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2024年10月17日、ジュネーブ国連欧州本部にて女子差別撤廃委員会(以下、委員会)の対日本審査会が行われた。会期後に委員会が発表した総括所見では、皇室典範で定める皇位継承の男系男子は女子差別撤廃条約に反するとして「男女平等を保障するために皇室典範を改正するよう」勧告した。

日本の伝統文化と国柄を無視した信じがたい傲慢で侮辱的な勧告であることは言うまでもない。日本政府は抗議しているが、委員会がこの勧告を削除しない場合は、国連分担金の支払いを停止し、条約を廃棄すべきだと当研究所は考える。国連の勧告に従わないのは「世界の流れに逆行してる」、「国際社会に後れをとる」という声があるが、審査プロセスの実態を知らない浅はかな意見である。

まずは、委員会において皇室典範問題がどのように扱われてきたか、審査の過程、問題点を述べる。

条約締結前 に予想されていた懸念

1985(昭和60)年、日本政府が女子差別撤廃条約を締結する直前の5月29日第102回衆議院外務委員会で、当時の安倍晋太郎外相は条約と皇室典範との関係について次のように述べた。

「皇位継承資格が男系の男子の皇族に限られていることは、本条約第一条に定義されているところの女子に対する差別には該当しない。」

日本政府は条約締結前から、皇室典範との関係について疑問の出る可能性があることを認識していたのだ。

対日審査会における皇室典範問題

 2001年に愛子内親王が誕生された2年後の2003年、対日審査会でフィリピンのマナロ委員から初めて皇室についての質問があった。

「皇室と日本政府は、プリンセス愛子が女性天皇になるように法を改正することを検討したことがありますか?」

日本政府はこう答えている。

「皇室典範では皇位継承は男子のみです。一方、天照大御神は皇室の祖先であり、日本の歴史には7人の女系天皇がいました。しかしながら、プリンセス愛子が女性天皇になる可能性はありません。」

この時の総括所見で、皇室典範は取り上げられなかった。

2016年の女子差別撤廃員会の対日審査会では、皇室典範の話は一切出なかった。にもかかわらず、会期後に発表されようとした総括所見に「皇室典範の男系男子は女性差別」という勧告が盛り込まれそうになった。議論されなかった問題を総括所見で扱うのは手続き上の問題がある。日本政府からの抗議もあり、公開前に削除された。

次に不意打ちが起こった。2020年3月9日付で委員会が発表した「日本政府への事前質問リスト(CEDAW/C/JPN/QPR/9)」に突然、皇室典範問題に関する質問事項が記された。

「女性の皇位継承が可能になることを想定した措置についての詳細を説明せよ。」

なぜこの質問が出たのか。委員会は事前質問リストを作成する前にNGOからの意見や情報を受け付ける。その中に日本のNGO「公益社団法人 自由人権協会 」が提出した意見書があった。「皇室典範が天皇となりうる者を男系男子にしか認めないのは、女子差別撤廃条約の差別の定義に該当する」というものだった。

この意見書は受付締切後に提出されたもので、通常であれば委員に無視されるべきものである。ところが、皇室典範問題を扱いたかった委員にとっては好都合の内容だったため取り上げたのだ。

事前質問リストに対して、日本政府は報告書で回答せねばならない。2021年9月、第9回政府報告書(CEDAW/C/JPN/9)で次のように回答した。

「我が国の皇室制度も諸外国の王室制度も、それぞれの国の歴史や伝統を背景に、国民の支持を得て今日に至っているものであり、皇室典範に定める我が国の皇位継承の在り方は、国家の基本に関わる事項である。女性に対する差別の撤廃を目的とする本条約の趣旨に照らし、委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない。」

女子差別撤廃委員会89セッション 対日審査会にて

この流れで、2024年10月にジュネーブで行われる対日審査会においても皇室典範が扱われることは事前に分かっていた。頼もしいことに「皇統(男系男子)を守る国民連合の会」(葛城奈海会長)が対委員会活動に取り組むこととなった。事前意見書提出、現地での会合に参加し、公開会合でのNGO発言、追加意見書提出、パンフレットを委員たちに直接手渡して説明もした。皇室典範が女性差別とは全く関係ないという様々な資料や情報は委員に伝わっていたはずだ。

10月17日に対日審査会が行われた。委員と日本政府代表団が参加し、政府報告書について委員から質問、政府代表団から回答、委員から追加質問の形で進行される。

皇室典範については、キューバのMs. Yamila González Ferrer委員が質問した。

「男女の平等を確保するための皇室典範の改正などについて検討されることをお願いいたします。」

日本政府代表団からは内閣官房が回答した。

「皇室典範に定める我が国の皇位継承のあり方は国家の基本に関わる事項でございます。女性に対する差別の撤廃を目的とする本条約の趣旨に照らし、委員会が我が国の皇室典範について取り上げることは適当ではない、ということを申し上げて答えといたします。」

常に弱腰の日本政府にしては、毅然とした立派な回答であった。我々は思わず支持を表明する拍手をした。

ところがその直後、本来なら意見を言う立場にない議長でスペインのMs. Ana Peláez Narváez が反論するかのように発言した。

「日本だけでなくすべてのそのような差別的な法律がある国に対しては同様の質問をしております。私自身の国、スペインもそのうちの一つです。従ってこのトピックは女子差別撤廃条約に関係のあるものとだと申し上げたいと思います。委員会として適切な質問だというふうに思っております。」

会場で大きな拍手が起こった。我々以外の日本人NGOは、男系男子に反対し皇室典範改正に賛同する日本人だったのだ。委員会はスペインも諸外国の王室も日本の皇室も混ぜ合わせて、委員会の使命であるかのように男女同じを押し付けた。国の伝統文化を考慮せず、皇室への尊敬の念もないことが明白となった。

委員会は、会期後に発表した総括所見(CEDAW/C/JPN/CO/9)で、皇室典範について日本政府に対し次のように勧告した。

「委員会は締約国に、皇位継承法を男女平等を確保するように改正した他締約国の良い取組に注目し、皇位継承に男女平等を保障するよう皇室典範の改正することを勧告する。」

女子差別撤廃委員会 審査の実態

諸国の一般の人は、国連の勧告というのは、立派な専門家や研究者が慎重に綿密に調べ上げて結論を出すのだろうと想像するかもしれないが、実態はまったく違っている。

エキスパートと称される23名の委員は、世界各国から選出された有識者だが、自国に明白なる人権問題を多く抱えている国の出身者も多い。会期中はかなりの過密スケジュールで、一つの問題について丁寧に調べることは不可能だ。勧告というのは短期間で数名の委員が作文するのが常態である。対国連活動に熱心な日本のNGOはいわゆる左派系団体だ。彼らは決して日本の世論を代表している論者ではないが、リベラル、フェミニスト思想の委員とは多くの問題について方向性が一致する。

 実は今回の委員会ではサウジアラビアも審査対象国であった。同国は1992年に制定した統治基本法の第五条で、王国の統治は「息子およびその子孫」が継承すると定めている。ところが、委員会はサウジアラビアに対してはこの第五条の改正を勧告していない。日本の皇室典範だけが女性差別だというのか。ダブルスタンダードの審査である。

日本に女子差別撤廃条約は不要

勧告に法的拘束力は無いとはいえ、日本国憲法では条約を誠実に遵守することが規定されている。1985年に日本が女子差別撤廃条約を締結してから40年が経とうとしているが、この間の委員会からの勧告で社会が良くなったのだろうか。当研究所は、今後全ての勧告を受け入れて履行したら、次世代に繋げるべき日本の姿はなくなると考える。

国連分担金を出して国を壊されるようなことをこれ以上続ける必要はない。日本のことは、日本人で決めれば良い。ローマ法王の例を見ても分かるとおり、それぞれの国には歴史と文化に基づく伝統がある。建国以来、男系を守ってきた皇統を考慮しないとは、それ自体、日本を軽視した振る舞いである。今回の皇室典範に関する非常識な勧告だけを取り上げても、この条約を廃棄する充分な理由である。

日本の皇室典範に関する委員会勧告に反対し削除を求める

 以上の主張の下に、当研究所は委員会による日本の皇室典範に関する勧告に反対し削除を求める。2024年11月18日、当研究所は委員会に宛て、直ちに勧告の削除を求める意見を送ったことを報告する。

記者会見のご案内【改訂版】

前略 いつも大変お世話になっております。

 さて、この度、「慰安婦は契約に基づいて働いた売春婦であったこと」を実証的に明らかにし、韓国・アメリカを中心に大きな反響を巻き起こした、ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授の著書が、日韓米の3つの国で3つの言語によってほぼ同時に出版されました。長年にわたり慰安婦問題への取り組みを続けている当研究所は、これを機会に、この論争の経過と「学問の自由」のあり方について、3か国の関係者より見解を表明いたします。

 報道各社におかれましては、取材・報道をお願いしたく、ご案内申し上げます。

マーク・ラムザイヤー教授はボストンとオンラインでつなぎ、ライブ参加となります。配信URLは判明次第、こちらのページでお知らせします。

→配信URLは「https://www.youtube.com/watch?v=cSGP7G9V3h0」です。

<記者会見>ラムザイヤー教授の「慰安婦論」の出版と「学問の自由」について

 ■日時 令和6年2月19日(月)13時より

 ■場所 プレスセンタービル9階 大会議室 (東京都千代田区内幸町2丁目2-1)

 ■会見出席者 マーク・ラムザイヤー(米国・【ボストンよりライブ】)、ジェイソン・モーガン(米国)、イ・ウヨン(韓国)、藤岡信勝、山本優美子ほか(日本)

問い合わせ 国際歴史論戦研究所 03-6912-0047

令和5年3月15日

 2023年3月6日韓国の朴振外相は徴用工問題の解決策として、韓国政府傘下の財団が日本企業の賠償金を「肩代わり」する案を発表した。韓国側が日本企業に直接賠償を求めていないこと、及び謝罪を重ねて要求していないこと等を評価し、日本政府は本案を前向きに受け入れる意向を示している。岸田首相及び林外相は「日韓関係を健全な関係に戻すもの」として「肩代わり」案を歓迎し、その上で岸田首相は韓国側に配慮して「歴代内閣の日韓関係に関する歴史認識を引き継ぐ」と公言した。さらに林外相は「政府として民間企業による国内外での自発的寄付活動について特段の立場をとらない」と発言している。

このような一連の日本政府の対応は、法論理的に考えれば、我が国の将来に重大な禍根を残す恐れのある極めて不適切なものであると言わざるを得ない。

徴用工問題を巡って日本で行われた裁判では最高裁判所が被告企業の無罪を確定している。だがここで補償金の「肩代わり支払い」を評価し受け入れれば、日本政府が韓国の最高裁判所による有罪を認めたことになる。それは日本の最高裁判所の無罪判決よりも韓国最高裁判所の有罪判決を優先することを意味し、日本の主権放棄に繋がる。

さらに同有罪判決は「日本統治は不法な植民地支配であり、従って統治下での日本企業の活動も不法である」という認識に基づいている。「肩代わり」案を日本が承認すれば、被告の通常の企業活動を有罪だと認めることになり、「合法的な統治」であったとする日本の立場が根本から崩れる恐れがある。

 また、政府が「日本企業の自発的寄付活動に特段の立場をとらない」とだけあるのであれば、それは日本政府が当該企業に暗に寄付を促しているに等しいとも解釈できなくはない。

 もし当該企業が寄付をするようなことが起これば、それは過去の「強制労働」への償いとなり、日本企業が朝鮮人を「強制労働」させたことの証左となる。

ここで日本政府が正しく対応しなければ、韓国最高裁の「日本統治は不法な植民地支配」という認識が定着し、日本統治時代で日本が行ったあらゆる行為が訴訟の対象となり、法論理上、朝鮮総督府が徴収した税金も日本企業が上げた利益も全て「不法な搾取」となり、膨大な額の対日訴訟が発生する可能性がある。

しかしながら「日本の朝鮮半島統治」はあくまでも日本国と大韓帝国の正式な国際条約によって合法的に両国が統合したものであり「不法な植民地支配」ではない。それは今日に至るまで日本政府が戦後一貫して取って来た正当な立場であり、我が国として絶対に譲ってはならない一線である。

両国の請求権については1965年に両国政府が締結した「日韓請求権・経済協力協定」によって「完全かつ最終的」に解決しており、国家間の合意は三権(立法・司法・行政)を超越して 国家を拘束するものであり、『条約法に関するウィーン条約』にもそのことが明記されている。韓国最高裁の判決は本来この協定を反故にするもので国際法違反であり、国家の統治行為の最終責任者としての大統領が自らの責任において廃棄すべきものである。しかも原告4人の中で徴用によって当該企業で働いたものは一人もおらず、「事実誤認」の不当判決でもある。

以上の通り非は全て韓国側にあり、日本が徴用工問題を巡って日本の首相が「謝罪を引き継ぐこと」を表明すべき筋合いはない。ここで韓国に迎合して不必要な謝罪或いはそれに準じる発言をすれば、これから先も事あるごとに日本は「反省の意」を表明することを求められることになるであろう。

 日韓両国が将来に向かって対等で健全な関係を回復し、信頼に基づく友好国関係を築くために、さらにはアジアの安全保障と経済繁栄に寄与するために、我々は下記の4点を日本政府に強く要望する。

1.尹錫悦大統領に対し、国家の統治行為の最終責任者であり、国家を最終的に代表する者として、韓国最高裁判決が国際法に違反していることを認め、大統領の責任において韓国内で解決すべき問題であることを正式に表明するよう、日本政府は尹錫悦大統領に求めなければならない。そうしなければ今回の尹大統領の決定すらも将来の大統領によって覆される恐れが出てくる。

2.韓国の案が日本企業の「肩代わり」である以上、日本への求償権は残る。日本政府は徴用工問題は韓国の国内問題であり、今回の解決策は「肩代わり」ではなく、韓国内で完結する解決策であるとの確認を韓国政府より取り付けなければならない。

3.終戦時に現在の韓国に残した日本の民間資産は現在の価値で7兆円に近い。これらは本来日本側に所有権があるが「日韓請求権・経済協力協定」で日本は放棄している。「日韓基本条約」及び「日韓請求権・経済協力協定」で請求権問題を含め、過去は全て清算済であることを、日本政府は韓国政府に再確認させるべきである。

4.これまで日本政府が「河野談話」「村山談話」「菅談話」などで韓国の歪曲した歴史をそのまま受け入れ謝罪を繰り返したことで、嘘が「真実」となり今日の日韓の対立を招いた。日韓和解のために日本政府は「歴代内閣の歴史認識」を踏襲すべきではなく、逆に歴史の真実に基づいてこれを見直し、日韓併合が「不法な植民地支配であった」との韓国人の誤解を解いて、日本人の名誉と誇りを取り戻さねばならない。

以上

国際歴史論戦研究所
会長 杉原誠四郎

 慰安婦問題を巡る 日韓合同シンポジウム 」(2022.11.16)を主催した国際歴史論戦研究所は、内閣総理大臣と外務大臣に宛てて報告書「慰安婦問題に関する報告と日本政府の今後の対応について」を送付しました。また、その写しを参議院外交防衛委員会衆議院外務委員会の委員、衆参両院の議長にも送りました。
その報告書をご紹介します。

令和4年12月1日

内閣総理大臣 岸田 文雄 殿
外務大臣 林 芳正 殿

一般社団法人 国際歴史論戦研究所
会長 杉原誠四郎
所長 山本優美子

慰安婦問題に関する報告と日本政府の今後の対応について

一般社団法人 国際歴史論戦研究所は、日本の立場から世界に向けて歴史論戦を展開し、故ない歴史の非難から日本を護り、超限戦としての歴史戦にも対抗していくために設立されました。国内外の研究者や団体と連携しての活動、対国連活動として人権理事会や各人権条約体委員会にNGOとして参加してきました。慰安婦問題は当研究所が力を入れて取り組んできた歴史論戦の一つです。

1.  慰安婦問題の虚偽を訴える韓国人の登場
去る11月16日、当研究所は、韓国国史教科書研究所所長の金柄憲氏及びジャーナリストの朴舜鐘氏を韓国より招き、「慰安婦問題の解決を目指す日韓連携のあり方」というテーマのもとでシンポジウムを開催致しました。また、翌11月17日には金柄憲氏の記者会見を行いました。
金柄憲氏は韓国の歴史家で元成均館大学講師など歴任し、現在は韓国国史教科書研究所の所長を務めています。金氏は慰安婦問題における韓国側の主張があまりにも事実を歪曲していることに義憤を覚え、2019年12月に同志と共に在韓国日本大使館前で、元慰安婦をめぐるさまざまな「嘘」を暴露する記者会見を行い、以来、正義連(旧挺身隊対策協議会)が日本大使館正面で開く「慰安婦を称える水曜デモ」に対抗して、同じ場所で「反慰安婦デモ」を毎週実行し、元慰安婦やその支持団体の主張が虚偽であることを一次資料に基づいて訴えてきました。最初は金柄憲氏の「一人デモ」から始まり、現在では賛同者も増え9団体が「反慰安婦デモ」に参加するようになっています。

2.  慰安婦問題の解決方法は「真実」
今回のシンポジウムでは金柄憲氏は「慰安婦問題を解決する方法はただ一つしかない。それは慰安婦問題は存在していなかったという真実を、全ての人々に知ってもらうことだ」と断言しました。シンポジウムのもう一人のパネラーである朴舜鐘氏も同様のことを主張しました。

金氏や朴氏も、韓国を愛するがゆえに日韓関係が破局に至ることを危惧し、歴史の歪曲によって韓国人の胸に刺さった日本に対する「恨みのトゲ」を抜くために、身の危険すら省みず、慰安婦問題は存在しなかったという真実を世界に訴えています。そしてそれが現在、韓国で少しずつ浸透していきつつあります。

3.  日本への憎悪を煽る虚偽で埋め尽くされた韓国の教科書
シンポジウムの金柄憲氏の発表で私たちが驚いたのは「韓国の小中高教科書内の慰安婦記述」です。すべての教科書に慰安婦の記述があり、表紙にまで慰安婦像の写真が載っているのです。
例を挙げると、小学校教科書には「日本軍慰安婦とは、日本軍が侵略戦争を起こした後、日本軍と日本政府が戦場に強制的に動員し、持続的に性暴力と人権侵害を加えた女性を指す」、中高教科書には 「日本軍慰安婦は劣悪な環境の中で人権蹂躙され、病気や暴行で死んだりもした。」、「被害者たちは殴打や拷問、性暴力などで、一生治癒し難い苦痛の中で生きなければならず、一部は反人倫的犯罪を隠蔽しようとする日本軍に虐殺されたりもした。」と記述されています。
金氏は「慰安婦に対する虚偽と捏造教育は、友好国である日本に対する漠然とした憎悪心を助長する犯罪行為」と訴えました。成長する未来世代に嘘と憎悪を教えることは、日韓間の葛藤と対立の種をまくことになります。

4.  国連における日本政府の不甲斐ない対応
当研究所ではこの10月にジュネーブ国連で開催された自由権規約委員会136セッションの対日審査会に所員を派遣しました。この委員会では、1993年から慰安婦問題が扱われ、慰安婦問題を「日本軍による性奴隷(「慰安婦」)の問題」としています。
審査会では、委員からの質問に対する日本政府代表の答弁は、日本政府にとっての真摯な謝罪の取り組みを並べただけで、聞く方にとっては慰安婦に悪いことをしたことを認めた上での言い訳としか受け取れない内容でした。
日本政府が主張すべきは、慰安婦は本当に性奴隷なのか、被害者なのかへの反論と、そもそも慰安婦とは何かを明確にすることではないでしょうか。
委員会後に発表された総括所見の勧告はこれまでと変わらず「慰安婦への人権侵害を調査し、加害者を罰せよ。被害者とその家族に賠償せよ」というものでした。

5.  提言 日本政府がとるべき対応
もしここで、慰安婦問題は存在していたとすることを前提にした韓国の無理筋の要求に対して、日本政府が、例えば「謝罪も補償も終わっている」というような、あたかも慰安婦問題は存在したかのような前提の対応を取れば、韓国で命がけで歴史の真実のために戦っている金柄憲氏たちの立場を日本が根こそぎ否定することになり、せっかく浸透しつつある彼らの活動成果を無に帰させることになります。
それはとりもなおさず日韓関係修復の道を再び断つことになり、アジアの自由主義陣営の自滅にも繋がることになります。
日本が韓国を友邦とし共に繁栄への道を歩むためには、何よりも両国関係改善のネックである慰安婦問題が解決されねばなりません。そのために日本政府は葛藤を恐れず、韓国の愛国者とも協力して「日本の官憲による強制連行は一切なかった」と史実にまで踏み込んで韓国の歴史歪曲に正面から反論し、論破しなければなりません。それでこそ韓国人の胸に刺さった「恨みのトゲ」を根本から抜き去り、シンポジウムで紹介された韓国の教科書での慰安婦問題は存在したことを前提とする誤った記述もなくなり、日韓相互理解への道が開けていきます。
逆に尹錫悦政権に妥協して真実をおろそかにし一時的解決に走れば、両国の真の相互理解はならず、両国の間に百年の禍根を残すことになるでしょう。

以上、この度の金柄憲氏を招いてのシンポジウム及び記者会見について報告申し上げ、政府の賢明なご判断と対応を期待する次第です。

以上

[ 添付資料 ]
「慰安婦問題を巡る日韓合同シンポジウム」講演資料
1. 金 柄憲(韓国国史教科書研究所所長)「 韓国の小中高教科書内の慰安婦記述に対する諸問題 」
2. 朴 舜鍾(ジャーナリスト)「 『少女像守り』反日行動の正体 」
https://i-rich.org/wp-content/uploads/2022/11/2022.11.16_Symposium.pdf

National Commissions for UNESCO

Permanent Delegations to UNESCO

To Whom It May Concern:

We, the International Research Institute of Controversial Histories (iRICH), are a Non-Governmental Organization with the principal aim of recognizing true history by tackling historical controversies of international significance based on fair historical research.

On January 28, 2022, the Japanese Government informed the United Nations Educational, Scientific and Cultural Organization (UNESCO) that Japan recommends its “Sado Gold Mine” to be inscribed as World Cultural Heritage. “Sado Gold Mine” is a historical site located in Sadogashima Island in the northern part of Japan and is composed of several gold mines. Sado Gold Mine has a long history and during Japan’s Edo period (from1603 to 1868), the entire process of gold mining and refinery was carried out by traditional manual manufacturing. In the 17th century, the Mine produced over 400 kilograms of gold per year and its production was at a top level in the world. Today, this historical site has preserved the memory of the superb technical level achieved at the time. As such, the Japanese Government recommended this site as worthy of the status of a World Heritage Site.

However, the South Korean Government claimed that Sado Gold Mine was the very place where Koreans were forced to engage in labor during World War II and that therefore it is strongly opposed to Japan’s recommendation of the site, demanding that Japan withdraw the recommendation.

Whether Sado Gold Mine would be inscribed as World Heritage site or not is to be decided finally in June or July 2023 by the World Heritage Committee after the International Council on Monuments and Sites (ICOMOS) fully examines the recommendation for a year. During this period, we anticipate the South Korean Government’s feverish lobbying to prevent Sado Gold Mine from being inscribed.

However, the South Korean Government’s assertion against the prospective inscription is totally untrue. Here, we will point out how absurd and fact-twisting the Korean assertion is.

The focus of Japan’s recommendation is the Edo period.

Japan’s recommendation deals strictly with the Edo period. It highly evaluates the gold production system of manual manufacturing established during the Edo period, which has been rarely seen in the world. This has nothing to do with Korea and Korea is not a party involved in the issue. Therefore, South Korea is not in the position to oppose the inscription in question.

Moreover, the Korean assertion that “there was forced labor in the gold mines, which disqualifies the site for World Heritage Site” is wrong in the first place. If the Korean assertion were right, Athene’s “Parthenon” or Rome’s Colosseum would surely be disqualified because both of them were built by slaves.

There was no forced abduction.

It is true that there were Korean workers in Sado Gold Mine during World War II. However, those Korean workers were not forcibly brought there as the South Korean Government claims. Most of the Korean workers in Sado Gold Mine went to work there of their own volition, looking for high wages. At that time, in order to come to mainland Japan from the Korean Peninsula, various permits were needed. Those who failed to obtain the necessary permits often entered mainland Japan illegally, seeking work for high wages. From 1939 to 1942, 19, 200 illegal immigrants were caught and then were forcibly sent back to the Korean Peninsula. If there had been a need to forcibly bring Korean workers, those illegal immigrants caught upon entry would have never been sent back to Korea.

“Mobilization” of Koreans, who were Japanese nationals at the time, was legal.

There were some Korean workers brought from the Korean Peninsula to mainland Japan through “mobilization.” At that time, Japan and Korea were one country and Koreans were Japanese citizens. Therefore, it was legal to mobilize Koreans who were Japanese nationals. The ILO Forced Labour Convention, 1930 (No.29) [Japan ratified the Convention before the War] Article 2-2-c) states: “The term forced or compulsory labour shall not include any work or service exacted in case of emergency, that is to say, in the event of war....” Thus, the mobilization of Korean people was authorized by the international law. In April 2021, the Japanese Government decided at a cabinet meeting that the wartime mobilization of Korean workers does not constitute forced labor as stated in the Forced Labour Convention. Prime Minister Kishida Fumio has confirmed it.

There was no slave labor.

There was no wage system based on ethnic differences applied at Sado Gold Mine. As for payment and treatment, there was no difference between Japanese and Korean workers. A reliable primary source “the Japan Mining Industry’s “Survey Report on Korean Laborers”, December 1940” reveals that with wages being paid according to results, many Korean workers earned more money than the Japanese workers did. South Korea’s assertion that Korean workers were abducted and engaged in forced labor is merely a lie South Korea made up to denigrate Japan.

As pointed out above, South Korea’s assertion distorts historical facts and is totally groundless. South Korea’s aim is to degrade Japan’s past by rewriting history and to hold a diplomatic superiority over Japan. To accomplish this goal, South Korea is deploying “intelligence warfare,” using the United Nations. If various United Nations organizations involved in the World Heritage Inscription were to make a wrong judgment regarding the case of Sado Gold mine, confused by the unilateral lobbying activities conducted by South Korea, not only would be Japan’s national honor deeply harmed, but also the United Nations’ credibility would be enormously damaged.

Hereby, we, as Japanese nationals, ardently ask those who are involved in the case of inscription of the World Heritage Sites to duly evaluate the historical value of Sado Gold Mine in a just and impartial manner and inscribe Sado Gold Mine as World Cultural Heritage, and not be influenced by the South Korea’s political propaganda.

Japanese translation

2021年7月22日、ユネスコ世界遺産委員会は、長崎市の端島炭鉱(通称軍艦島)を含む日本の世界文化遺産「明治日本の産業革命遺産」に関し、登録時の約束を実行していないとして日本政府へ対し「強い遺憾」を表明する決議案を採択しました。

この決議は真実からかけ離れた極めて偏った情報に基づいてなされており、日本国民の尊厳を貶める不当なものです。

そこで、国際歴史論戦研究所は8月31日、ユネスコ加盟各国のユネスコ委員会・政府代表部357か所に声明「ユネスコによる不当な決議の撤回を要求する」を送りました。

また、同内容のNGO意見書を国連人権理事会48セッション(2021.9.13-10.8)にも提出しました。

英語版
We request overturning the unjust decision adopted by the UNESCO

日本語版
ユネスコによる不当な決議の撤回を要求する