの男性委員が慰安婦問題について詳しいとは思えませんが、論争になっている複雑な問題であることは認識していたようです。

イゲズ委員からの意見と質問は、委員会の事前質問事項を繰り返す内容でした。
・2015日韓合意は被害者中心ではなく、日本政府の公式謝罪でもなく、被害者とその家族への賠償金も充分ではない。
・合意を再検討し、被害者とその家族に充分な賠償と政府の公式な謝罪を行うのか。
・日本政府は委員会の勧告に従って慰安婦への加害者の調査と訴追を行っていない。
・慰安婦は日韓だけでなく様々な国と地域に被害者がいる。これらの地域の加害者についても調査し、罰すべきである。
・日本政府は過去の歴史を否定し、慰安婦を中傷する動きがあるが、教科書などの教材で慰安婦問題を記述し、慰安婦への中傷をさせない為の対策をとるのか。

これらのイゲズ委員発言を随分偏った一方的な質問だと感じる方は多いと思います。しかし、これが国連における慰安婦問題の扱いの標準です。自由権規約委員会も他の委員会もこれと同様の質問と勧告を毎回繰り返しているのです。

2. 日本政府の回答

イゲズ委員からの質問に対する日本政府の回答に期待したいところですが、現実は日本政府にとっての真摯な謝罪の取り組みを並べただけの回答で、聞く方にとっては慰安婦に悪いことをしたことを認めた上での言い訳としか受け取れない内容でした。これも日本政府のいつもの回答パターンで、他の委員会でも同様です。だから委員会はいつまでも納得できず、また同じ勧告を繰り返すのです。

日本政府の回答は以下の内容でした。
<外務省>
・2015年の日韓合意で慰安婦問題は最終的不可逆的に解決し、国連等でお互いを非難しないこととした。
・日韓合意で日本政府は10億円を拠出し韓国政府は財団を設立、元慰安婦47名のうち35名、死亡した199名のうち62名の遺族に資金を支給した。
・1990年代、日本政府は慰安婦問題について調査を行った
・1995年にはアジア女性基金を設立し、韓国だけでなくアジア諸国の元慰安婦に償い金を支給し、当時の首相が公式なお詫びの手紙を送った。
・2015年当時の安倍首相が述べたように。20世紀において戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去をこの胸に刻み、日本は21世紀には女性の人権が傷つけられることがない世紀とするため世界をリードしていく。
・慰安婦問題は日本に自由権規約が発行した1979年より前の問題であり、遡った問題は適用されないため、委員会で取り上げるのは適切でないと考える。
<文科省回答>
・教科書は民間の複数の教科書会社により発行され、学習指導要領に基づいて、教科書会社が具体的な記述内容を決める。
・検定を経た教科書の中から、個々の学校において使用される教科書が選択される。
・慰安婦について記載された教科書は、中学校、高等学校で複数発行されている。

3. 日本政府は何を言うべきか

日本政府はまず、日本軍慰安婦とは何なのかの説明をするべきです。委員会と日本政府はではそもそも「慰安婦とは何か」の理解が違うので、いつまでも話が食い違うのです。
委員会の事前質問事項では慰安婦を「日本軍による性奴隷」、イゲズ委員は「日本軍によって人権侵害を侵された被害者」としています。慰安婦は本当に性奴隷なのか、被害者なのか。その点を反論し、慰安婦とは何かを明確にしなければ、委員会にとって慰安婦は国連特別報告者クマラスワミやマックドゥーガルの報告書に書いてあるように拉致され、残酷に扱われ、その多くが殺された戦時性奴隷被害者のままなのです。
本来ならば1993年に委員会で最初に慰安婦問題が取り上げられた時点から、慰安婦とは何であるかを説明すべきでした。クマラスワミ報告書が出た時に反論書を取り下げずにいたら、と今更ですが非常に悔しく思います。

4. 我々が言わなければ誰が真実を言うのか NGO発言から

NGOは傍聴のみの審査会議とは別にNGOが委員に直接意見を表明できるNGOブリーフィンングという会合があります。90年代から左派NGOの主張が浸透しているのが国連の人権の場です。そこで日本政府があまりにも不甲斐ない主張を繰り返していますが、NGOは会合のルールに則していれば自分たちの意見を自由に表明できます。
国際歴史論戦研究所から派遣された我々3人はこの会合で慰安婦問題について次の意見を発表しました。外務省が日本政府代表の立場では言えないことも我々の発言の中に盛り込まれていたのではないでしょうか。

(発言の抜粋)
矢野義昭 発言 より
いわゆる「慰安婦」問題について、第二次大戦中の日本の帝国陸軍による強制性を裏付ける歴史的事実はない。現在、海外に在住する日本人の生徒たちが、時々そのような誤った歴史により責められることがある。いわゆる「慰安婦」問題も含め、合法的な反対意見は、すべての国とすべての社会において許容されるべきである。

藤木俊一 発言 より
日本と韓国の間で現在もくすぶり続けている問題に慰安婦問題があります。
日本政府は慰安婦問題に関する本格的な調査をしましたが、日本政府や軍による強制連行などを示す証拠は見つかりませんでした。
さらに、第二次世界大戦末期の1944年、米軍の朝鮮半島出身の慰安婦の尋問報告書には、彼女たちが「高給取りの売春婦」であり、「自由に買い物や活動を楽しんでいた」と記されているのです。
韓国政府と民間団体は、日本政府に圧力をかけ続けるために、国連を悪用しています。その結果、日本人の評判は各国で大きく傷つき、屈辱的な思いをすることになっています。
当委員会より以下の3点を締約国に対して勧告していただきたいと思います。
1. 河野談話を破棄すること。
2. 日本政府は韓国政府に対し、「日韓基本条約」の履行を強く求めるべきであること。
3. 日本政府は、今後、韓国政府に対し、歴史の捏造をやめるよう働きかけ、建設的な二国間関係を構築するよう努力するよう勧告すること。

山本優美子 発言より
自由権規約7条(拷問)と8条(奴隷)は慰安婦問題については当てはまりません。よって、委員会は15条(遡及処罰禁止)に則って慰安婦問題を取り下げるべきです。
慰安婦問題については論理的な瑕疵があります。その理由は
1. 慰安婦の強制連行を証明する文書は存在しません。
2. 慰安婦による貯金・送金・映画鑑賞・宝石で着飾ったなどの供述は、性奴隷の環境と違背します。
3. 第三者の誰も自称慰安婦証言を十分かつ的確に立証していません。
4. 日本には戦前戦中、戦後1950年代まで公娼制度があり、公娼制度と戦争犯罪とは無関係です。
歴史について言えば、日韓併合時代、前帝国の統治能力欠如が朝鮮半島に影を落とし、貧困層は人身売買などにより搾取されていました。人身売買は併合時代にも罰せられました。登録事業者と雇用契約を結んだ慰安婦と人身売買の被害者とは違うものです。歴史認識はその時代の背景を織り込むべきです。当時の加害責任が、仮にあったとしても、それを現在に持ち出す合理性はありません。

5. イゲズ委員に伝えたこと

イゲズ委員の発言を聞いていて、アフリカ出身の男性委員はどの程度慰安婦問題について知っているのだろうかと興味を持ち、対日審査会が終わった直後、まだざわついている会議室で委員に話しかけてみました。委員はNGOが話しかけるとにこやかに答えてくれます。イゲズ委員もそうでした。

私が伝えたことは
「委員の慰安婦の定義は何でしょう。私の理解している慰安婦と違うのですが。慰安婦の本や資料は読んだことがあますか。
前回2014年の自由権規約委員会に私は参加しました。慰安婦問題は前回も今回も同じような話が繰り返されています。次の委員会が行われるのは何年も先になるでしょう。元慰安婦は今90代です。次の委員会までにはもういなくなります。この問題は今、または数年内に終わらせなくてはならないと思います。
私の仲間には歴史家や専門家がいます。慰安婦問題には委員(の見方)と別の面(見方)があります。カナダの女友達と纏めたのがこの資料です。是非目を通して下さい」

イゲズ委員の反応は
「(慰安婦についての本や資料は)読んだことがあります。」
「(将来、慰安婦被害者がいなくなっても)家族がまだいます。」
「慰安婦問題について別の見方があるのはよく理解しいます。」
というものでした。

短い間でしたが、委員は慰安婦問題について特に知識や意見をいうことなく、やはり特別詳しく調べてはいないのではないか、と感じました。イゲズ委員は対日審査会では慰安婦問題だけでなく他の様々な問題、反差別法、メディア・ネット上の差別、死刑制度、デモ集会への不当な制限、外国人地方参政権、についての質問も担当していました。

6. 慰安婦問題について委員会勧告を有難がたく受け入れる必要は全く無い

今回の136セッションでは、委員は4週間のうちに6カ国を審査して総括所見を作成、3カ国について事前質問事項を検討し纏めます。自由権規約委員会ではセッションが年3回行われます。
一つの国についても幅広い分野の様々な問題が多くあります。自由権規約を批准している国、つまり審査対象国は173か国あります。委員は18名で任期は2年(延長あり)です。
このような制度の委員会で、日本の国柄を理解した上で、日本国内における様々な人権問題を扱えるでしょうか。その中でも歴史や外交も絡む複雑な慰安婦問題について委員がどれほど理解しているのか。改めて調べたり調査したりするのかと言えば、それは期待するのが無理です。
過去の委員会の所見に倣って、これまでと同じような勧告の繰り返しになってしまうのだとうと想像がつきます。委員会の仕組み自体が、人権問題を改善できるのに本当に役立っているのか疑問です。
いずれにしても、慰安婦問題についての委員会勧告を有難がたく受け入れる必要は全くありません。日本にとって一番良いのは自由権規約の審査対象国とならず勧告も受けないようにすることです。そうは言っても、現実には規約の廃棄は難しいでしょう。
従って、こういった委員会の実態を多くの政治家、識者、一般国民に周知することが重要だと改めて痛感しました。また、NGOとしての意見表明を継続していくこと、我々と同じ意見のNGOを国連の場で増やすことの必要性も感じています。

以上

************************************************************************

【3-NGO発言 慰安婦問題について】

CCPR136  NGO ブリーフィング   10/13(木)11:00~  ※発言は英語
発言者:矢野義昭・藤木俊一・山本優美子

--------------------------------------------------------------
矢野義昭 発言
<日本語訳>
回答1
民主主義の原理によれば多数者の意見と意思は尊重され政策に反映されねばならない。言うまでもなく、少数者の権利も尊重されねばならないが、少数者であっても民主的社会の規則と法には従わねばならない。暴徒が少数者に属するからという理由で、不法な暴力が許されることがあってはならない。
米国のシアトルでは2020年に、BLM(“Black Lives Matter”『黒人の命が問題だ』)が引き起こされた。BLMメンバーの暴徒たちは多数派の人たちが経営する商店を襲った。黒人の経営する商店すら襲われた。
中国やミャンマーの少数民族を含め、世界中の人びとの人権が尊重されるべきである。これらの国においては、独裁体制や権威主義的態勢の下で明らかな人権侵害が行われているが、民主的な社会においては不法な暴力は許されてはならない。すべての国のすべての人々の人権が尊重されねばならない。
一部では、少数者保護の名目で不法な暴力を行使するのを躊躇しない少数者のグループが優越した力を持っている。そのような不法な暴力はいかなるグループのものであっても許すべきではない。少数者の権利の擁護は合法的で平和的な方法により実現されるべきである。

回答2 (日本人に対するヘイトスピーチが加えられた事例はあるかとの委員からの質問に対する回答)
ヘイトクライムについて、少しコメントを付け加えたい。日本では少数者に対するヘイトクライムが極めて厳格に禁じられており、一般の多数者の日本人が、彼らの合法的な要求や歴史的事実に基づく彼らの権利や名誉を守ることを明言することができない場合もある。
例えば、いわゆる「慰安婦」問題について、第二次大戦中の日本の帝国陸軍による強制性を裏付ける歴史的事実はない。現在、海外に在住する日本人の生徒たちが、時々そのような誤った歴史により責められることがある。いわゆる「慰安婦」問題も含め、合法的な反対意見は、すべての国とすべての社会において許容されるべきである。

<発言英語>
A1; According to the principle of the democracy, the opinions and the will of the majority should be respected and reflected in the policy. Of course, the rights of the minorities should be respected, even the minorities should obey the rules and the order of the democratic society. We should not allow the illegal violence for the reason that the riots are belonging to the minorities.

In Seattle, the United States, the violence caused by the BLM members in 2020. The riots of the BLM members assaulted the shops owned by the inhabitants belonging to the majority. Even the African American people’s shops were assaulted.

We should respect the human rights of the people in the world including the minorities in the PRC and Myanmar. In those countries, the clear violations of the human rights are conducted under the dictatorship or the authoritarian government. However, we should not allow the illegal violence of the minorities in the democratic society. We should respect the human rights of all people in all countries.

In some cases, the dominant power belongs to the minorities who would not hesitate use the illegal violence under the name of the protection of the minorities. We should not allow such illegal violence conducted by any groups. The protection of the minority’s right should be realized in the legal and peaceful ways.

A2: I’d like to make some additional comments on the hate crimes.
The hate crimes against minorities are too severely restricted in Japan, the majority of the ordinary Japanese people in some cases cannot declare their legal requirements and the historical facts for the protection of their rights and honor.
For examples, concerning the so-called comfort women issue, there are not any historical facts verifying the coercion of the Japanese Imperial Army during WWII. Currently some Japanese students living in foreign countries, are sometimes blamed by such a fault history. The legitimate opposing opinions should be allowed in every country and every society including the issues concerning the so-called comfort women issue.

--------------------------------------------------------------

藤木俊一  発言
<日本語訳>
議長、そして、名だたる委員の皆様、有り難う御座います。

日本は、2600年を超える歴史の中で日本以外では理解する事が難しい独特な文化や習慣があります。

そんな中の1つに、争いが起きる前に話し合いで解決するというのがあります。自らが悪くないと考えていても、その場を納めるために謝罪する事がしばしばあります。

日本には、それを奨励する「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺(ことわざ)があります。これが意味するのは、偉くなればなるほど、謙虚になるということですが、日本政府は、この日本的な手法を外交に適用したために、過去に多くの失敗を繰り返してきました。

日本と韓国の間で現在もくすぶり続けている問題に慰安婦問題があります。
日本政府は慰安婦問題に関する本格的な調査をしましたが、日本政府や軍による強制連行などを示す証拠は見つかりませんでした。

さらに、第二次世界大戦末期の1944年、米軍の朝鮮半島出身の慰安婦の尋問報告書には、彼女たちが「高給取りの売春婦」であり、「自由に買い物や活動を楽しんでいた」と記されているのです。
1970年に韓国が漢字を使わなくなってから、多くの韓国人は、歴史的な出版物を読むことが出来なくなりました。さらに、1995年には、日本が韓国を併合していた時代に建てられた立派な(朝鮮総督府の)建物を爆破しました。

現在でも、韓国政府は自らの負の歴史を消し去るために爆破しています。爆破が不可能な場合は、教科書の歴史を書き換えています。

1993年、韓国の歴史修正主義に基づくこの捏造を終わらせるため、韓国政府の要求に応じて日本の官房長官が「河野談話」を発表しました。

その代わり、韓国政府はこれ以上補償を要求しないことを約束しました。 しかし、彼らの要求はいまだに続いています。

同様に、韓国の修正主義は、戦時中の労働者が「奴隷として働かされた」と主張し、韓国人が、日本企業への補償を要求する事態にもなっています。

朝鮮にルーツをもち日本に住んでいる人たち、韓国から移住してて日本で通名を使って日本人が発言しているように見せかけている人たち、韓国人の配偶者を持つ活動家や弁護士たちが韓国政府と連携して、歴史的出来事を改竄し、お互いの金銭的利益と、日本を見下すために動いています。

韓国政府と民間団体は、日本政府に圧力をかけ続けるために、国連を悪用しています。その結果、日本人の評判は各国で大きく傷つき、屈辱的な思いをすることになっています。

私たちは、日本政府がこの河野談話を速やかに撤回し、事実を世界に公開し、日本人の尊厳を回復するために努力することを望みます。

1965年、日本と韓国は「日韓基本条約」を締結し、国交を回復しました。 この条約で、日本は韓国に対して「完全かつ最終的に解決する」ための金銭的援助を行い、それ以前のことに関しては、双方とも一切主張しないと約束しました。

名だたる委員の皆様、当委員会より以下の3点を締約国に対して勧告していただきたいと思います。

1. 河野談話を破棄すること。

2. 日本政府は韓国政府に対し、「日韓基本条約」の履行を強く求めるべきであること。

3. 日本政府は、今後、韓国政府に対し、歴史の捏造をやめるよう働きかけ、建設的な二国間関係を構築するよう努力するよう勧告すること。

ご清聴、有り難う御座いました。

<発言英語>
We appreciated tireless works of committee members and thank you for giving me an opportunity to speak today.

Japan has a unique culture and customs in its over 2600-year history that are difficult to be understood outside of Japan. One is "to resolve disputes through discussion before conflicts occur," and even if one is not at fault, apologies are often made in order to keep the situation calm. In Japan, there is a saying that encourages this: "The boughs that bear most hang lowest." This means, "the more noble, the more humble.” The Japanese government has failed many times in the past by applying this Japanese approach in diplomacy.

One of the historical issues still smoldering between Japan and Republic of Korea (ROK) is the comfort women issue. The Japanese government conducted a full-scale investigation, but didn’t find any evidence to show forcible mobilization either by the Japanese government or military. Furthermore, in 1944, at the end of World War II, U.S. military interrogation reports of comfort women from the Korean Peninsula, stated that those women were "well-paid prostitutes," and "They enjoyed shopping and activities freely."
After Korea ended using Chinese characters in 1970, many of them no longer can read historical publications. Further, the Korean Government has been conducting anti-Japanese education, and in 1995, they even blew up a magnificent building built during the Japanese annexation period. To this day, the government blows up its own negative history to erase it, and if it cannot blow it up, they revise history in their text books.
In 1993, in order to end this fabrication based on ROK’s historical revisionism, a Japanese cabinet secretary issued a statement called the "Kono Statement" as the ROK government demanded. In exchange, the ROK government promised that they would not demand any further compensation. However, their demands still continue. This has caused the relationship to remain cold.
Similarly, ROK’s revisionism has also led Korean people to demand compensation from Japanese companies for wartime workers whom they claim were "forced to work as slaves." The ROK government and private organizations have misused the United Nations to keep pressure on the Japanese government.
As a result, the reputation of the Japanese people has been severely damaged and humiliated in various countries. We hope that the Japanese government will quickly withdraw this Kono Statement, disclose the facts to the world, and work to restore the dignity of the Japanese people.
In 1965, Japan and ROK signed the "Basic Treaty between Japan and Korea," to restore diplomatic relations. In this treaty, Japan provided Korea an aid package to "completely and finally settled" the dispute, with neither side making any claim for what happened before that time.
We would like CCPR to recommend the following three points to the Japanese government:
1. Withdraw the Kono Statement.
2. The Japanese government should strongly urge the Korean government to implement the Basic Treaty between Japan and Korea.

--------------------------------------------------------------

山本優美子  発言
<日本語訳>
私は、二つの問題について発言します。

一つ目は自由権規約12条に関連する問題、「北朝鮮による日本人失踪者について」です。

ご存じのことと思いますが、日本政府が公式に認めた北朝鮮による拉致被害者は17名います。しかし、これは氷山の一角に過ぎません。

こちらは日本のNGO「特定失踪者問題調査会」の報告書です。日本人拉致被害者と失踪者のリストに540名の名前があります。

更には警察のリストによると、北朝鮮による拉致の可能性のある失踪者がおよそ900名もいます。家族の不在により、明らかになっていないケースはもっとあるでしょう。

何故このような酷い人権侵害が何十年も解決されぬまま放置されているのでしょうか。家族は帰りを待ち望んでいますが、年老い、残された時間は限られています。

日本政府は全ての拉致被害者を早急に救出すべきです。そして委員会には、この深刻な人権侵害について日本政府と話し合うよう、心よりお願い申し上げます。

二つ目に、慰安婦問題について発言します。

自由権規約7条(拷問)と8条(奴隷)は慰安婦問題については当てはまりません。よって、委員会は15条(遡及処罰禁止)に則って慰安婦問題を取り下げるべきです。

慰安婦問題については論理的な瑕疵があります。その理由は
1 慰安婦の強制連行を証明する文書は存在しません。
2 慰安婦による貯金・送金・映画鑑賞・宝石で着飾ったなどの供述は、性奴隷の環境と違背します。
3 第三者の誰も自称慰安婦証言を十分かつ的確に立証していません。
4 日本には戦前戦中、戦後1950年代まで公娼制度があり、公娼制度と戦争犯罪とは無関係です。

歴史について言えば、日韓併合時代、前帝国の統治能力欠如が朝鮮半島に影を落とし、貧困層は人身売買などにより搾取されていました。人身売買は併合時代も罰せられました。登録事業者と雇用契約を結んだ慰安婦と人身売買の被害者とは違うものです。歴史認識はその時代の背景を織り込むべきです。
当時の加害責任が、仮にあったとしても、それを現在に持ち出す合理性はありません。

ありがとうございます。

以上
<発言英語>
I would like to speak two issues.

The first one, in relation to article 12, is “Missing Japanese Probably Related to the Democratic People's Republic of Korea”
As you might know, the Japanese government has been officially identified 17 Japanese citizens as “abductees by DPRK.”
But these cases are just only “the tip of the huge iceberg”.
This is an NGO report submitted by “the Investigation Commission on Missing Japanese Probably Related to North Korea”
There is a list of Japanese Abductees and Missing Persons.
You find 540 (five hundred and forty) names.
Moreover, the National Police Agency has its own list of approximately 900 (nine hundred) missing persons possibly abducted by DPRK.
We assume there could be more cases because of absence of family members.
Why have such terrible human rights violations been left unsolved for decades?
Families have been waiting for them to come home.
However, as families get older, their time is very limited.
The Japanese government must rescue all the victims immediately.
And we sincerely request CCPR to discuss this gravest human rights violation during the dialogue with the Japanese government.

Secondly, I would like to speak “comfort women issue.”
The Articles 7 and 8 are not pertinent to the Comfort Women.
We request that the committee must dismiss the issue in accordance with Article 15.

Claims regarding the Comfort Women have critical flaws in the logic.
The reasons are;
(1) There has been no documentary evidence to corroborate abduction of the women;

(2) The statements made by the Comfort Women that they put some earnings in postal savings, mailed home some money, enjoyed watching movies in town, decorated themselves with jewels etc. do not make sense if they were sexual slaves;

(3) No third parties have yet presented sufficient and competent evidential matters as to the assertions of the self-proclaimed comfort women;

(4) Because the licensed prostitution was in place in Japan before and during the war, and until early 1950s, the licensed prostitution has nothing to do with war crimes.

Speaking of the history, during Japan's Annexation, the Korean peninsula saw remnants of governance flaw of the former empire.
Impoverished members of society were exploited by human trafficking.
Human trafficking was punishable during the Annexation years.
And victims of human trafficking were irrelevant to the Comfort Women who signed the employment agreements with registered business operators.
A firm perception of history must factor in the background of the times.
There is no objective rationality to extend the act of misconduct, if at all, of those times to the present.

Thank you very much.

以上

公益財団法人アパ日本再興財団が開催する「真の近代史観」懸賞論文で、矢野上席研究員および松木上席研究員がそれぞれ受賞しました。

優秀賞(社会人の部)

矢野義昭(国際歴史論戦研究所 上席研究員、一般財団法人日本安全保障フォーラム 会長)

「日本は核恫喝に屈するな!-潜在核保有国としての自信を持ち毅然として対応せよ-」

佳作

松木國俊(国際歴史論戦研究所 上席研究員、朝鮮近現代史研究所 所長)

 慰安婦問題を巡る 日韓合同シンポジウム 」(2022.11.16)を主催した国際歴史論戦研究所は、内閣総理大臣と外務大臣に宛てて報告書「慰安婦問題に関する報告と日本政府の今後の対応について」を送付しました。また、その写しを参議院外交防衛委員会衆議院外務委員会の委員、衆参両院の議長にも送りました。
その報告書をご紹介します。

令和4年12月1日

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
外務大臣 林 芳正 殿

一般社団法人 国際歴史論戦研究所
会長 杉原誠四郎
所長 山本優美子

慰安婦問題に関する報告と日本政府の今後の対応について

一般社団法人 国際歴史論戦研究所は、日本の立場から世界に向けて歴史論戦を展開し、故ない歴史の非難から日本を護り、超限戦としての歴史戦にも対抗していくために設立されました。国内外の研究者や団体と連携しての活動、対国連活動として人権理事会や各人権条約体委員会にNGOとして参加してきました。慰安婦問題は当研究所が力を入れて取り組んできた歴史論戦の一つです。

1.  慰安婦問題の虚偽を訴える韓国人の登場
去る11月16日、当研究所は、韓国国史教科書研究所所長の金柄憲氏及びジャーナリストの朴舜鐘氏を韓国より招き、「慰安婦問題の解決を目指す日韓連携のあり方」というテーマのもとでシンポジウムを開催致しました。また、翌11月17日には金柄憲氏の記者会見を行いました。
金柄憲氏は韓国の歴史家で元成均館大学講師など歴任し、現在は韓国国史教科書研究所の所長を務めています。金氏は慰安婦問題における韓国側の主張があまりにも事実を歪曲していることに義憤を覚え、2019年12月に同志と共に在韓国日本大使館前で、元慰安婦をめぐるさまざまな「嘘」を暴露する記者会見を行い、以来、正義連(旧挺身隊対策協議会)が日本大使館正面で開く「慰安婦を称える水曜デモ」に対抗して、同じ場所で「反慰安婦デモ」を毎週実行し、元慰安婦やその支持団体の主張が虚偽であることを一次資料に基づいて訴えてきました。最初は金柄憲氏の「一人デモ」から始まり、現在では賛同者も増え9団体が「反慰安婦デモ」に参加するようになっています。

2.  慰安婦問題の解決方法は「真実」
今回のシンポジウムでは金柄憲氏は「慰安婦問題を解決する方法はただ一つしかない。それは慰安婦問題は存在していなかったという真実を、全ての人々に知ってもらうことだ」と断言しました。シンポジウムのもう一人のパネラーである朴舜鐘氏も同様のことを主張しました。

金氏や朴氏も、韓国を愛するがゆえに日韓関係が破局に至ることを危惧し、歴史の歪曲によって韓国人の胸に刺さった日本に対する「恨みのトゲ」を抜くために、身の危険すら省みず、慰安婦問題は存在しなかったという真実を世界に訴えています。そしてそれが現在、韓国で少しずつ浸透していきつつあります。

3.  日本への憎悪を煽る虚偽で埋め尽くされた韓国の教科書
シンポジウムの金柄憲氏の発表で私たちが驚いたのは「韓国の小中高教科書内の慰安婦記述」です。すべての教科書に慰安婦の記述があり、表紙にまで慰安婦像の写真が載っているのです。
例を挙げると、小学校教科書には「日本軍慰安婦とは、日本軍が侵略戦争を起こした後、日本軍と日本政府が戦場に強制的に動員し、持続的に性暴力と人権侵害を加えた女性を指す」、中高教科書には 「日本軍慰安婦は劣悪な環境の中で人権蹂躙され、病気や暴行で死んだりもした。」、「被害者たちは殴打や拷問、性暴力などで、一生治癒し難い苦痛の中で生きなければならず、一部は反人倫的犯罪を隠蔽しようとする日本軍に虐殺されたりもした。」と記述されています。
金氏は「慰安婦に対する虚偽と捏造教育は、友好国である日本に対する漠然とした憎悪心を助長する犯罪行為」と訴えました。成長する未来世代に嘘と憎悪を教えることは、日韓間の葛藤と対立の種をまくことになります。

4.  国連における日本政府の不甲斐ない対応
当研究所ではこの10月にジュネーブ国連で開催された自由権規約委員会136セッションの対日審査会に所員を派遣しました。この委員会では、1993年から慰安婦問題が扱われ、慰安婦問題を「日本軍による性奴隷(「慰安婦」)の問題」としています。
審査会では、委員からの質問に対する日本政府代表の答弁は、日本政府にとっての真摯な謝罪の取り組みを並べただけで、聞く方にとっては慰安婦に悪いことをしたことを認めた上での言い訳としか受け取れない内容でした。
日本政府が主張すべきは、慰安婦は本当に性奴隷なのか、被害者なのかへの反論と、そもそも慰安婦とは何かを明確にすることではないでしょうか。
委員会後に発表された総括所見の勧告はこれまでと変わらず「慰安婦への人権侵害を調査し、加害者を罰せよ。被害者とその家族に賠償せよ」というものでした。

5.  提言 日本政府がとるべき対応
もしここで、慰安婦問題は存在していたとすることを前提にした韓国の無理筋の要求に対して、日本政府が、例えば「謝罪も補償も終わっている」というような、あたかも慰安婦問題は存在したかのような前提の対応を取れば、韓国で命がけで歴史の真実のために戦っている金柄憲氏たちの立場を日本が根こそぎ否定することになり、せっかく浸透しつつある彼らの活動成果を無に帰させることになります。
それはとりもなおさず日韓関係修復の道を再び断つことになり、アジアの自由主義陣営の自滅にも繋がることになります。
日本が韓国を友邦とし共に繁栄への道を歩むためには、何よりも両国関係改善のネックである慰安婦問題が解決されねばなりません。そのために日本政府は葛藤を恐れず、韓国の愛国者とも協力して「日本の官憲による強制連行は一切なかった」と史実にまで踏み込んで韓国の歴史歪曲に正面から反論し、論破しなければなりません。それでこそ韓国人の胸に刺さった「恨みのトゲ」を根本から抜き去り、シンポジウムで紹介された韓国の教科書での慰安婦問題は存在したことを前提とする誤った記述もなくなり、日韓相互理解への道が開けていきます。
逆に尹錫悦政権に妥協して真実をおろそかにし一時的解決に走れば、両国の真の相互理解はならず、両国の間に百年の禍根を残すことになるでしょう。

以上、この度の金柄憲氏を招いてのシンポジウム及び記者会見について報告申し上げ、政府の賢明なご判断と対応を期待する次第です。

以上

[ 添付資料 ]
「慰安婦問題を巡る日韓合同シンポジウム」講演資料
1. 金 柄憲(韓国国史教科書研究所所長)「 韓国の小中高教科書内の慰安婦記述に対する諸問題 」
2. 朴 舜鍾(ジャーナリスト)「 『少女像守り』反日行動の正体 」
https://i-rich.org/wp-content/uploads/2022/11/2022.11.16_Symposium.pdf

英語版:https://en.i-rich.org/archives/1073

2021年(令和4年)12月1日

国際歴史論戦研究所 研究員 野々田峰寛

はじめに

 本稿はパーソナルコンピュータ(以下PC)向けオペレーティングシステム(以下OS)の技術と教育用PCの予算化によって起こった日本国内のPC用OSのシェア争い、並行して生じた日米の貿易摩擦とそれに伴う日本のコンピュータ産業の動向を示す。これらの経緯を通じて日本の技術の保護と発展について論じる。

TRONとMS-DOS

 TRON(The Real-time Operating system Nucleus)プロジェクトは国産OSの開発プロジェクトとして1984年にスタートした [1]。TRONプロジェクトは様々な成果を挙げ、家電の制御やPC向けのOSを開発した。このうち家電を制御する基本ソフトウェアとして現在もTRONプロジェクトの成果物であるITRONが使われている [2]。ITRONの仕様や安定性、即時性を追求したOSであることが採用される要因にある。1989年TRONプロジェクトはPC向けのOSとしてBTRONをリリースした。BTRONは現在のWindowsやMacOSのようにグラフィック画面からマウスを用いて操作するグラフィックユーザーインターフェース(Graphic User Interface)のOSである。

 一方米国ではマイクロソフトが1981年に初版のMS-DOSを発売した。MS-DOSはコマンド(文字)ベースでPCを制御するキャラクターユーザーインターフェース(Character User Interface)のOSである。MS-DOSはシアトル・コンピュータ・プロダクツが開発し、販売した86-DOSを買収して最初のバージョンが開発された [3]。マイクロソフトは設立当初は既存の製品を買収し、手を加えて、自社製品として発売する手法を採っていた。

 1985年、臨時教育審議会(臨教審)は「教育方法開発特別設備補助」5か年計画 [4]を策定し、学校へのコンピュータ導入のための予算を初めて計上した。1986年、通商産業省と文部省が財団法人コンピュータ教育開発センター(CEC)(現在、日本教育工学振興会と合併し、日本教育情報化振興会)を設立し [4]、日本の教育用パソコンOSの標準化を図るために、BTRONを日本の学校教育における標準OSとして検討を始める [5]。日本でPCを使うに当たっては日本語を使えることが要件として求められていたため、米国企業の参入が困難であった。このような背景があって、日本語を扱えるNEC以外のメーカーはPCのシェアが非常に少なかった。CECに加盟したPCメーカーは策定した仕様に則ったPCをつくることで国費によって確保された教育用PCの市場を取り、NECのシェアに食い込もうとする。1987年9月までに、CECに加盟する日本の大手家電メーカーのうち、NECを除く11社がBTRONの採用に賛同した [1]。この頃、教育用PCを含め大きなシェアを取っていたNECはPC-8801シリーズからPC-9801への移行期にあたる。PC-9801では、日本語MS-DOSを採用していた。このため、NECはBTRONの採用を渋っていたが、半年以上の交渉を重ねた末、BTRONとMS-DOSのデュアル構成を採用することとした [6]。

日米貿易摩擦

 国内のOS仕様が確定しつつある時期と同じくして日米間で起こったのが日米貿易摩擦である。筆者も子供心ながらに日本車が破壊されているシーンがテレビで流れたことを覚えている。

 1989年米国通商代表部(USTR)が発行した報告書『外国貿易障壁報告書』 [7]にて、その他のセクションの中でTRONが列挙され [8]、包括通商法スーパー301条 [9]に基づく制裁の候補とされた。TRON協会はUSTRに対して「誤解だ」として抗議文を送り、USTRは誤解を解き、この時はスーパー301条対象品目から外された [10]。

 しかし、これを契機としてNECはBTRONの採用を見送る。この結果、CECはBTRON仕様による規格統一を断念する [11]。NEC以外の多くのメーカーがBTRON仕様のOSを採用していた。しかし、すでにデータやプログラムを豊富に持っていたNECのシェアに敵わず、徐々に撤退していくことになる。このような経過をたどり、PC用OSは教育用PCを含め、BTRONよりもMS-DOSのシェアが拡大することとなった。

外圧に負けた日本政府の貿易・外交

 TRONプロジェクトはUSTRに対して反論書を提出している [10]。これを受けて、USTRはTRONへのスーパー301条の適用を取り下げたが、反論書への回答で「日本の教育市場における教育用パソコンについて、使用するOSを市場自身が選定するのではなく、日本の政府系機関であるCECが(マイクロソフト社のMS-DOSなどBTRON以外のOSを締め出す形で)選定するのは不公正である」という趣旨の回答をしている [1]。市場自身がOSを選定すべきであると指摘しているにもかかわらず、スーパー301条対象品目となっているは、実際は米国の陰の保護貿易体制が敷かれていたことが明確になる。TRONプロジェクトはUSTRの回答に対して再度見解を表明したが [10]、ここで、日本政府ならびにCECが再反論をすることはなかった。特に政府による再反論は必要ではなかったのではないか。結果として、1990年再度貿易障壁年次報告にてBTRONが再度リストアップされることになった [1]。この背景には、BTRONがリリースされたOSはもとより作り上げた仕様の完成度に米国側が驚異を感じたのではないかと考える。MS-DOSと対比すると、BTRONは優技術的優位性を持っていたが、優位性よりも事実上標準化されたOSがシェアを確保することになる。技術的には理想的なコンピュータのあり方を模索したプロジェクトであったため、従来から豊富に蓄積されていたNEC PCのデータ資産を使えるようになっていなかった。米国に技術的には脅威を与えるほどの品質のOSであったにも関わらず事実上の標準としてMS-DOSが普及することになったため、BTRONは日の目を見ることははなかった。

一方政治的側面からは、産学の工学技術を護り育てるという政府の姿勢がなかったことが原因であると筆者は考える。

日本の技術者への待遇の低さも問題である。代表的な例として中村修二氏は世界で初めて青色発光ダイオードの開発に成功し、これにより初めて白色をデジタル上で構成できるようになった [12]。しかし、中村氏は開発時に所属していた会社の待遇に不満があったこと [13]、十分な研究費獲得のため米国の研究費の支給を受けるために米国籍を取得し、転出する [14]。また、日本の高い技術力を狙う新興国も日本の技術者をヘッドハンティングしており [15]、日本の技術力は低下し、新興国に追い抜かれる状況が生まれている。

研究者支援も問題として指摘しておかなければならない。研究者支援の一環である科研費から考えても、工学系の研究への科研費投入は低い。文科系で数億の科研費を受けている研究が見られるが、工学系でその規模の科研費を受けている研究は多く見られない。日本学術振興会の審査体制にも問題があるのではないかと考える。

おわりに

 本稿では技術面でOSの歴史と政治面での日米貿易摩擦に触れ、一つの優れた国産技術が衰退する結果までを論じてきた。日本が本来持っている技術力は非常に高度であるが、待遇や支援の不備からそれが十分に生かされないことを示した。

大東亜戦争後、日本はことさらアメリカのご機嫌を伺い何かとアメリカの意向に沿う関係にあるのではないだろうか。例えば、在日米軍の日米地位協定による不平等や年次要望書に書かれた通りに日本が政策を進めるというようなケースが挙げられる。その背後には日本の安全保障を米国に依存していることがある。米国は80年代に日本の経済的技術的な台頭に対して経済面での敵として日本を挙げ攻撃した。本論説で述べたTRONはその最たる例である。日本が自主独立した国となるためには日米地位協定の改定を求めるための日本人の意識改革や粘り強い交渉が求められる。年次要望書に対しては日本の国益に鑑みて断固たる日本の意思を示すことが重要である。

日米繊維交渉のように、政治課題のバーターとして特定の産業が泥をかぶったこともある [16]。日本政府はこの反省を踏まえない外交を続けている傾向があるように感じる。日本の高い技術力が海外に流出し、開発できなくなるような事態を招いてはならない。長期的な視点で技術を評価し、技術発展に投資をした上で自由市場の中で勝負できる環境作りが必要である。

新たなコンピュータ技術における貿易問題として日米半導体協定 [17]がある。第2次半導体協定では、国内シェアの20%以上を海外メーカーへ開放することを求められている。これにより、日本における海外で製造された半導体のシェアが増加することによって日本の半導体生産能力は衰退した。この状態はさらに加速し、半導体の生産拠点が日本から海外へと移転し、製造技術の流出が問題となっているだけでなく、もはや日本国内で半導体が作れない状態となっている。この影響は現在日本が優位性を持っているスーパーコンピュータの分野で専用的に使われる半導体の設計技術を日本が護り続けることができるかの分水嶺にある。このような技術が海外流出すれば、国産コンピュータ技術は完全に衰退したと言っても過言ではない。日本がコンピュータ技術の発展から落ちこぼれることのないよう、日本政府にはあらためて自由市場で戦える技術開発への支援と外交交渉力の向上を求めたい。

引用文献

1. 倉田啓一. TRONプロジェクトの標準化における成功・失敗要因. 石川県能美市 : 北陸先端科学技術大学院大学, 2005.

2. TRONフォーラム. ITRON. (オンライン) (引用日: 2022年10月12日.) https://www.tron.org/ja/tron-project/itron/.

3. 粟野邦夫. MS-DOSってなんどすか? 東京都渋谷区 : ビー・エヌ・エヌ, 1987.

4. 樋田大二郎, 五藤博義. 学校へのコンピュータ導入の現状 ―コンピュータは学校、教師、子どもをどのように変えるのか. ベネッセ教育総合研究所. (オンライン) ベネッセ委, 1992年. (引用日: 2022年10月31日.) https://berd.benesse.jp/ict/research/detail1.php?id=3315.

5. 倉田啓一. TRONプロジェクトのデファクト標準に関する調査研究. (オンライン) (引用日: 2022年10月31日.) https://www.jstage.jst.go.jp/article/randi/16/0/16_193/_pdf.

6. TRONフォーラム. TRONプロジェクトの30年. TRONプロジェクト30年の歩み. (オンライン) (引用日: 2022年10月28日.) https://30th.tron.org/tp30-06.html.

7. USTR. 1989 National Trade Estimate Report on Foreign Trade Barriers. 1989.

8. 玄 忠雄. 国産OS「BTRON」が日米の貿易問題になった1989年. 日経XTECH. (オンライン) 2019年6月15日. (引用日: 2022年10月28日.) https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00215/060300034/.

9. 1974年通商法. (オンライン) (引用日: 2022年10月12日.) http://customs.starfree.jp/Trade%20Act%20of%201974j.pdf.

10. TRON協会. 通商問題経緯. (オンライン) (引用日: 2022年10月12日.) https://web.archive.org/web/20100714120633/http://www.assoc.tron.org/jpn/intro/s_301.html.

11. 日経コンピュータ. 1989.

12. 青色LEDがノーベル賞に値する理由. WIRED. (オンライン) 2014年10月9日. (引用日: 2022年10月31日.) https://wired.jp/2014/10/09/nobel-prize-blue-leds/.

13. 中村修二. 負けてたまるか! ― 青色発光ダイオード開発者の言い分 ―. 東京都中央区 : 朝日新聞出版, 2004.

14. ノーベル賞の中村修二氏、「アメリカの市民権」を取った理由を語る. withnews. (オンライン) 2014年10月18日. (引用日: 2022年10月31日.) https://withnews.jp/article/f0141018000qq000000000000000G0010401qq000010997A.

15. 高橋 史忠、佐伯 真也. 韓国企業に転職したワケ、日本人技術者3人に聞く. 日経エレクトロニクス. (オンライン) 2012年11月16日. (引用日: 2022年10月31日.) https://xtech.nikkei.com/dm/article/FEATURE/20121105/249381/.

16. 大慈弥嘉久白石孝,三橋規宏. 日米繊維交渉と70年代ビジョン. 出版地不明 : 通産ジャーナル, 1993年12月.

17. 東壯一郎. 半導体企業の設備投資に関する実証研究 : 日米半導体協定の影響について. 兵庫県西宮市 : 関西学院大学商学研究, 2015.