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著者:白松繫(しらまつ しげる)
書名:『真珠湾 ルーズベルトは知っていたー「騙し討ち」説を覆す15の証明』(ミネルヴァ書房 2025年)
[英語書名 Pearl Harbor Attack: Roosevelt knew it – 15 proofs that overturn the “Sneak Attack” theory]

評者:杉原誠四郎(国際歴史論戦研究所 会長)

(1)1941年(昭和16年)の日米開戦の戦端となった日本海軍の真珠湾奇襲について、アメリカ大統領ルーズベルトは事前に知っていたかどうかをはっきりさせることは、アメリカの戦後史の重大な課題である。

奇襲の翌日の大統領の議会での演説の時点では、議員の誰もが想像しなかったことだが、真珠湾攻撃の規模の大きさと被害の深刻さから、やがて、ルーズベルトは知っていたにかかわらず、それを真珠湾の基地に伝えず、それで被害が大きくなったのではないか、という疑念は自ずと芽生えた。

ともあれ、あれだけ大規模な攻撃を事前に察知できず、あれだけの被害を受けることになったのか、それはアメリカ国民の重大な関心事であり、その解明は歴史的にも重大なる課題だった。そのことを調べるために、戦時下で8回、戦争終直後上下両議会合同の調査委員会を含めて計9回の公的な調査が行われた。

このうち、ルーズベルトは日本海軍の奇襲を事前に知っていたのではないかという疑念を最も強く抱いてかつ大規模に行われたのは、言うまでもなく1945年(昭和20年)11月15日から翌年1946年5月31日までに行われた上下両院合同調査委員会の調査である。が、これだけ大規模に調査されながらも、ルーズベルトは知っていたという証言は得られず、なおかつそれを示す証拠となる資料も得られなかった。

こうしてしばらくは真珠湾問題に関する関係文書は非公開のままに進み、ルーズベルトは知っていたかという問題は凍結状態になるわけである。

(2)が、それでも、真珠湾攻撃があって約40年後、上記の公開調査の資料を使って、アメリカで広く読まれることになる本が2つ出た。

1つは1981年に出たGordon W. Prange, At Dawn We Slept: The Untold Story of Pearl Harbor ( McGraw Hill, 1981.) である。他は1982年に出たJohn Toland, Infamy: Pearl Harbor and Its Aftermath ( Doubleday, 1982) である。

 この2つの本は、同一の資料を使いながら、両者の結論は全く反対だった。

前者プランゲの結論は、この本の最後に書いてあるように、「1981年5月1日までに世に出たすべての出版物を含む、30年以上にも及ぶ徹底的な資料調査をもってしても、我々はルーズベルトと真珠湾攻撃に関する修正主義者の立場を立証するような一編の資料も発見しなかったし、正式な証言の中にもそうしたものは一言もないのである」ということになっていた。

これに対して後者のトーランドの本ではルーズベルトは知っていたと真反対の結論を出したのである。その1つ強力な根拠としたのは、上記9回の公式の調査では出てこなかったが、サンフランシスコの第12海軍区のZなる無線士が機動部隊から出たと思われる電波をとらえ、機動部隊の位置を把握し、それをワシントンに報告していたという証言を載せていた。それが事実ならば、もはやルーズベルトは知っていたと言うよりほかはない。しかしこの時点では、日本の軍事史学では、真珠湾を攻撃した機動部隊は無線封止を厳守したということになっており、それがアメリカにも影響して、Zなる無線士の証言は十分には信頼されず、トーランドの説はアメリカで多く読まれながらも、アメリカではいまだ賛成しかねると見る見方が大勢となった。

もともとアメリカでは日米戦争を正義の戦争として戦ったわけで、ルーズベルトは知っていたとして、真珠湾の犠牲者はルーズベルトによって犠牲者となったとは信じたくないという心理的構造の中にあったので、トーランドの本を興味深くは読んだけれども、ルーズベルトは知っていたという完全なる証拠はないということで、ルーズベルトは知っていたという予知説には与しなかったといえよう。

(3)が、それから約10年経て真珠湾50周年に当たる1991年(平成3年)、アメリカ国防総省安全保障局(NSA)は、ルーズベルトの予知説に終止符を打つべく、真珠湾50周年を前にして解禁をした極秘文書を調査して、アメリカ海軍は日本海軍の真珠湾奇襲を予期できなかったと結論づけたとして発表した。が、この年に日本で出た今野勉『真珠湾奇襲-ルーズベルトは知っていたか』(読売新聞社 1991年)は、それに明確に反する結論を出していた。直接証拠とはいえないが、傍証となるルーズベルトは予知していたという世界に広がっている、そして史料的価値のあることを否定することのできない7つの証言を逐一検証し、この7つの証言は、それぞれ別の情況を証言しているのだが、それらを検証すると、時と場所を超えて全て整合し符合している、ということを明らかにしたのだ。直接証拠に基づくものではないとしても、ルーズベルト予知説が正しいことを明確に印象づけることは確かである。

その中の1つ、上記トーランドの本で、機動部隊から出てくる電波を見つけて機動部隊の位置を把握してワシントンに報告していたという話であるが、これにつきこの今野の本では、機動部隊が淡路島くらいの広がりをもって北太平洋を航行すれば、船橋から機動部隊に向けて発信する電波が機動部隊が鏡のようになって反射し、そこから新たに電波が発信されたかのような効果が出てくることがあるという説を紹介していた。この説が成り立つのであれば、機動部隊は厳しく電波発信を封じていたということと、アメリカ海軍で機動部隊から出てくる電波を分析して機動部隊の位置を把握してワシントンに報告していたという証言が両立する。

(4)それから約10年、2000年(平成12年)、Robert B. Stinnett, Day of Deceit: The Truth about FDR and Pearl Harbor, (New York: Free Press, 2000 )という研究書が出た。日米開戦前後の海軍の関係文書が歴史史料として公開され、アクセスできるようになり、ルーズベルト予知説の研究は新たな展開を始めるようになったのだ。

スティネットは、海軍に保管されていた真珠湾問題に関する日本海軍の発する電波の受信記録等にアクセスし、日本海軍の動きは相当程度明らかになっており、その情報を持っていたワシントンの中枢は、それらの情報を真珠湾の基地に伝えていなかったということが、史料に基いて主張できるようになったのだ。因みに、上記トーランドの指摘した実名を示さないままのZなる無線士については、ロバート・オグという名前を出して、その上で彼が指摘していた機動部隊の発信した電波をとらえたことを示す原史料を掲げているオグの写真を掲載しているのだ。ゆえに、トーランドの主張は正しかったということが決定的に証明されたのだ。

(5)それから25年を経た2025年(令和7年)、日本人の白松繫が、上記スティネットもアクセスして分析していなかった史料にもアクセスし、日本海軍が解読されえないと確信して使用していたD暗号も、必要な程度に一定程度解読していたことを明らかにしたのだ。そして世界で出版されている真珠湾問題の研究書を渉猟し、この書評の対象である『真珠湾攻撃 ルーズベルトは知っていた-「騙し討ち」説を覆す15の証明』(ミネルヴァ書房 2025年) を出版した。

 白松には本書の出版前に『そのとき、空母はいなかった-検証パールハーバー』(文芸春秋 2013年)があるが、その後、さらに世界の関連研究書を渉猟、検討し、さらに次のような重要な史実を加えた。

真珠湾攻撃の12月7日(アメリカ暦)の3日前の12月4日に『シカゴ・デイリー・トリビューン』で1千万人動員の戦争計画が載り、ルーズベルトは大変な窮地に陥ったことになるのだが、これはチャーチルが仕組み、ルーズベルトが承認した意図的漏洩だったのだ。1940年(昭和15年)、戦争はしないという反戦の誓いをして大統領3選に成功したルーズベルトとしては、このような戦争計画を作成すること自体が国民への裏切りであるともいえ、これが暴露されることは、ルーズベルトとしては途方もない窮地に陥ることになる。上記のトーランドの本では、この漏洩事件についてルーズベルトがいかに狼狽しているかを記していることで終わっている。が、この白松の本書では、これはチャーチルとルーズベルトが仕組んだ意図的漏洩であったことを明らかにしている。

なぜそんなことをしたのか。目的は、日本海軍の真珠湾攻撃を知っていて、それを前提に、その開戦のあった後に、参戦義務の生じないドイツが対米参戦に必ず踏み切るように仕向けるためだった。これほど大規模な戦争計画をヒトラーが知るところとなれば、ヒトラーはアメリカとの戦争は不可避であると判断し、それならばそのための準備の未だ整っていないこの時点で宣戦布告をする以外にはないとして、ヒトラーはアメリカに向けて宣戦布告に踏み切るであろう、と踏んだのである。ヒトラーは悩みに悩んだあげく、12月11日に対米宣戦布告をする。

本書はその漏洩事件のからくりを日本で初めて紹介したことになる。かくしてルーズベルトの真珠湾予知説は完全に証明されたのである。日本人の手によって、ルーズベルトの予知説を完全に証明できたことを明らかにすることは、日米両国において、戦後の歴史研究において画期的ななことである。

(6)が、そもそも日米はルーズベルトの予知説に、歴史の問題として、どうして拘るのか。考えてみると、その拘りの意義は日米でその大きさに大きな差がある。アメリカでは、極端に言えば、ルーズベルトは日本海軍の真珠湾奇襲を知っていたのに、それを真珠湾の基地に知らせず、それゆえに真珠湾にいた多くのアメリカ兵が理由なく犠牲となったということの問題である。が、日本は「騙し討ち」をしたとして卑怯な国だと糾弾されて苛酷な戦争を強いられたことに鑑みれば、ルーズベルト予知説を証明することはもっと大きな意義をもっている。

奇しくも、日本側では、「宣戦布告」として見なしうるのかという問題があるものの、真珠湾攻撃開始の30分前に「最後通告」を国務長官に手交するはずであった。が、ワシントンの日本大使館の事務失態で、真珠湾攻撃開始後の手交となった。形の上ではまさに無通告の「騙し討ち」になってしまったのだ。アメリカ国民は本来の予定の経緯における場合より遥かに激しく怒ることになった。

アメリカ国民のその激しい怒りを根拠に、ルーズベルトは1943年(昭和18年)1月24日、カサブランカで、日本やドイツの無条件降伏を宣言した。日本に対しては、さらに1945年(昭和20年)2月8日、ルーズベルトはヤルタでスターリンとの間で、ドイツ降伏後の2~3カ月後に日ソ中立条約を破棄して対日参戦をするという密約を結んだ。翌日それを知ったチャーチルは、ソ連が対日参戦することになったことを日本に通知すれば、日本は降伏することは確かであろうから、戦争の被害をこの時点で終わりにすることができるとアドバイスをしたが、ルーズベルトは耳を貸さなかった。結局、それ以降の日米の戦争犠牲者は、アメリカの勝利ということをはっきりさせた上で戦争を終結させることができるのにそれをしなくて、そのために犠牲になった人たちだ。日本側で言えば、原爆や東京空襲で亡くなった人が戦争の勝敗とは関係なく犠牲となったことが分かる。それだけでなく、ルーズベルトの誘いによるソ連参戦の結果は、ルーズベルトとして日本を分断し壊滅させることになり、ルーズベルトはそうしようとしていたのだということになる。

ルーズベルトがハル・ノートを突きつけ日本を戦争に向けて挑発していたことは、上記の上下両院合同調査委員会の調査で分かった。また、日本の外交電報をことごとく解読して読んでいたことが判明したことから、日本は本来、真珠湾攻撃30分前に「最後通告」を手交しようとしており、全くの無通告で真珠湾を攻撃しようとしていたわけではないこともこの調査委員会の調査で分かった。

が、ルーズベルトは日本海軍の真珠湾を攻撃を事前に知っていたということが不明だということに依りかかる形で、日本国民に不当な困苦を与え、日本を分断国家の運命を押しつけようとしていたことが無視されてきた。そしてアメリカでは日本海軍の真珠湾攻撃を知りながら現地の真珠湾基地にそのことを知らせず、真珠湾のアメリカ兵が不当に犠牲となったということのみならず、戦争の勝敗を超えて戦争を拡大し、死ななくてよいはずの多くのアメリカ兵が犠牲にしたことを不問にしてきた。こうしたことを、アメリカ国民に明確に認知させなければならない。

ルーズベルトは、日米戦争は自らが日本を挑発して始まった戦争であることを自覚したまま、そして無通告の真珠湾攻撃は必ずしも計画的になしたものではないことを知ったまま、かくも必要以上にアメリカ兵の犠牲を増やしてまで、かくも日本に苛酷な運命を押しつけようとしていたのだ。統計によれば、日米戦争のアメリカ兵の犠牲者の半数以上は、事実上日米戦争の勝敗が決した1944年(昭和19年)7月のサイパン陥落以降に出ている。すなわち、日米戦争において、アメリカ兵の犠牲の半数以上は、日米戦争の勝敗が決してから供されているのだ。そのことの認知は、アメリカ国民と日本国民とで分かちあってよいはずだ。

そのためには、いかにせよ、ルーズベルトの予知説を完膚なきまでに証明しなければならない。ルーズベルトの日本海軍の真珠湾攻撃を事前に知っていたという予知説を、史料の完全調査とともにすべての研究書を総括して完膚なきまでに証明した本書は、歴史に関わる研究書として、今後長く光り輝くであろう。

最後に、著者は本書の英語版を出版する計画を持っていることを伝えておきたい。

評者 国際歴史論戦研究所
研究員 池田 悠

昨年の第8回アパ日本再興大賞を、茂木誠、宇山卓栄の共著、『日本人が知らない!「文明の衝突」が生み出す世界史 人類5000年の歴史から国際情勢の深層を読み解く』(ビジネス社)と共に、阿羅健一の『決定版 南京事件はなかった 目覚めよ外務省!』(展転社)が、受賞した。

南京事件の研究者として、阿羅の研究に改めて光が当たるのは非常に喜ばしく思う。阿羅は日本の実証的南京事件研究の鏑矢ともいえる『聞き書き南京事件―日本人の見た南京虐殺事件』(図書出版社)を1987年に上梓し、現地にいた日本人の体験を直々にヒアリングしたことをベースに、これまで一貫して南京事件の真実を追い求めてきた。今回の受賞作は、阿羅の研究の集大成であり、これまで曖昧に終わっていた諸々の論点に明快に決着をつけている。そしてさらに、南京事件の形成普及の経緯を通して、諸外国との思想戦の様相とそれに翻弄され続けた戦後日本人の姿を描いている。何らかのイデオロギーを盲信する人々はさておき、真実を見極めた上で物事を判断したいと考える人々にとって、本書は必読書であろう。

まず阿羅が決着をつけた諸々の論点についてご紹介しよう。まずは、日本軍の軍紀についてである。阿羅は、外国・日本双方を知る人々の体験談から一般に日本軍の軍紀は当時の米ソの軍紀と比べて寧ろ勝ると分析する。またどこでも予備役や輜重兵の方が犯罪を起こしやすいと分析した上で、南京戦に参戦したのは現役の戦闘部隊であることを明らかにする。そして、憲兵が足りず犯罪を止められなかったという説に対し、補助憲兵を合わせると多すぎるぐらいで、厳しすぎると苦情がでるほどであったとの当時の声を紹介し、それも間違いであると指摘する。それらを総合すると、軍紀面から日本軍に南京事件を起こす要因は無かったと結論づける。

 さらに、捕虜の取り扱いに問題があったとする説について、まず、日本軍の捕虜の扱いは国際法に則っていたことを指摘し、その上で、南京戦参戦者の言葉、「戦争を支配するものはあくまで戦闘であり、人道が入りこめる局面は狭くかつ軍事上の許す範囲に限定される」を引用する。また、600人の一度は降伏した兵が反旗を翻した際には撃滅したという例も挙げる。そして実際の南京に潜伏した中国兵は武器を携えていたことを指摘し、東京裁判における日本側の証言を紹介する。「武器を携えて降伏もせず安全地帯におるということは、すなわち次の陰謀を企てるためであるという疑いを受けても、これは弁解のいたし方がないと思います」。敗残兵の掃討は合法的に行われたことを鮮やかに示している。

 また、当時の報道規制によって、日本の記者は南京事件を知りながらも報道できなかったという説について、阿羅はこう指摘する。「報道は規制されていたが、新聞社に対する差止命令書がのこっており、南京攻略戦での報道制限はない。内務省が「生きている兵隊〔のちに著者本人がここに書いたことは信じていないと告白〕」を掲載した『中央公論』を発行停止にし、デマ宣伝を掲載する『ライフ』を輸入禁止としたがそれだけである」。この指摘により、謬説であることが明らかであろう。

また、松井石根大将の涙の訓示について、南京事件があったことの証拠の様に言う人がいるが、それは松井大将の厳格な基準では軍紀が乱れていたということであって、それは南京事件とは何の関係もない。

私の理解として、現代で例えるならば、日本で電車が30分間、鉄道会社のミスで停止し、会社が謝罪したところ、その謝罪を死者数百人の大事故があった証拠とするようなものである。それは緒外国で30分程度の遅れで謝罪することはないので、その謝罪こそが大事故の証拠だというようなものである。要するに自らの常識を当てはめた勝手な解釈である。

これは、戦後、時間が経ってから日本国内で南京事件が信じられてきたこととも関連する。戦後まもなくは、南京戦への参戦経験者が多くおり、また南京戦でなくても戦場の経験から、どのようなことがどのような経緯であり得るのか、判断がついた。ところが、その経験がないものは、その判断ができない。

更には、思想戦の諸相を理解しておらないため、諸外国からの、一見客観的または善意に見えながら、その実はプロパガンダである説を真に受ける。結果的に、ありえない説を受け入れてしまう。これが南京大虐殺、南京事件の普及の経緯である。退役軍人の集まりである偕行社に於いてさえも、世論に押され、戦場を知らない経理軍人が主導した結果、偕行社が出版した『南京戦史』に南京事件を認めるかのような記述が載った。この事態に対し、阿羅は南京戦経験者の言を引く。「近代戦史を歪めてきた元凶は、まさに戦争を知らないこうした歴史学者や軍事評論家であり、その最たるものが『南京事件三十万人大虐殺説』である」。

 本書で阿羅が強く関心を寄せているのが、この思想戦の敗北過程である。日本政府は昭和57年に南京事件を認めているが、外務省のチャイナスクールを中心に外圧に阿って根拠なく認めた経緯を詳細に明かしている。今ではその根拠文書がないことが国会の場で明らかになっているが、未だ修正に至らない。

私は、こういった人々を無検証妥協派とでも呼びたいが、諸外国の圧力に対して、事実を基にした検証を行わず、一方的な主張を受け入れ妥協を図り、それを恥としない。かつての河野洋平官房長官の「元従軍慰安婦」への謝罪が思い出される。河野官房長官は彼女たちの話を検証せずに「心証で」談話を纏めたそうである。このような無見識が思想戦敗北の原因であり、結果でもあろう。

 阿羅は冒頭部分で当初の南京事件の形成過程も明かしている。「南京事件といわれるものは宣教師がつくり、欧米の記者が協力し、中華民国が大がかりに宣伝、作家がふくらましたもので、全くの無根であった」。すでに、これらの根拠文書は発見され、経緯も明らかになっている。それにも関わらず、南京事件は今も続く。阿羅は、結びにこの南京事件で責められるべきは日本人であると記す。それは本書を読む各人へのメッセージでもある。日本の未来に関心を寄せる方に、是非一読をお勧めする。

書籍 マーク・ラムザイヤー著 藤岡信勝・山本優美子:編訳、藤木俊一・矢野義昭・茂木弘道
   『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』(ハート出版)
評者 モーガン・ジェイソン(麗澤大学准教授)

解題

解題著者 一二三朋子(国際歴史論戦研究所 上席研究員)

著者のモーガン・ジェイソン氏は、1977年アメリカ合衆国ルイジアナ州に生まれ、現在、麗澤大学国際学部准教授(ウィスコンシン大学大学院博士号獲得(2016年、日本史))である。専門は日本史、東洋思想史、法哲学と幅広い。さまざまな文化圏の歴史意識、法意識を比較する過程で歴史の影響、思想史、法哲学などの影響に興味を持つ。2023年には、南京事件の真実を明らかにした論文“A Massacre in the Making: Separating Truth from Fiction about Nanking Think through the evidence for yourself”(https://dl2022.substack.com/p/a-massacre-in-the-making-separating)(邦題:進行中の「虐殺」: 南京に関する真実とフィクションを区別する 証拠を通して自分自身で考えること)(https://dl2022.substack.com/p/a-massacre-in-the-making-separating  2023年)がある。

 今回、本欄で取り上げる同氏の書評は、マーク・ラムザイヤー著、藤岡信勝・山本優美子:編訳、藤木俊一・矢野義昭・茂木弘道:訳『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』(ハート出版)である。本書の訳者5名は、当国際歴史論戦研究所の所員であり、翻訳は事実上当研究所の事業の一環として行われた。この書を紹介したモーガン氏及び、モーガン氏の書評を掲載した歴史認識問題研究会の紀要『歴史認識問題研究』に謝意を表したい。

 モーガン氏は、的確な慧眼を以て、同書の持つ歴史的意義及び学問における議論のあり方を論述している。また、ラムザイヤー氏の論文が日本語に訳されたことにより、ラムザイヤー氏の明晰な論理が、日本の読者にも伝わることは間違いないと断言する。そのうえで、現在も続く「歴史戦」の現状を知るためにも、『慰安婦性奴隷説をラムザイヤー教授が完全論破』は広く読まれるべきであると訴える。そして「近い将来、ラムザイヤー氏の他の多くの研究が、このような正確で読みやすい日本語に訳され、出版されることを希望する」という文で書評は締めくくられている。

書評 『歴史認識問題研究』 第14号 (2024年3月21日)より

2025年6月3日に投開票が行われた第21代韓国大統領選挙で、「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)氏が新大統領となりました。

選挙前の5月28日に李在明氏が発表していた公約集がこちらです。

25_05_28_民主党_中央公約_第21代_大統領選挙_すべて民主党_中央公約配布用

↓クリックすると別ウィンドウで公約集が開きます

この公約集の49ページがこちら。

P49 日本語訳 …………………………………………………………

日本軍「慰安婦」被害者の尊厳を守り、歴史認識を高めるための
努力をします。

・日本軍「慰安婦」被害者の尊厳と名誉回復
- 被害者に対する人権侵害と名誉棄損行為禁止を明示及び処罰根拠作り

・日本軍「慰安婦」被害者を讃える造形物または象徴物を公共造形物に指定、管理拡大

・和解治癒財団解散し、完全な清算手続き推進
- 日本からの援助金の残余財産問題の早急な解決

・「女性の人権と平和財団」(仮称)設置推進
- 日本軍「慰安婦」問題解決の為の資料調査及び研究、戦時女性人権問題の
ための国際的連帯など総合的推進体系設立

…………………………………………………………

公約には「国家次元での日本軍「慰安婦」記録物のユネスコ世界記憶遺産登録推進」(赤枠・赤字箇所)とあります。

日韓両国は2015年12月28日の慰安婦問題に関する日韓合意で「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」、「今後,国連等国際社会において,本問題(慰安婦問題)について互いに非難・批判することは控える」と発表しました。

日本政府は日韓合意を順守し、韓国側に10億円の拠出もしています。

ユネスコが世界の記憶(世界記憶遺産)制度改革後の2011年に発表したガイドラインでは、「登録申請は、政治的対立・偏向の非難の対象にならないようにすべき」で、「国連憲章・ユネスコ憲章の目的や原則(教育、科学及び文化を通じて諸国民の間の協力を促進することによって、平和及び安全に貢献)に反する問題や思想を推進する資料」の登録申請は容認できないとしています。

李在明大統領が公約通りに国連の一機関であるユネスコにおいて「慰安婦」登録を推進するとなれば、李在明政権の政治的活動をユネスコに持ち込むことになります。

これは日韓合意違反であり、日本政府は韓国政府に強く抗議し、ユネスコにも注意を促すべきではないでしょうか。

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< 参考サイト > ※自動翻訳による日本語訳 原文韓国語
本物の大韓民国中央線大委政策本部、第21代大統領選挙政策公約集「これから本物の大韓民国」公開 – 「回復・成長・幸福で国民統合」 –
出版社:共に民主党公報局
公開日:2025-05-28 11:58:47
https://theminjoo.kr/main/sub/news/view.php?brd=188&post=121202

< ダウンロード >※自動翻訳による日本語訳 原文韓国語
25_05_28_民主党_中央公約_第21代_大統領選挙_すべて民主党_中央公約配布用
https://theminjoo.kr/main/sub/download.php?code=5533&brd=188

25_05_28_民主党_中央公約_第21代_大統領選挙_すべて民主党_広域公約配布用
https://theminjoo.kr/main/sub/download.php?code=5532&brd=188

25_05_28_プレスリリース_大統領公約集_出版_プレスリリース最終
https://theminjoo.kr/main/sub/download.php?code=5531&brd=188

< ニュース >
TBS NEWS DIG 2025年5月28日(水)
「慰安婦問題の関連資料 ユネスコ『世界の記憶』へ登録を目指す」次期韓国大統領候補 李在明氏が公約で明記
https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/1942682?display=1

産経新聞 社説 2025/6/5
主張 韓国新大統領 慰安婦問題を蒸し返すな
https://www.sankei.com/article/20250605-TOFY2CWRJVNPTG2UEPEQKZ4XTI/

産経新聞 阿比留瑠比の極言御免 2025/5/30 ※有料記事
韓国新政権は「慰安婦」「汚染水」に固執か、大統領選でリードする李在明氏の憂鬱な公約集
https://www.sankei.com/article/20250530-F6K2GH6HEVPH5MV5DPNOPS3NHY/

< 2015年12月28日 日韓合意 外務省 >
日韓両外相共同記者発表
https://www.mofa.go.jp/mofaj/a_o/na/kr/page4_001664.html

韓国語版
https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000122056.pdf

英語版
https://www.mofa.go.jp/a_o/na/kr/page4e_000364.html

< ユネスコ資料 >
ユネスコ 世界の記憶  211 EX/10
PARIS, 6 April 2021
FINAL CONSOLIDATED REPORT ON THE COMPREHENSIVE REVIEW OF THE MEMORY OF THE WORLD PROGRAMME SUBMITTED BY THE CO-CHAIRPERSONS OF THE LIMITED-PARTICIPANT WORKING GROUP (LPWG) (ALBANIA AND PALESTINE)
https://unesdoc.unesco.org/ark:/48223/pf0000376676
ANNEX II
General Guidelines of the Memory of the World (MoW) Programme
P16-17
8.2. Inadmissible nominations
8.2.2 In summary, the following list of documents may be regarded by the Register Sub-Committee of the IAC as inadmissible for nomination:
「MoW registers should avoid being subject to any accusations of political partisanship.」
「Any documents that promote issues and ideas in opposition to the purposes and principles of the Charter of the United Nations and of the UNESCO Constitution」

書名:『アメリカ人が語る 沈む超大国・アメリカの未来』
著者:マックス・フォン・シューラー著
出版社 ‏ : ‎ ハート出版 (2024/11/6)
発売日 ‏ : ‎ 2024/11/6
言語 ‏ : ‎ 日本語
単行本 ‏ : ‎ 208ページ
ISBN-10 ‏ : ‎ 4802401833
ISBN-13 ‏ : ‎ 978-4802401838

本書はアメリカの陥っている危機的現状を様々な角度から赤裸々に描写し、そのアメリカを待ち受けている破滅的未来を、徹底的に明らかにする書である。そこには、日本で報道されている、或いは多くの日本人が思い描いているアメリカ、即ち、強く自由で希望に満ちた理想の国とはかけ離れたアメリカの真の姿が映し出されている。移民に悩まされ、左翼政権の異常な政策に蹂躙され、地方都市は荒廃し、極端な多様性尊重とLGBTQの掛け声で腐敗しきったアメリカの姿がある。

しかし、本書の目的は、単にアメリカの現状・恥部を暴き立てることではない。著者が本書を執筆して伝えたかったことは、何よりも、日本への警告である。アメリカの幻影を真実と妄信し、追従し、依存する日本に警鐘を鳴らすことである。このままでは、日本自体がアメリカと共に沈み崩壊していくことを、著者は何よりも憂慮し危惧するのである。

自国メディアの偏向報道を信じてトランプ政権を批判的に眺め、真のアメリカの姿を見失っている日本人たち発せられる著者の提言、破滅を免れるための提言は有意義であり、時宜にかなったものといえよう。

その提言は、待ったなしに急務の提言である。一人でも多くの日本人が、アメリカ崇拝から目を覚まし、自分の国は自分が守るという、至極当たり前のこと、即ち原点に戻ることが必要である。本書は日本人の覚醒を促し、日本の独立を守るために必要な原点に立ち戻らせてくれる書と言える。

また、この本の大きな特徴として、英語と日本語の両方が併記されているということである。英語のほうも恐らく高校生くらいの英語力なら楽に読めそうなくらい平易な英語である。併記の理由は詳らかではないが、大学や高校での英語の授業でも取り扱えるようにとの配慮であろうか。或いは、取り扱ってほしいという著者の願いが込められているのであろうか。

著者マックス・フォン・シュラーの略歴は次のとおりである。

本名、マックス・フォン・シュラー小林。

元海兵隊・歴史研究家。ドイツ系アメリカ人。

1974年岩国基地に米軍海兵隊として来日、その後日本、韓国で活動。

退役後、国際基督教大学、警備会社を経て、役者として「釣りバカ日誌8」等、ナレーターとして「足立美術館音声ガイド」等、日本で活動。

YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」でも情報発信中。

著書に『[普及版]アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史』『[普及版]アメリカ人が語る 内戦で崩壊するアメリカ』(ともにハート出版)、

『太平洋戦争 アメリカに嵌められた日本』(ワック)、『アメリカ白人の闇』(桜の花出版)、『アメリカはクーデターによって、社会主義国家になってしまった』(青林堂)などがある。

以下、本書の構成について概括する。

「第1章 現在のアメリカ」ではアメリカの抱える幾つもの病巣が抉り出される。左派黒人の横暴、不法移民の狼藉、薬物中毒者の増加、警察の縮小と治安悪化、多様性を謳うLGBTの割拠、滅亡に向かう地方都市、人種対立、アメリカ軍の弱体化、教育の左傾化、そして諸悪の根源であるフェミニストの存在。いずれもアメリカに根深い問題である。しかしこれらの幾つかは、決して日本の現状と無関係ではない。いや、無関係ではないどころか、日本の現状とも大いに重なる点ばかりである。日本の近未来図とも言えよう。

「第2章 アメリカの未来」では、2024年の大統領選の前でもあり、選挙の予想がなされ、トランプが当選した場合としなかった場合に関する予測がなされている。結果的にはトランプが当選したので、最悪の事態は避けられたと言えよう。

「第3章 日本は何をすべきか?」では、日本が崩壊しないために、日本がしてはいけないことについて先ず言及し、次に、すべきことについての提言がなされる。要は、自分の国を守るのは自分たちであるという、至極当然の、独立国であればあまりに当たり前のことなのだが、今の日本ではその当たり前のことすら、十分になされてはいない。

ひとつわからないのは、アメリカ、いや世界中の国々の潮流が、左翼に牛耳られるようになってしまったのか、左翼が蔓延したのかということである。そうなる前に何故何らかの手が打たれなかったのか。

そうした疑問は解決しないものの、本書は、日本人が覚醒し、独立を守るために何をすべきかについて考え行動する一助になる本である。是非多くの日本人に読んでほしい一冊である。

書評 呉善花『なぜ反日韓国に未来はないのか』(小学館 2013年)
評者 ゲストフェロー 宮本富士子

 韓国で反日の嵐が吹き荒れた文在寅政権時、まさに高麗連邦が誕生するかもしれないという危機感の中、国民は文在寅政権打倒のために文氏の在任期間中ソウルの光化門で毎週末大規模集会を続けてきた。また知識人たちは韓国人の骨髄までしみ込んだ反日フレームを拭い去るために各地で講演会を開いたり有名大学では正しい歴史認識を学ぶための真実フォーラムが開催されたりもした。

そしてこの日韓関係の危機を克服するために2019年に日韓危機の根源を突く本として李栄薫編著『反日種族主義』(未来社 2019年)が韓国で発刊され、約10万部のベストセラーとなった。同年、日本でも翻訳され『反日種族主義-日韓危機の根源』(文芸春秋 2019年)として出版された。6名の学者が立ち上がって書いた著書だ。それぞれの専門分野でいかに韓国の反日思想が荒唐無稽なのかを史実に基づいて分析した画期的な本だった。韓国でも大きな話題を呼んだが、結果として韓国人の反日感情は変わっただろうか。

が、学校教育での歴史教科書での日本悪玉論は今現在も変わらず、反日教育は依然と続けられている。全く変わってないのだ。私も内心で韓国人の根深い反日思想はそうやすやす変わるものではないと感じてきた。

韓国人の夫を持ち30年以上韓国社会の中で暮らしてきた私は「日本は台湾を朝鮮よりも長く統治し、台湾よりも莫大な投資をしたのにも関わらず、かたや台湾は親日、韓国は反日の理由はどこにあるのか、何がそうさせるのか?」と常に疑問を感じてきた。

その疑問に見事な回答を与えてくれたのがこの呉善花氏の2013年に出た著書『なぜ反日韓国に未来はないのか』(小学館 2013年)である。6章からなる分析は深く緻密になされ見事であり完璧だ。日本の大部分の有識者の見解は「日韓併合時代に生きた朝鮮の人は親日で戦後の李承晩政権から今日に至るまでの大統領の反日政策、反日教育によって韓国は反日国家となった」である。しかし、まず呉善花氏は「韓国の反日主義は単なる一つの政治政策ではない。重要なことは韓国は反日主義を国家の大義名分として出発した国家」とし、韓国憲法の前文自体が偽りであり、よって史実を捻じ曲げ、国民に対して徹底的に教育宣伝していったと指摘した。

この本は2013年に発刊されていて『反日種族主義』より6年も前だ。『反日種族主義』は代表的な反日の6つのテーマにおける歪曲された内容と実際はどうだったのかを説明している。呉善花氏の反日感情の分析は韓国人のDNA、民族の血、思考回路の原点にまでさらに掘り下げられている。私が長年韓国社会の中で感じていた思いが活字となって明確に説明されていた。「これだ!これ!」と共感し実に痛快だった。そして呉善花氏の分析力の凄さに驚嘆した。それは第4章の「なぜ反日感情はぬぐえないのか」に明確に描写されてある。「日本統治時代への恨みが反日の根拠となっているのではなく、蔑視すべき民族(日本)が自分たちを統治したことが許せずそれが反日民族主義を生み出している。」 このようにこの第4章は、ほかのどの学者も分析できない韓国人の深層心理を解明している。

142ページにこういう文章がある。「生来の野蛮で侵略的な資質を持つ日本民族が我が民族の聖なる血の一体性を凌辱した。」 反日は生理的反応に近い怒りから生まれた感情である。私はその感情を動機として多くのドラマ、映画ミュージカルが作られ、国民はそれを真実だと信じてしまうと見ている。この負のスパイラルが韓国人の反日感情を増幅させたのだ。「その歴史観は虚偽捏造であり真実はこうだ」と訴えるまともな学者が現れても、この根深い価値観が骨の髄までしみ込み、すぐには変わらないのである。

しかしこういう韓国でも慰安婦像撤去と韓国の歴史教科書から慰安婦の記述を削除するために活動してきた金柄憲氏を代表とした慰安婦法廃止国民行動の活動も6年目に入った。初期に比べれば大分状況が好転し、正義連側の活動が小規模になっているということは大きな変化だと言える。尹大統領がこの書評の執筆時点で、4月4日、憲法裁判所の決定により大統領を辞めさせられたが、大統領在任中、政権当初から反日政策をしなかったというのも近年における韓国の大きな変化だと言える。前述したように歴代のすべての大統領が反日政策をしてきたのにも関わらず、尹大統領は国益のためにそれをしてこなかったのだ。

話は前後するが歴代大統領の手を変え品を変えての反日政策の内容はここまで酷かったのかと改めて驚愕した。呉善花氏は中国人以上に韓国の反日感情が強いとも指摘している。

 本書は2013年当時の韓国の情勢の深刻さを憂い執筆されたと推測される。その憂いの詳細が多方面にわたって第6章に書かれている。だが、ここで示されている凶悪犯罪、社会問題に関して、それが山積みなのは、現在では日本のほうではないかと感じられるほどだ。

実際前述したように反日の根は深く深刻だが、その反面、韓国の書店に行けば韓国語に翻訳された多くの日本の小説や漫画があり、テレビでも1日中日本のアニメが流れ日本食のレストランはあちこちにある。最近はSNSを通じて簡単に日本の文化、歌謡、ドラマに接することができ日本の俳優やタレントも韓国で人気を博している。若者たちの中には親日家のユーチューバーも多く出現し購読者もかなり多い。日韓併合時代の真実も学校では教えられなくてもSNSで知ることができる。

また特に現在はJ-POPの人気はKーPOPを凌駕したという説もあるほどだ。以前は親日=悪という概念だったが、今やネット空間を通して自然な形で変わっていくのではないのかと思えるくらいだ。呉善花氏も反日教育を受けてきたので、他の韓国人同様反日だったが、日本に来てから韓国の歴史認識に疑問を抱き、近世から近代にかけての日韓歴史の本を手当たり次第に読み反日の魔法から解かれたのだ。

韓国の現実社会においては「客観的な世界情勢の中で日本統治を眺めてみようとすることもないし、書物もない」と呉善花氏はこの本の中で指摘しているが、もしこの『なぜ反日韓国に未来はないのか』という本が韓国で翻訳され出版されたら一体どうなるだろうか? ここまで見事に分析された本はないと思うし、個人的にはいつか近いうちに韓国で出版されたらと願っている。そうなれば韓国に未来はあるだろう。そして他方で、日本に対しては日本で自虐史観からの脱却が性急になされることを願うばかりだ。この本の中で共感し的を射た表現と思った箇所は数多くあるが、最後にこのフレーズを紹介しておきたい。

道徳的に上の者が道徳的に劣った下の者を常に訓示教育、感化していかなくてはならないという儒教の考え方が侮日観を形づくっていて、これが韓国の対日民族優越意識の根本にある。さらに韓国には自らこそが中華の正統なる継承者であるという小中華主義の誇りから民族優越主義がある。そのため対日民族優越意識が一層のこと強固なものとなっているといってよい。

このような意識は50代以上の世代には強く当たると思われる。が、今の若者たちはこの意識がやや薄まっているようにも思われる。が、しかし、いずれにしても韓国の偏向した歴史教科書は正しい日韓関係構築のため、至急改訂されなければならない。

書評:長谷亮介『朝鮮人「徴用工」問題 史料を読み解く』 (草思社 2024)

評者:一二三朋子(国際歴史論戦研究所 上席研究員)

本書は、従来の朝鮮人「徴用工」問題に、画期的な一石を投じる学術書である。戦後20年ほど経た頃から、巷に流布してきた学説、即ち、戦時中、朝鮮人が朝鮮半島から「強制連行」され、日本の炭鉱や鉱山などで「強制労働」をさせられてきたという学説に、一次史料の検証を積み重ね、「強制連行・強制労働」説を、完膚なきまでに論破したものである。

筆者の長谷亮介氏は、歴史認識問題研究会の研究員であり、麗澤大学国際問題研究センター客員研究員でもある。1986年、熊本生まれ。熊本大学文学部歴史学科を卒業し、法政大学大学院国際日本学インスティテュート博士後期課程を修了した。学術博士。大学院修了後、歴史認識問題研究会(会長 西岡力)に所属し、朝鮮人戦時労働者問題を中心に研究を進めている。共著に『朝鮮人戦時労働の実態』(一般財団法人産業遺産国民会議)がある。

「強制連行」「強制労働」説が湧き上がったのは、1965年、朴慶植という人物が出版した『朝鮮人強制連行の記録』に端を発する。現在では朴慶植の歴史考察には大きな問題があることが判明している。それにもかかわらず、「強制連行・強制労働」説は下火となるどころか、いまだにくすぶり続け、ともすれば政治的に利用され、さらに苛烈に再燃しかねない状況である。これは、歴史学界の学術上だけの問題ではない。現に、2018年には韓国の大法院(最高裁)が新日鉄住金に対して戦時中の韓国人元工員に損害賠償を支払う判決を下した。この韓国大法院判決後、強制連行されて無理やり働かされたとして日本企業に「賠償金」を求める裁判が増加し、全て原告側の勝訴となっている。これらの判決は全て、1965年に締結した日韓請求権協定に反する判決内容であることは言うまでもない。かように、歴史上の問題は政治的に利用され易いのである。

本書は2部構成となっている。

第1部は、朝鮮人戦時労働者「強制連行」「強制労働」説への反論である。第1章は「強制連行」説への反論であり、資料に基づき、募集の手続きなどを詳述し、同時に、大半が自発渡航であったことを論証する。第2章では「強制労働」説に対する反論である。賃金・食事・労働時間など、具体的に史料を分析する。

第2部は、朝鮮人労働者の実態を、一次史料から克明に描き出す。第3章では『特高月報』に基づき朝鮮人労働者の実態を明らかにする。『特高月報』とは、内務省警保局保安課がまとめたものである。朝鮮人労働者による争議の全容などが整理されている。第4章では北海道の日曹天塩炭鉱、第5章では佐渡金山、第6章では三井三池炭鉱が取り上げられる。これらの調査を通して、「強制労働」が事実ではないことを検証し、客観的視点から見た史実が明らかにされる。

本書を通して見えてくるのは、筆者の歴史研究者としての基本に徹した研究態度である。地道に一次史料を発掘し、厳正に分析・精査する。そうした地道な作業から導き出される学説・主張は客観的であり、揺るぎないものである。

「強制連行」説や「強制労働」説の支持者が自説の根拠とするものの多くは韓国人の証言である。証言のみを偏重し、「生き証人」と祭り上げられる。その証言に異議を唱えたり疑義を呈するだけで、感情的になって激昂し「名誉を傷つけられた云々」と猛反発・猛反撃をしてくるから手が付けられない。こうした傾向は、特に慰安婦問題以降に顕著になってきたといえよう。また、一次史料ではあるものの恣意的に取り上げたものや恣意的解釈に基づくものが目立つ。一次史料のうち、自説にとって有利な個所のみを取り上げ、不都合なことには言及しないのである。さらには、自説に有利なように強引に歪曲した解釈を加える。

筆者は、こうした歴史学界の趨勢に果敢に挑み、学問としての危うい在り方に厳しく警鐘を鳴らす。歴史を探求する者に、偏見や先入観があってはならない。本書を手にした「強制連行派」には、真摯に一次史料の全てに目を通し、学術的な反論を期待したい。そうすることが、学問の健全な発展に寄与するである。また日韓の根深い、終わることのない(韓国側が一度解決した問題を何度も蒸し返すがために終わらないのであるが)歴史問題解決の糸口となるであろう。

また、日韓の真の友好を推進するために、反日思想に染まった韓国人には、歪曲と捏造の歴史から目を覚ますために、是非読んでほしい。反日思想を植え付けられた韓国人とは、ある意味で韓国政府の犠牲者ともいえよう。一方で、「強制連行・強制労働」の加害者に仕立て上げられた日本人にも是非、読んでもらいたい。たとえ読まなくとも、手に取って目次に目を通し「強制連行・強制労働」説のうさん臭さを感じるだけでもよい。反論すべきときに反論しないことは、超限戦(歴史戦)の敗北であり、武力戦・軍事戦よりも大きな禍根を残すことになる。真実を知ることは、長い目で見れば、武力・軍事力よりも国の強さの根幹となるのである。

Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll English Edition | by M Kanzako and Akira Kashima | Jan 6, 2021

書評 神迫幹子・鹿島明[かんざこみきこ、かしまあきら、KANZAKO, Mikiko, KASHIMA, Akira]

この書評は、著者によるもので、自著の紹介を兼ねている。カナダでアイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』(1997年11月)が真実の歴史としてカナダ人に受け取られている状況で、日系カナダ人が真実の歴史を求めてこの著書を公刊した。著者2人は日本で南京事件の研究では泰斗と呼ぶべき阿羅健一氏らと緊密に連絡を取り、記述に間違いのないことを確かめながら、記述を続けていった。にほんでは南京事件の研究が進み、現在では日本軍による国際法に反するいわゆる南京事件は存在しなかったことがじっしょうされており、2023年には南京事件を実証する歴史史料は見当たない旨、政府が閣議決定をするに至っている。

Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll

著者、神迫幹子と鹿島明の共著による本書は、アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』1997年11月)に書かれている事実の歪曲や捏造を詳細に検証している。このようなチャンの本に対する反論書は日本語ではすでに何冊も出版されているが、英語での出版は初めてのことではないだろうか。

北米でベストセラーになり、多くの人々が今でもチャンの本を信じている現状を踏まえると、本書が出版された意義は大きい。

真珠湾で「騙し討ちをした日本」にルーツを持つことの罪悪感を感じていた日系人もいたことだろう。そして、再び日系カナダ人やカナダ在住の日本人は、「南京市民30万人を虐殺した」という嘘に基づく、罪悪感や贖罪意識を抱きながら未来永劫生きていかなければならないのか。そのようなことがあってはならない。そのためにも私たちは歴史を学ぶ必要がある。

Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』は私家版であるが、アマゾンで購入できる。要点が簡潔にまとめられており、本書の最後に掲載されている写真は当時の南京市の様子が手に取るようにわかる。読者自身が自分の頭で考える過程の第一歩となる一冊である。

書評

Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』を出版した直後に筆者の家族に本書を読んでもらった。読後の彼の第一声は「高校生向きの内容ではない!」だった。それは『ザ・レイプ・オブ・南京』の内容が本書に引用されており、読むに堪えられない蛮行の描写に対する彼の素直な反応だった。同様に筆者の知り合いで、元高校教師で歴史を教えていたN氏にも本書を読んでもらったが、彼も高校生向きではないという感想を述べた。

オンタリオ州の高校で使われている教科書の記述の一部をここで紹介したい。

日本の指導者たちは、民間人を標的した激しい爆撃を命じて、何百万人もの死傷者を出し、また地上でも残虐行為を行った。中国の首都、南京では、6週間にも及ぶ大虐殺が行われ、この間、日本兵は30万人もの中国人兵士や民間人を強姦し、殺害した。日本軍は戦争中、化学兵器も使用した。これらの残虐行為により、米国をはじめとする西側諸国は日本に対する態度を硬化させ始めたのである。

( “Creating Canada: A History 1914 to the Present”, 2nd ed. McGraw-Hill Ryerson 2014, Unit 3, pg. 278)

『Creating Canada: A History 1914 to the Present』には6週間に及ぶ中国兵士、市民に対する虐殺、30万人に及ぶ犠牲者、残虐行為などの記述があるが、これはチャンの本と一致している。

「私が高校で教えていた時にはこのような内容はカリキュラムになかった」とN氏は言う。高校の教科書に前述のような記載があることもすぐには信じがたい様子だった。歴史を教えていた教師である彼が本書を読むことで、南京事件について興味をもち、自分自身で考えてくれることを切に願っている。

高校生以外にも『Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』の読者として筆者が想定していたのが、歴史を知らない日系カナダ人だ。本書を読んでほしいと思う理想の読者が、偶然にも筆者の友人のM子さんだった。両親が日本人で日本からカナダに移住、そしてM子さんはカナダ生まれである。彼女は、1997年にオンタリオ州議会に提出された南京虐殺記念日制定法案の成立を支持してた1人である。日本の残虐行為を信じて疑わなかったのだろう。彼女に本書の話をしたとき、「えー、南京虐殺は嘘だったの?」とただただ驚くばかりだった。

中国による情報戦はアジアを越え世界中に広がっている。当然ながらアメリカやカナダも例外ではない。カナダでは、2017年にオンタリオ州議会が南京虐殺記念日の動議を可決した。これは法的拘束力はなく、さらに、124名の州議会議員のうち採決に参加したのはわずか数十名というお粗末さである。しかし、「動議が可決された」という事実は情報戦、歴史戦において非常に有効な武器となる。2018年にはオンタリオ州のリッチモンドヒル市内の墓地に南京虐殺記念碑が建立された。この記念碑が建立されて以来、毎年12月に当地で慰霊祭が行われている。

本書は以前に出版された冊子「慰安婦って何?」からアイデアを得ている。チャン本の問題点を明らかにして、一人でも多くの人々に読んでもらいたい、という強い思いに動かされて本書の出版プロジェクトを立ち上げた。大規模で長期に渡る強力なプロパガンダに立ち向かうには、我々はあまりにも微力であるが、狡猾な欺瞞の呪縛から解放されるために何かせずにはいられない。M子 さんやN氏のような善良な人たち、何も知らない高校生が騙されているのに、何もしない、という選択肢はなかった。

本書の焦点をチャンの捏造本に当てたのは、それが西側英語圏では、一般の人々の間でよく知られており、歴史家やアカデミアの間で高く評価されているからである。本書では、短い記述であるが、詳しく知りたい読者のためにミニー・ヴォートリン日記や極東軍事裁判(東京裁判)記録等の一級資料に簡単にアクセスできるよう工夫している。特に若い人たちに自分の頭で考え事実とフィクションを見極める能力を養うことがどんなに大切かを知って欲しい。

今回、第2次世界大戦に関わり真実の史実の探求で著名な、麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授にMaking of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』を読み込み書評をいただいたことに大変感謝している。その中に書かれたモーガン准教授の言葉に共感し、それをここで紹介したい。

 “There are no taboos, dogmas, or epithets in historical work. Truth is the only standard, and the only goal.” (歴史的な仕事には、タブーも教義も蔑称もない。真実だけが唯一の基準であり、唯一の目標である)*

真実の史実の探求に時効はない。最終的には真実を求め、真実を語ろうとする人たちだけによって書かれるべきものだと思う。

日本が元気になれば世界が元気で平和になる、と信じている著者にとっての願いは、日本が真の独立主権国家として蘇ることである。その過程において、日本の歴史は他国の干渉抜きで日本国民が取り戻すべきものである。政治的な忖度や御用学者に用はない。

* Jason M. Morgan, A Massacre in the Making: Separating Truth from Fiction about Nanking, Subsack, July 26, 2034

著者:李 栄薫(編著)
日本語版書籍:『反日種族主義 日韓危機の根源』(2019年、文藝春秋)

解題

 「反日種族主義」という本は2019年7月に発刊され、韓国で11万部売れ、日本では40万部を越えるベストセラーとなった。代表著者の李栄熏校長は反日種族主義とは「隣の日本を永遠の仇と捉える敵対感情である」とし民族ではなく種族と言う言葉を使った。「種族は隣人を悪の種族と見なす。客観的論議が許容されない不変の敵対感情、嘘は種族を結束させるトーテムの役割」だからだ。発刊された当時は文在寅政権下で反日政策の嵐が吹き荒れ、日韓関係が最悪となった時だった。学校の教科書はいわゆる徴用工像、慰安婦像の写真が表紙から大々的に塗装され、街もテレビ報道も何もかもが反日一色となった。朴槿恵前大統領や政権下の要人も数多く収監された後、高麗連邦が生まれかねない危機的な状況下だった。その時に救世主のごとき現れたのがこの「反日種族主義」という本である。赤化統一を防
ぐためには破綻寸前にまでいった日韓関係を取り戻すため、各地で有識者を呼びセミナーが開かれた。国民の啓蒙に韓国内の愛国保守国民はこの本を何十冊も購入し人々に配る等、必死だった。

 この本の出だしである李栄熏校長のプロローグが特に衝撃的だった。「嘘をつく国民、嘘をつく政治、嘘つきの学問、嘘の裁判、反日種族主義」というタイトルだ。長年、心のなかでモヤモヤと燻り続け爆発寸前の日本人の感情を韓国の学者が見事に言ってのけてくれたことに感動した日本人も多いだろう。その中の一説をここにあげる。「この国の国民が嘘を嘘とも思わず、この国の歴史学や社会学は嘘の温床、この国の大学は嘘の製造工場」歯に衣着せぬこの文章に真実を追求する学者の良心的レベルの高さを感じてやまない。

 韓国では1965年以降、小中高の学校教科書で日本の統治時代を7奪と教えてきた。その7つは国王、主権、土地、国語、姓名、命、資源だ。これをほとんどの国民はそう信じている。教科書がそうであり、ドラマ、映画がそうなので、日本人が真実を語ろうとしても客観的論議が許容されず、
感情的になる。この問題を見事に覆し、史実を資料を下に説明したのが共同著者の六名の学者だ。
 韓国人は「徴用」という単語に「強制」という単語をわざわざつけ、日本軍が朝鮮人を無理やり日本に連れていき過酷な労働を強いたと思い込んでいる。この徴用工問題の嘘を覆した李宇衍氏は問題の元凶が1965年に日本の朝総連系の朝鮮大学の教員朴慶植の書いた「朝鮮人強制連行の記録」だ
と指摘し、韓国の教育界が60年間もこの本を何ら検証もせず参考にして学校の歴史教科書を作成したと明らかにした。

 陸軍特別志願兵が一体どんな存在であったかを書いた元高麗大学教授の鄭安基氏は、帝国陸軍の訓練を受けた朝鮮出身の陸軍特別志願兵は日本の天皇に忠誠を誓ったからこそ独立後、大韓民国に尽忠報国でき、抜群の戦闘指揮能力をもって韓国戦争で国際共産勢力の南進を阻止することができたとした。李氏朝鮮時代にはなかった知識と技術、そして勤勉性と責任感を体得した陸軍特別志願兵出身者は第二次世界大戦後、韓国建国の重要な役割を果たしたとはっきりと主張した。またそれは同時に日本の先人たちの朝鮮統治が如何に立派であったかという証明にもなるのだ。

 この本は「土地を奪い、米の収奪、命を奪い、貞操を奪った極悪非道な日本人」という一般韓国民の概念を間違いなく払拭してくれる本であり先人の名誉を回復してくれる本だ。上でも述べたが韓国では11万部を超えるベストセラーとなったが、残念なことに今現在も嘘の歴史教科書はそのまま使われ、小中高の学校の教育現場では嘘の教育が毎日なされていることを考えると韓国ではこれからもさらにこの本が普及されることを心より願ってやまない。まずはさらにもっと多くの政治家、言論人、教育者が読むべきだ。この画期的な著書「反日種族主義」を書かれた六名の先生方には心より感謝する。もう一つ欲を言えば、「植民地支配」という表現が所々に見られるが、実際日本は本当に何もかも与え尽くしたのであって、植民地とは土地を搾取し隷属させるという意味があるので、この植民地支配という言葉を他の表現に変えていただければ申し分ない本だ。

書籍

日本語版:https://www.amazon.co.jp/dp/4163911588

英語版 :https://www.amazon.com/dp/B0CWZL8XF3/

掲載:Japan Forward BOOK REVIEW | The Comfort Women Hoax: A Fake Memoir, North Korean Spies, and Hit Squads in the Academic Swamp

評者:ロバート・エルドリッヂ(エルドリッヂ研究所代表)

解題

『慰安婦のデマ』の書評を執筆した、ロバート・D・エルドリッヂは、1968年に米国ニュージャージー州で生まれ。1999年に神戸大学で日本政治外交史の博士号を取得した。彼は沖縄問題に関する著名な研究者であり、2003年には『沖縄問題の起源 ― 戦後日米関係における沖縄 1945 – 1952』(名古屋大学出版会)を執筆し、アジア・太平洋賞の特別賞を受賞した。その後、大阪大学の助教授として勤務し、沖縄の基地問題に取り組むために在日米海兵隊の外交政策部次長に就任した。

2015年2月、辺野古闘争がピークを迎えるなか、キャンプ・シュワブ前で抗議活動をしていたリーダー格の男性が刑事特別法違反の疑いで逮捕された。逮捕の正当性は、基地と道路の間に引かれていた黄色のラインを男性が越えたかどうかが争点となり、男性はラインを越えていないと主張し、沖縄のメディアは男性の逮捕を不当とする声を報道した。しかし基地のカメラには男性がラインを越えていた様子が記録されていた。エルドリッヂは、嘘と欺瞞がまかり通る沖縄の現状を放置することができず、男性の逮捕が不当でないことを明らかにするため、翌3月にYouTube番組のキャスターに映像を提供し、その動画が公開された。その動画は機密性の無いものだったが、米海兵隊は、沖縄の反米圧力に屈し、この行為が「非公式なルートで不適切に公表された」として、彼を解任した。

エルドリッヂは嘘と欺瞞が真実を凌駕するというこの経験から、この危機に対する警鐘を鳴らすために、この書評を執筆したと推測される。彼は、「知性があるのに、その知性を使って正しいことをする勇気を持たないことほど罪なことはない」と言っているが、社会や文化を進化させるための学問が、学者の良識と勇気が欠落したために、逆に社会の退化や廃退を招くという重大な警鐘を鳴らしたかったのであろう。さらには心ある学者やジャーナリストの奮起を促したかったのだろう。

書評 (JAPAN Forward 掲載の英文を翻訳)

翻訳:一二三朋子(国際歴史論戦研究所 上席研究員)