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藤木俊一上席研究員は、第55回国連人権理事会にて「中国の報道の自由問題」についてNGOスピーチを行いました。スピーチの内容は動画をご覧ください。

スピーチ内容(英語)

Thank you, Chairperson,

The COVID-19 outbreak in Wuhan revealed the bravery of individuals whose commitment to truth and human rights resulted in persecution by the Chinese government. Their reporting highlighted the severity of the situation in Wuhan, yet they faced unjust imprisonment and espionage charges for advocating for freedom of speech.

These cases illuminate the broader issue of press freedom in China.

The government's crackdown on independent journalism not only violates human rights but also obstructs the free flow of information and stifles public discourse.

Anti-Spy Law is used to target journalists and businessmen, damaging international trust and cooperation.

These human rights violations by the China contradict the principles of the Vienna Declaration and Programme of Action. It is vital for the international community to raise awareness of these abuses and hold the China accountable.

As the PRC serves on the United Nations Human Rights Council member from 2024 to 2027, there is an opportunity for change and accountability. We urge the PRC to fulfill its responsibilities and demonstrate a genuine commitment to respecting human rights.

We hope that this Council will recommend China to protect their own people's human rights as a member of this Council, before making any comments on the human rights of other countries.

Thank you very much, Chairperson.

スピーチ内容(日本語)

武漢で発生したCOVID-19は、真実と人権への取り組みが中国政府による迫害という結果を招いた個人の勇敢さを明らかにしました。彼らの報道は武漢の状況の深刻さを浮き彫りにしましたが、彼らは言論の自由を主張したために不当な投獄やスパイ容疑に直面しました。

これらのケースは、中国における報道の自由という幅広い問題を照らし出しています。

独立したジャーナリズムに対する政府の弾圧は、人権を侵害するだけでなく、情報の自由な流れを妨害し、公共の言論を抑圧することにつながっています。

スパイ防止法はジャーナリストやビジネスマンを標的にするために使われ、国際的な信頼と協力を損なっています。

中国によるこうした人権侵害は、ウィーン宣言と行動計画の原則に反しています。国際社会がこうした侵害に対する認識を高め、中国の責任を追及することは極めて重要であると言えます。

中国が2024年から2027年まで国連人権理事会の理事国を務めるにあたり、変化と責任を果たす機会があります。私たちは、中国がその責任を果たし、人権尊重への真の取り組みを示すよう強く求めます。

我々は、この理事会が中国に対し、他国の人権についてコメントする前に、この理事会のメンバーとして自国民の人権を守るよう勧告することを希望します。

仲村覚国際歴史論戦研究所上席研究員は、第55回国連人権理事会で、沖縄県に対してこれまで6度も出されている先住民族勧告の撤廃を訴えるスピーチをしました。

<仲村氏のスピーチ全文(英語の原文)>

Thank you. Mr. Vice-President. This Council and the Committee on the Elimination of Racial Discrimination have recommended six times that the Japanese government must recognize the Okinawans as indigenous people and protect their rights. However, most Okinawans are unaware that they are considered indigenous by the UN and have been repeatedly recommended to do so. Even Okinawa Governor Denny Tamaki, who addressed at the last Council meeting, has repeatedly stated that they have never been declared indigenous or even discussed by the Okinawa Prefectural Assembly or Okinawan society. The fact that such recommendations are being issued when the Okinawans have neither discussed nor demanded them is clearly an effort by a specific government to divide the Japanese people and weaken them by making them fight each other. The UN should not issue recommendations based on a purposely manipulated and separatist report by those specific groups. We call on this Council to dispatch the Special Rapporteur to Okinawa to meet with Okinawans to learn about the real situation in Okinawa without prejudice. We then ask the Council to revisit these recommendations. Thank you very much.

<仲村氏のスピーチ全文(日本語訳)>

ありがとうございます。副議長。この評議会と人種差別撤廃委員会は、日本政府が沖縄県民を先住民族として認め、その権利を守らなければならないと6回にわたって勧告してきました。しかし、ほとんどの沖縄県民は、自分たちが国連によって先住民族と見なされていることに気づいておらず、繰り返しそうするように勧められてきました。前回の人権理事会で演説した玉城デニー沖縄県知事でさえ、沖縄県議会や沖縄社会で先住民族と宣言されたことは一度もないし、議論されたこともないと繰り返し述べています。沖縄の人々が議論も要求もしていないのに、このような勧告が発せられているという事実は、明らかに、特定の政府が日本国民を分断し、互いに戦わせることで弱体化させようとしています。国連は、これらの特定のグループによって意図的に操作された分離主義的な報告に基づいて勧告を出すべきではありません。私たちは、この理事会に対し、特別報告者を沖縄に派遣し、沖縄の人々と会い、沖縄の実情を偏見なく学ぶことを求めます。そして、理事会に対し、これらの勧告を再検討するよう要請します。

藤木俊一上席研究員は、第55回国連人権理事会にて「ウイグル問題」についてNGOスピーチを行いました。スピーチの内容は動画をご覧ください。

スピーチ原稿(英語)

We are here to express grave concern about the ongoing and systematic human rights abuses against Uyghurs in Xinjiang.

China continues to deny access to the region, making independent verification of reports of systemic discrimination, mass arbitrary detention, and forced labor challenging.

However, a growing body of evidence, including extensive research by NGOs, journalists, and academics, paints a disturbing picture of systematic human rights abuses.

Mass detentions in "vocational training centers," which function as de facto internment camps.

These facilities subject individuals to political indoctrination, forced labor, and cultural assimilation attempts.

A 2023 report by the UN iCERD raised concerns about mass surveillance, restrictions on religious practices, and forced sterilizations.

Mr. President, We urge this Council to recommend following 3 recommendations to China;

1. Allow free access to Xinjiang for observers, including UN human rights experts.

2. Release arbitrarily detained individuals.

3. Conduct a comprehensive investigation into allegations of torture, forced labor, and cultural assimilation.

•Urge member states to adopt legislation banning the import of goods produced with forced labor in Xinjiang.

We urge the Council to take decisive actions.

スピーチ内容(日本語)

私たちは、新疆ウイグル自治区におけるウイグル人に対する現在進行中の組織的な人権侵害について、重大な懸念を表明するためにここに集まりました。

中国は新疆ウイグル自治区への立ち入りを拒否し続けているため、組織的な差別、大量の恣意的拘束、強制労働に関する報告書の独立した検証は困難です。

しかし、NGO、ジャーナリスト、学者による広範な調査を含む証拠は増え続けており、組織的な人権侵害の懸念すべき姿を描き出しています。

事実上の収容所として機能する「職業訓練センター」での大量拘束。

これらの施設では、政治的洗脳、強制労働、文化的同化の試みなどが行われています。

国連のiCERDによる2023年の報告書は、集団監視、宗教的慣習の制限、強制不妊手術について懸念を示しています。

議長、私たちは本理事会が中国に対し、以下の3つの勧告を行うよう強く求めます;

1.国連の人権専門家を含むオブザーバーの新疆への自由な立ち入りを認めること。

2.恣意的に拘束されている人々を釈放すること。

3. 拷問、強制労働、文化同化の疑惑について包括的な調査を実施すること。

-加盟国に対し、新疆ウイグル自治区での強制労働によって生産された商品の輸入を禁止する法律を採択するよう喚起することを求めます。

私たちは理事会に対し、断固とした行動をとるよう求めます。

藤木俊一上席研究員は、第55回国連人権理事会にて「チベット問題」についてNGOスピーチを行いました。スピーチの内容は動画をご覧ください。

スピーチ原稿(英語)

We call for your attention to express our grave concern about ongoing human rights violations in China-controlled Tibet.

 As a cultural and religious minority, the Tibetan people continue to face systematic oppression and violation of their fundamental human rights as enshrined in the Universal Declaration of Human Rights.

 Tibetan monks died in custody due to torture and ill-treatment.
Tibetan nomads are forced to move into urban areas for migration and assimilation.

This policy is destroying traditional livelihoods and weakening the cultural identity of the Tibetan people.

Widespread surveillance, restrictions on freedom of movement, and systematic suppression of Tibetan language and culture in education.

Tibetan Buddhism faced severe restrictions, monasteries are closed, language and education marginalized in favor of Chinese, and nature destroyed for economic gain.

Independent access to Tibet is restricted, making it difficult to verify official claims.

However, consistent reports from human rights groups, journalists, and former Tibetan residents paint a very different picture.

We ask this Council for following 3 recommendations to China.

1.Allow press and UN members free access to Tibet.

2.Release all political prisoners and end the arbitrary detention of peace activists.

3.Respect Tibetan people's freedom of religion and belief.

Even at this moment, they are suffering.
We need to take a decisive action. Silence is not our choice.

スピーチ内容(日本語)

私たちは、中国が支配するチベットで現在も続いている人権侵害について重大な懸念を表明するため、皆さまの注意を喚起します。

 文化的・宗教的マイノリティであるチベットの人々は、世界人権宣言に謳われているように、組織的な弾圧や 基本的人権の侵害に直面し続けています。

 チベットの僧侶たちは、拷問や虐待により拘留中に死亡しました。

チベット人遊牧民は、移住と同化のために都市部への移動を余儀なくされています。

この政策は伝統的な生計手段を破壊し、チベット人の文化的独自性を弱めています。

広範囲にわたる監視、移動の自由の制限、教育におけるチベット語と文化の組織的な弾圧。

チベット仏教は厳しい制約に直面し、僧院は閉鎖され、言語と教育は中国語を優先して疎外され、自然は経済的利益のために破壊されています。

チベットへの独立したアクセスは制限されており、公式の主張を検証することは困難であるというのが現状です。

しかし、人権団体、ジャーナリスト、元チベット住民からの一貫した報告は、まったく異なる姿を描いています。

私たちは本理事会に対し、以下の3点を中国に勧告するよう要請します。

1.報道機関と国連加盟国にチベットへの自由なアクセスを許可すること。

2.すべての政治犯を釈放し、平和活動家の恣意的な拘束をやめること。

3.チベット人の信教の自由を尊重すること。

今この瞬間も、彼らは苦しんでいます。

我々は断固とした行動を取る必要がある。沈黙は我々の選択肢ではありません。

著者:金柄憲

日本語版出版:文藝春秋社 (Amazonリンク

解題
 評者矢野は国際歴史論戦研究所上席研究員であり、陸上自衛隊陸将補を務めた後、岐阜女子大学、日本経済大学等で客員教授として教鞭を執る。専門分野である安全保障の観点から世界の国際紛争や日本国内に存在する歴史戦に対して日本の立場から数多くの提言を残すと共に、一般財団法人日本安全保障フォーラム会長を務めている。

 本書評は、『赤い水曜日』発行直後に日本国内での販売を後押しするためにAmazonのレビューとして記されたものである。

金柄憲氏は研究者として、また活動家として旧挺体協、現在の正義連が吹聴している「嘘」を暴き、言論と活動の現場で発信していることに対する孤軍奮闘のたたかいが多くの韓国の人々の共感を呼び、大きなムーブメントとなっていった。時に「慰安婦」強制連行を非難する集会では正義連を圧倒することもある。また、金柄憲氏は名古屋で行われた「表現の不自由展」や、フィラデルフィアの慰安婦像設置に併せて現地で韓国人の立場から韓国外でも反対運動を繰り広げた。

 金柄憲氏の主張と行動について、評者は日本人が真実の歴史に触れるばかりにとどまらず、韓国でなされている嘘の教育や対北政策に対する韓国国内における売国的行為に対するカウンターであるとした。

 また、評者はこれらが解決されることによって、日本と韓国の間に真の友好が芽生え、未来志向の発展と共に、共産主義勢力に対して自由主義陣営が勝ち抜くことの重要性を著した一冊であると評している。

日本語で出版されることによって保守的日本人の溜飲を下げるのみにとどめず、日本、韓国そして世界中の良識ある研究者や有識者が一致団結するきっかけとして、金所長が表明する憂慮に応えるためにも、さらに多くの言語での出版が望まれるところである。

当記事では、国際歴史論戦研究所 矢野義昭上席研究員によって書かれた書評を紹介します。

著者 ジョン・マーク・ラムザイヤー

和訳 藤岡信勝(編訳)、山本優美子(編訳)、藤木俊一、茂木弘道、矢野義昭
出版 ハート出版 (2023) (Amazonリンク

解題

ハーバード大学教授ジョン・マーク・ラムザイヤーは「法と経済」の分野の研究者で、日本の年季奉公制度(英語ではindenture)と芸娼妓契約の構造を「ゲーム理論」によって分析した論文を1991年に発表した。その後いわゆる慰安婦問題が世界的に広がる中で、2020年には「太平洋戦争における性サービスの契約」という論文を公表した。これに対し韓国を震源地としてアメリカを中心にラムザイヤーへの個人攻撃が始まった。

 慰安婦に関する日本の研究が英語圏で知られなかったこともあって、欧米では「慰安婦=性奴隷」という嘘が通念として定着していた。ラムザイヤー論文が登場すると、欧米の学者たちは論文の中身を批判するのではなく、ラムザイヤーへの個人攻撃と論文の撤回を要求したのである。研究者でありながら、歴史の真実に向き合うことを拒否しているかのような態度であった。

 本論文は国際歴史論戦研究所の上席研究員・藤岡信勝が『産経新聞』の「正論」欄に寄稿したもので、2023年12月25日に同紙に掲載された。英訳版は英語発信メディアのJAPAN Forward が2024年1月10日に発信したものである。

日本ではラムザイヤーの4つの論文を5人の翻訳者が協力して翻訳し、『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』と題して2023年12月にハート出版より刊行された。この翻訳・編集作業の中心を担った藤岡信勝は、1943年北海道生まれ。東京大学教授、拓殖大学教授を歴任。1996年中学校の全ての歴史教科書に「慰安婦強制連行」の嘘が掲載されたことに憤激した人々によって結成された「新しい歴史教科書をつくる会」の中で中心的役割を果たしてき者の一人である。

 ラムザイヤーは1954年アメリカ、シカゴ生まれ。生後6か月のとき、父親の仕事の関係で来日し宮崎県の小学校を卒業。高校まで日本で過ごしたのち、大学入学の際にアメリカに帰国。1998年からハーバード大学教授。日本語は極めて堪能。2021年、慰安婦論文がもとでバッシングを受けたとき、国際歴史論戦研究所は支援のため「学問の自由を守る」緊急シンポを開催し励ましの熱いエールを送った。それ以来、ラムザイヤー教授と当研究所との交流が続いている。

日本語版 産経新聞「正論」欄 ラムザイヤー教授の不屈の言論(藤岡信勝)
英語版  Japan Forward "Comfort Women: Professor Ramseyer's Indomitable Argument" by Nobukatsu Fujioka

令和6年(2024年)2月

国際歴史論戦研究所 ゲスト・フェロー

白川司

【英語版】https://i-rich.org/?p=2019

■「学術会議の在り方問題」が決着へ

 日本学術会議について、政府は現在の「国の機関」から「法人格を持つ国から独立した組織」に改める方針を決めたことが、2023年12月22日の松村国家公安委員長の記者会見で明らかにされた。2020年10月の菅義偉内閣による「任命拒否問題」から続いてきたこの問題は、次の岸田文雄内閣で一定の解決に向かって進み出した。

 日本学術会議はこれまで会員選考について政府と何度も対立してきた。同会議は国の機関であり任命権は総理大臣にある。だが、同会議は推薦した第一候補者を拒否することを全く受け入れてこなかった。だが、国から独立するのであれば会員選考も自立的に行えるので、今後はこのような対立はなくなる。

 日本学術会議はこれまで年10億円の支援を国から受けてきたが、今後はそれが縮小されていく。当面は財政支援を受けながら、財政基盤の多様化を試行錯誤していくことになる。同時に、運営の透明性を高めるしくみも検討していくという。

 この決定を日本学術会議は未だに承服はしておらず、同会議の意見を一部取り入れる必要は出てくる可能性もあるが、決定自体を覆すのは困難であろう。

■「任命拒否問題」の本質と思わぬ副次効果

 上述した菅義偉内閣による「任命拒否問題」の前に、日本学術会議改革の舞台を整えていたのが安倍晋三首相(当時、以下同)だった。

 両者の衝突は2度あった。1度目は2016年で、会員の3ポストの欠員が出たときの補充人事で、安倍首相はうち2ポストを第二候補に差し替えるよう要求。二度目は2018年で、11ポストの補充人事のうち1ポストを第二候補に差し替えるよう要求した。押し問答の末、どちらも日本学術会議側が人員補充自体を取り止めて決着している。

 ここで注意すべきは、日本学術会議が1ポストにつき2名の候補を立てていながら、実際は第一候補しか認めないことだ。同会議はこのやり方を何十年も貫き、政府や文部省(当時)や同会議や関連組織で第一候補を外そうとすると激しく抵抗してきた。表向きは2候補でも、実情は同会議の指命に過ぎなかった。

 3年に1回行われる会員の半数改選でも日本学術会議は同様の手法をとってきた。

 2017年の会員改選の折、安倍首相の要請により、日本学術会議は定員105名に対して110名を推薦するようになり、総理に5名の拒否枠を提示するようなった。だが、実際には日本学術会議側は「任命されるべき105名」を指定しており、残りの5名は任命する気などない形だけのものだった。

 2020年に「任命拒否」が起こった背景に、この前例を破って日本学術会議側が定員ぴったりの105名しか推薦しなかったことがある。

 平たく言うと、前首相との約束を破り、菅義偉首相(当時、以下同)に喧嘩を売ったわけである。これを受けて菅首相は任命拒否を「6名」に拡げて喧嘩を買う形となった。

 だが、この問題は思わぬ副次効果を生んだ。それは、日本学術会議と共産党のつながりが一般にも知られるようになったことだ。菅首相はこの問題で野党とマスコミに集中砲火を浴びたが、同時に日本学術会議も共産党も最大の懸案だったCOVID19のパンデミックそっちのけで、政府批判ばかりを繰り返した。

 だが、共産党が必死になるほどに日本学術会議との強い関係があぶり出されて、日本学術会議に反感を持つ人たちが増えることとなったわけである。

■国からの独立が必要な理由

 日本学術会議は小林内閣府特命大臣(科学技術政策等)にあてた2023年7月25日付の書面で軍民両用技術の研究について、「軍民両用と軍事に無関係な研究を明確に分けるのは困難」という認識を示し、多くのマスコミがこれを受けて「同会議が軍事研究を許容した」と報じた。

 この報道を受けるなり、日本学術会議は改めて1950年の立場を堅持することを主張する。その後、軍民技術を分けることは困難である見解を再度示したものの、同会議が共産党的「戦後平和主義」を手放す気がないことが明白になった。この期に及んでも戦後平和主義のイデオロギーに支配されており、国の機関としての役目を全うする気がない。

 日本学術会議は設立当初から「軍事研究は戦争の原因になる」という立場を貫き、1950年、1967年、2017年と3度にわたり軍事研究を行わない旨の声明を発表している。

 だが、軍民両用技術は今後の経済発展の根幹をなしているインターネットやAI、ドローンなどの技術が含まれている。日本はこれらの分野でアメリカから後れをとっており、中国にも差をつけられ始めている。官民が一体となって技術力を高めなければ国際競争についていけない。

 また、日本学術会議は2015年に中国科学技術協会と協力覚書を締結しており、同協会人民解放軍直轄の軍事科学院と間接的に人的交流があることから、そこに協力すれば中国の軍事技術に貢献するリスクがある。  日本学術会議が中国の軍事研究に協力的でありながら、日本の軍事研究は非協力的である。このように日本にとって害悪のある組織なのであれば、国からの独立させるのは当然だ。一日も早い国からの独立を望む。

令和6年(2024年)2月

国際歴史論戦研究所 上席研究員

仲村覚

【英語版】https://i-rich.org/?p=1930

■反戦平和運動から反差別闘争にシフトした革命闘争

 2010年代の辺野古闘争から使われ始めている新たなキーワードがあります。それは、「沖縄差別」という言葉です。それは「日米安保の重要性は理解するが、沖縄に過剰な基地を押し付ける差別は許さない」というロジックです。日米安保反対を県民に扇動しているのではなく、差別は許さないという感情を煽って扇動しているのです。

 その被差別意識を醸成するために、「琉球処分」とか第二次大戦で沖縄を「捨て石」にしたというストーリーを使って、「沖縄は常に日本の差別的植民地支配を受けて、それは今も続いている」と主張します。

また、「沖縄県外の人たちは、沖縄を差別しているとは自覚は無いまま、国家の利益のために沖縄を差別している。これを「構造的差別」というと新たな専門用語も使われ始めています。そして、沖縄の未来のためには、沖縄の自己決定権を回復するしか無い、という運動目標を提示しているのです。

つまり、沖縄の反基地運動は、かつての日米安保の破棄を目指す「反戦平和運動」から、沖縄差別の解消をスローガンにした「反差別闘争」に完全にシフトしているのです。

■国連勧告を利用した反差別闘争

 2008年より国連の自由権規約委員会及び人種差別撤廃委員会より、日本政府に対して「沖縄の人々を公式に先住民族と認めてその権利を保護するべき」との勧告が合計6回出されています。日本政府は反論していますが、繰り返し出されるということは、国連は沖縄の人々を先住民族と認識は揺らいでいないということです。この勧告が危険なのは、2007年に日本政府も賛成して採択された「先住民族の権利のための国際連合宣言」に連動していることです。その第30条には、「先住民族先祖伝来の土地、領域では軍事活動は行わない」という条文があり、また、軍事活動を行う場合は、先住民族のリーダーとの効果的な話し合いが必要とあります。つまり、国連の認識では、沖縄の人が米軍基地は不要だと言い出せば、それに対応した行動を取らない日本政府は「先住民族の権利のための国際連合宣言」に違反していると見なされることになるのです。

また、中国はそこに乗じて、琉球は古来より中華民族の一員で、日米からの独立運動を続けており、中国人民はそれを支援しなければならないなどと国内外にプロパガンダを発信していますので、台湾有事の際、この「反差別運動」は中国が沖縄の主権に口出ししたり、手出ししたりする口実に利用される可能性が極めて大きいといえます。

■定義があいまいなヘイトスピーチを利用して階級闘争を煽る日本のマスコミ

 日本政府においては危険な法律や条例も作られ続けています。代表的なものが「ヘイトスピーチ解消法(通称)」です。正式名称は、「本邦外出身者に対する不当な差別的言動の解消に向けた取組の推進に関する法律」といい、本邦外出身者、つまり政府が日本における少数民族と認めているアイヌや在日朝鮮人等に対する差別的言動の解消に対しての取り組みを決めた罰則の無い理念法です。差別的言動を解消するという目的事態は否定できないのですが、これは悪用されるリスクの高い法律であり、事実、悪用されています。

法律では本邦外出身者に対する差別的言動の定義がされていますが、日常ではほぼ同義語の「ヘイトスピーチ」という用語が使われています。法務省の人権擁護局では「ヘイトスピーチ」の事例は示されているものの明確な定義はありません。法務局に確認したらヘイトスピーチという用語の使い方に意見を言う立場にないとの回答だったのです。事実上の回答拒否です。

そのため、沖縄県民は本邦外出身ではないにもかかわらず、「沖縄ヘイト」という言葉がまん延しています。それを根拠に「県は、県民であることを理由とする不当な差別的言動の解消に向けた施策を講ずるものとする。」という条文が盛り込まれて「沖縄県差別の無い社会づくり条例」が令和5年4月に施行されました。これらの法律や条例を根拠に差別闘争の手法や行動を批判するものとターゲットに、ありもしない差別をでっちあげ、「◯◯が差別した。」「◯◯の発言はヘイトスピーチだ!」とレッテル貼りの批判をする人やマスコミが現れ、誰も改善を求めることができなくなるのです。

■沖縄についての「世論戦」をどのように戦うか

 中国人民解放軍の教範には、「三戦」が謳われています。「世論戦」「心理戦」「法律戦」です。人民解放軍は、これらの戦は、「中央軍事委員会の戦略的意図と作戦任務に基づき行われる戦闘行動」と定義されています。これらは密接に関わり合っていますが、今の沖縄で最も重要なのが政治に大きな影響を与える「世論戦」です。そして昨今、「琉球の人々は琉球王国時代から日本に差別され続けており、再び戦場にされようとしている。戦争を回避するためには沖縄の自己決定権を回復させなければならない」というストーリーに基づいた世論戦が仕掛けられているわけです。残念ながら現在の日本では、自衛隊を始めどの情報機関も世論戦に対して防衛を遂行する任務を持つ機関も能力を持つ機関も無いのです。中国の三戦に対しては、民間人が立ち上がって戦うしかありません。しかも、台湾有事の危険性が近づいた今、沖縄の世論戦は国防最前線だといえます。

更にその世論戦の裏で沖縄の人々を先住民族とする国連勧告が出されているのです。この勧告はほとんどの沖縄県民は自らのアイデンティティーにかかわる当事者であるにもかかわらず、みごとに隠蔽されて知らされていないのです。徹底的に隠蔽されている理由は、99%以上の沖縄の人々は日本人とのアイデンティティーを持っているため、扇動に失敗することをわかっているからです。

ここに、劣勢に追い込まれながらも世論戦を優位に戦う切り口があります。もし、この勧告の存在や「反差別闘争」の目的と危険性を多くの沖縄県民に知らせ、「先住民族だと思う人はあちらの候補へ、日本人だと思う人はこちらの候補に入れてください!」と選挙の争点にまで持ち込むことができたら、一気に形勢を逆転させることができると思うのです。そして「ヘイトスピーチ」という便利なツールを獲得した差別反対闘争勢力でも、「我々は日本人だ。国連勧告は間違っている!」と主張する人を「ヘイトスピーチだ!」とレッテル貼りをすることはできないからです。

ただ、テレビ新聞のほとんどは「反差別運動」側の陣営にありますので、我が陣営の世論戦の活動は、ネット拡散、チラシ配布、街頭演説という限られた手段しかありません。しかし、もし、日本の人口のわずか1%に過ぎない沖縄に対し、残りの99%の全国の愛国者が一丸となって戦えば、沖縄県民を目覚めさせ、沖縄の世論戦に勝利を収めるものと確信しております。日本国民全体の自覚を期待します。