―バイデン政権の腐敗堕落とグローバリズムの危険性―
【英語版】https://i-rich.org/?p=2067
令和6年6月
国際歴史論戦研究所 上席研究員 矢野義昭
今年4月の日米首脳会談では、日米のグローバルパートナーとしての関係、特に自衛隊と米軍の一体化が強調された。
しかし、そのことが日本にとりどのような意味を持つかを考えるには、バイデン政権と現在の民主党が、どのような支持勢力の政党であり、何を目指しているのかを的確に把握しなければならない。そのうえで、日本としての対応を冷静に考えるべきである。
告発されるバイデン政権と民主党の腐敗堕落
ドナルド・トランプ前大統領の側近弁護士マイク・ディビットは、今年5月31日、民主党の腐敗堕落ぶりについて、以下の諸点を厳しく告発している。
民主党は、①民主党寄りの判事、検察官、弁護士を送り込み、公正を欠いたトランプ前大統領に対する訴訟を起こし、司法を武器化している、②アンソニー・ファウチ米国立アレルギー感染症研究所(NIH)前所長は、武漢のウイルス研究所に資金を与えて機能獲得試験を行わせ、数千万人の人を殺した、③トランプ大統領の機密文書持ち出し疑惑も、FBIや国立公文書館まで巻き込んでトランプ前大統領を陥れるために仕組まれた陰謀である、④バイデン大統領の息子のハンター・バイデンのスキャンダルの証拠となるハンターのパソコンをFBI(連邦捜査局)は隠した、⑤クリントン財団は外国からの不正な資金を受けており、ヒラリー・クリントン元民主党大統領選候補は証拠隠滅をした(https://www.article3project.org/ as of July 3, 2024)。
以上の告発は、トランプ側近の告発であり、一部誇張された、あるいは偏った見方があるかもしれないが、すべて米国内では共和党やトランプ支持者が何度もSNSなどで訴えている内容と基本的に同じである。事実を裏付ける証人や告発者も相次いでいる。バイデン側にも証人や告発者はおり、大統領選挙を控え、双方の泥仕合の様相を呈しているかのようにみえる。しかし、単なるスキャンダル合戦のレベルの問題とは言えない。
トランプ大統領は、数多くの訴訟に巻きこまれている。今年5月30日に出されたニューヨーク州地裁の、トランプ大統領が不倫相手に払った口止め料を弁護士費用として記載したとする陪審団の評決についても、本来は軽犯罪に過ぎず時効を過ぎている問題である。それをニューヨーク地裁は、何らかの目的で行ったとして重罪にして時効を伸ばし、今回の裁判に持ち込んだ。かつ、陪審員は地元ニューヨーク州の住民から選ばれ、もともと約9割は民主党支持者とみられている。公正を欠いた裁判であり、トランプ側は控訴するとしている。
トランプ大統領の機密文書持ち出し問題も、歴代大統領に認められてきた権限内の行為であり、持ち出しそのものは違法とは言えない。副大統領時代のバイデンは、権限がないにも関わらず機密文書を持ち出し、私邸に長く保管していたことも知られている。
他方の民主党とバイデン政権の腐敗堕落は、深刻である。
クリントン財団の腐敗堕落もファウチの武漢に対する機能獲得試験支援についても、既によく周知された内容である。ハンター・バイデンが、覚せい剤中毒患者であるにも関わらず、不法に銃を所持していたとする疑惑は、本人のパソコンの証拠により裏付けられている。
その公判が今年6月4日から始まった。選挙期間中でもあり、トランプ大統領の口止め料問題や機密文書持ち出しといった問題よりも、はるかに大きな打撃をバイデン民主党大統領選候補に与えるであろう。
なぜ、トランプ疑惑ばかり報じられ、バイデン父子のスキャンダルは報じられないのか?
多数の疑惑や訴訟を招くような、トランプ共和党候補の所業にも問題はある。しかし、このようなバイデン政権と民主党の腐敗堕落ぶりは、米国内では周知の事実であり、上記のマイク・ディビッド弁護士の告発内容には、基本的に誤りはない。
細部まで事実かどうかは、更に詳しく検証すべきかもしれないが、トランプ疑惑以上に、はるかに深刻で国益に関わる疑惑をバイデン親子は抱えている。
それにもかかわらず、なぜバイデン大統領のスキャンダルは、日本も含めた西側大手メディアでは報じられず、トランプ氏の疑惑だけが報じられるのであろうか。
大統領選挙に毎回、約1億ドルの寄付を民主党に行い、民主党に対する最大の寄付者として知られ、歴代の民主党大統領候補に大きな影響を与えてきた代表的人物として、ウォール街の金融資本家ジョージ・ソロスがいる。
彼のようなウォール街の国際金融資本家は、金融関係だけではなく、エネルギー・食糧・ITなど各分野の巨大多国籍企業の大半をその資本の傘下に入れている。これらの巨大多国籍企業は、国境の壁を排して国際的に資本や物・人・情報などの流れを自由にすることが利益につながるため、グローバリズムとそれに沿った政策を掲げる民主党の支持者であることが多い。
特に、近年成長の著しいGAFAと呼ばれるIT企業大手は、すべて創業者がユダヤ系である。その結果、IT産業の急成長に伴い、ユダヤ系国際資本に巨額の利益がますます集中するようになった。
また、上記の民主党とバイデン政権の腐敗堕落について、なぜ日本を含めた西側大手メディアで報じられないのかと言えば、その9割以上が、資本力、情報ソース、広告主、イデオロギーの各側面から、グローバリズムとユダヤ系資本の支配・統制下にあるためである。
そのうえ、米国の有名大学の特に社会科学系の教授は、9割以上が民主党支持者である。彼らの教育を受けた若者がエリート層となるため、エリート層の中にますます民主党寄りのリベラルな思想を持つものが、政官学財界を問わず増加することになる。
米バイデン政権の背後にいるグローバリストたちとは、その実は、共産主義と同じイデオロギー(トロッキズム)の系譜を引き継ぐ、世界的なエリートによる大衆支配を目指す勢力である。
彼らは、ウクライナでの革命、内戦、戦争を扇動することにより、巨利を得ると同時に、世界一極支配を実現しようとしてきた。元国務副長官代理兼国務次官のビクトリア・ヌーランドは、国務省内におけるグローバリズム政策推進の中心的人物だった。ヌーランドの夫のロバート・ケーガンは全米一のトロッキズム研究者でありネオコンの論客として知られている。
急ぐべき日本の自立防衛態勢への移行
米国においては、エリートたちの腐敗堕落と数々の失政に歯止めがかからなくなっている。日本は、このようなグローバリスト政権とのグローバルパートナーとしての関係作りよりも、米国憲法の精神を継承しようとする、草の根の民意を反映した保守系の政党とその候補者との関係強化に努めるべきである。そうでなければ、真の日米関係は築けず、また世界の秩序の安定にも繁栄にもつながらない。
むしろ、グローバリストの駒となり、世界戦争の矢面に立たされる危険性すらある。グローバリスト政権下での自衛隊と米軍との一体化も、そのような意味では、決して日本自らの安全保障と地域の平和と安定につながらないことを自覚しなければならない。
アメリカ・ファーストを唱えるトランプ共和党候補が大統領になったとしても、日本は自立防衛態勢への移行を迫られるであろう。いずれにしても、日本は国家としての自立、とりわけ自立防衛態勢への移行を急がねばならない。