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第四回日韓合同シンポジウムは、盛会のうちに終えることができました。
ご参加いただいた皆様、ご協力いただいた皆様に、心より感謝申し上げます。
日韓真実勢力の協力と連携はこれからも継続していくことが重要と考えております。
引き続きご支援いただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

◆ シンポジウム 【 資料冊子データPDF 】

◆ 国際歴史論戦研究所会長 杉原誠四郎 挨拶文
【 日本語版PDF 】  【 韓国語版PDF 】

◆ 動画は後日公開します。

シンポジウム動画

① 日韓両国歌斉唱
② 開会挨拶
③ 来賓挨拶 柳 錫春 先生
④ 祝電紹介 山谷えり子参議院議員
⑤ 金 柄憲 先生「韓国慰安婦運動の現状と学校教育、そして今後の解決策」
⑥ 呉 善花 先生 - 非公開
⑦ 宮本富士子 様「正義連に対抗する金柄憲氏らの活動報告」
⑧ 対談(金柄憲氏、呉 善花氏)
⑨ 閉会挨拶

報道

産経Web 「慰安婦詐欺劇を終息させ、韓日友好を」金柄憲氏が講演 韓国で慰安婦像の撤去求めて6年

ペンアンドマイク「일제시대 재검토해 발전적 미래 건설하자는 한·일 지식인들, 日 도쿄에서 네 번째 합동 심포지움 개최」 (韓国語)

<開催告知>はこちらから。

本意見書は国連人権理事会55会期(26 February–5 April 2024)から60会期(8 September–3 October 2025)の間に5回に分けて提出したNGO意見書を一つに纏めたものである。

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目次

1.序論:数々の重大な問題点を抱えるクマラスワミ報告

2.クマラスワミ報告の問題点 その1:偏見で塗り固められた論旨

2-1.「奴隷狩り」は既に否定された

2-2.証拠の提示は皆無

2-2-1.「証言」の検証や証拠の提示一切なし

2-2-2.日本政府の公式見解

2-3.不都合な情報は恣意的に回避①:各国から提供された情報・資料に関する記述なし

2-3-1.提供された資料に関する詳細な言及無し

2-3-2.特別報告者としての任務不履行への疑義

2-3-3.特別報告者としての資質・能力に関する疑義

2-4.不都合な情報は恣意的に回避②:日本政府からの資料に対する評価なし

2-5.根拠もなく「隠蔽」呼ばわり

2-6.主観的記述・論述:客観的数値の提示回避

3.クマラスワミ報告の問題点 その2:日本政府に対する不当な勧告

3 -1.国際法違反であることの承認と法的責任の受け容れ(パラ137(a))

3 -2.被害者個々人への賠償・補償(パラ137(b))

3 -3.全ての文書・資料の完全公開(パラ137(c))

3 -4.慰安婦個々人への書面による正式謝罪(パラ137(d))

3 -5.歴史教育カリキュラムの改定(パラ137(e))

3 -6.慰安所に関与した者の特定と処罰(パラ137(f))

4.クマラスワミ報告の問題点 その3:日本の行ってきた取り組みを全く無視し真意を曲解

4 -1.慰安婦についての謝罪と反省の気持ちの表明

4 -2.「女性のためのアジア平和国民基金」

5.クマラスワミ報告の問題点 その4:軍の関与に関する曲解

6.クマラスワミ報告の問題点 その5:「特別報告書」としての目的を逸脱

7.クマラスワミ報告の問題点 その6:優先事項の誤認

8.クマラスワミ報告の罪

8 -1.クマラスワミ報告の罪①:日韓の友好関係の破壊

8 -2.クマラスワミ報告の罪②:慰安婦ビジネスの横行

8 -2-1.最初の慰安婦像

8 -2-2.慰安婦像設置の急増

8 -2-3.慰安婦ビジネスの実態

8 -2-4.暴露された元慰安婦支援団体の不正

8 -3.クマラスワミ報告の罪③:日本国民の名誉を深く傷つけたこと

9.結論

9 -1.日本政府に対して

9 -2.韓国政府に対して

9 -3.国連人権理事会に対して

1.序論:数々の重大な問題点を抱えるクマラスワミ報告

 1995年、ラディカ・クマラスワミ氏が「女性に対する暴力-戦時における軍の性奴隷制度問題に関して、朝鮮民主主義共和国、大観民国及び日本への訪問調査に基づく報告書-」(以下、クマラスワミ報告)を作成、国連人権委員会(Commission on Human Rights)に提出した。

 発表当時から、本報告書には多くの明白な問題点が指摘されていた。また、作成から30年近く経った現在までに新たに判明したことも多くある。それにもかかわらず、人権委員会は多くの問題点に一顧だにせず報告書として認めたばかりか、未だに「報告書」として引き継いでいるのである。

そのために惹起される弊害は計り知れない。日本国民は、戦後80年近く経った今でも元「慰安婦」に、謝罪させられ、将来も謝罪させられるのである。そのことによって、日本国民は、過去・現在・将来にわたって、名誉を傷つけられ、自尊心を奪われるのである。

我々は、国連人権理事会(Human Rights Council)がクマラスワミ報告の瑕疵を直視し、同報告書を破棄することを強く求めるものである。

以下、クマラスワミ報告の問題点を、詳細に指摘していく。

2.クマラスワミ報告の問題点 その1:偏見で塗り固められた論旨

2-1.「奴隷狩り」は既に否定された

本来、特別報告者たる者は、第一次資料に当たるのが当然であろう。本特別報告者のクマラスワミ氏(以下 特別報告者)は第一次資料に当たるどころか、第二次資料や極端に偏った資料しか参考にしていないのは、驚異に値する。

特別報告者が歴史的背景の説明の根拠としているのは、G.Hicks(1995)や吉田清治(1983)等である。尚、「奴隷狩り」については、現在虚偽であったことが証明されている。

①G.Hicksは日本政府への批判的態度で知られている。

②吉田清治は、自身が奴隷狩りを行ったとする虚偽の告白をし、その告白の虚偽を既に何度も実証的に否定されてきた。さらに、その息子さえも父吉田清治の偽証を謝罪している。

③「奴隷狩り」を恰も真実の如く20年間報道し続けてきた朝日新聞も、ついに吉田清治の「奴隷狩り」が虚偽であることを認め、2014年8月5日、公式に謝罪した。

④2022年、ハーバード大学のラムザイヤー氏が「契約」であるという論文を発表し、厳しい審査の末、正式に認められた。同論文が発表された当初、学術的反論をすることなく一方的に批判し、ラムザイヤー氏解雇を求める署名活動を行った韓国系団体がいたことを付言する。

クマラスワミ報告が出されたのは1995年であり、その当時、吉田清治の虚偽は公式には証明されていなかったので、特別報告者が、その内容の真偽を正確に精査できなかったのは致し方ないとしても、虚偽が公式に認定された時点で、クマラスワミ報告自体を、国連人権委員会がきちんと精査し直すべきであった。それを怠っている点では国連人権委員会にも批判は向けられよう。

2-2.証拠の提示は皆無(パラ18、23)

「強制連行」「性奴隷」「20万人」を主張するのであれば、その証拠となる文書を以て主張すべきである。

2-2-1.「証言」の検証や証拠の提示一切なし

①「奴隷狩り」なる強制連行を示す証拠について、韓国政府からの提示は一切ない。20万人もの婦女子の強制連行があったならば、彼女らの家族や近隣住民の激しい抵抗を示す記録、目撃談の記録、警察への届け出の記録、個人の日記など、何らかの証拠が残っている筈である。しかし、確たる証拠の唯一つとして、韓国政府が提示したことはない。

②「性奴隷」を示す証拠もない。逆に、高給をもらい貯金さえしていたこと、休暇もあったこと、奢侈品の買い物をしていたことなどが慰安婦自身の自伝や供述書に残っている。つまり、実態は「性奴隷」とは程遠いものだったのである。

「性奴隷」という表現が事実に反する表現であることは、2015年の日韓合意でも韓国側と確認し、同合意においては一切使われていない。

③「20万人」という数字は全く裏付けのない数字である。

④クマラスワミ報告には「多くの情報源」「証言」や伝聞表現(「~という」「~と語り」など)、出典不明の情報が随所にみられる。

報告書においては、どのようにその証言や情報を入手したのか、入手した日時・場所・方法などを明記するのが常識である。例えば、パラ23では、「東南アジアのそれぞれにまったく別の場所からきた女性たちが、(中略)一貫した証言を行っていることは疑問の余地がない」「これほど多くの女性が自分の目的のためだけに政府の関与の程度について似たような話をでっち上げるなどとは、まったく信じがたいのである」と述べている。しかし、これら東南アジアの女性たちに報告者自身が実際に会って直接証言を得たのかは不明である。実際にインタビューをしたのなら、どこの国の女性たちに、何人、いつ、どこで、会ったのか、インタビューをしたのは何時間か、通訳を介していたか否か、など詳細に記述するのが当然である。

⑤特別報告者の多数引用する「証言」の持つ信頼性は極めて低い。特別報告者が証言を集めた時点で、既に戦後50年経っている。記憶の忘失・変質があったことは否めない。また、発言の度に内容が変化する元慰安婦の存在も確認されている。

⑥本来なら、それら「証言」の裏付け調査を行うのが特別報告者の責務である。しかし特別報告者がその真偽を検証した形跡は全く見られない。つまり、「証言」を鵜呑みにして、一方的に、日本軍の「奴隷狩り」「性奴隷」を真実であると決めつけ、激しく糾弾しているのである。

2-2-2.日本政府の公式見解

2007年、日本政府は日本の公式見解として「軍・官憲が慰安婦を強制連行したことを示す文書は無かった」ことを閣議決定した。2016年には当時の安倍晋三首相が国会質問に於いて、この公式見解を維持していることを言明した。

2-3.不都合な情報は恣意的に回避①:各国から提供された情報・資料に関する記述なし(パラ3・パラ25)

2-3-1.提供された資料に関する詳細な言及無し

特別報告者は、大韓民国・日本の両国政府・非政府組織から、「人権委員会に対し客観的かつ公平な報告を行うために必要な情報や資料を豊富に得ることができた」と述べている(パラ3・パラ25)。しかし、どのような資料を、何点受け取ったかの詳細な記述は皆無である。従って、特別報告者がそれらの資料をどのように扱かったかは不明である。全ての資料に目を通し、真偽を精査したかは不明である。自説に都合の良い情報だけを取り上げ、不都合な情報は無視したのではないか。そのような疑義を持たれても致し方あるまい。

2-3-2.特別報告者としての任務不履行への疑義

特別報告者というものは、各国政府から提供される情報・資料のみに依存して済むのであろうか。各国政府が自国に都合の良い偏った情報・資料を提供している可能性もある。提供された情報・資料が偏っていないかを精査し、自らも自発的に様々な立場・見地からの情報・資料を探査し、さらにはそれらの裏付け調査をするのが、特別報告者としての最低限の任務ではないのだろうか。そうした過程を踏んでこそ、公正・中立な立場からの報告書が作成できると考える。

本報告書に、そうした形跡が読み取れないのは遺憾である。もし、上記のような任務を、特別報告者が遂行していたのであれば、そのことを詳細に記述する筈である。そうした記述が無いことにより、本報告書に疑念が持たれ、その信頼性を著しく低くしているのである。

2-3-3.特別報告者としての資質・能力に関する疑義

そもそも、特別報告者は、日本語や韓国語・朝鮮語に精通していたのか。日本や韓国の歴史の専門家なのか。日本語や韓国語・朝鮮語を解さず、日本・韓国・朝鮮の歴史の知識が豊富でないとすれば、それら言語で書かれた資料や証言は判読・理解できないであろう。が、それで特別報告者としての義務を完遂できるのだろうか。翻訳や通訳に頼るだけの間接的「実態調査」では、「客観的かつ公平な」報告書作成は不可能と言えよう。

2-4.不都合な情報は恣意的に回避②:日本政府からの資料に対する評価なし

 特別報告者が大韓民国・日本の両国政府・非政府組織から、豊富に得たという情報や資料の中には、1993年に日本政府が発表した資料もあった筈である。日本政府は、1991年12月から1993年8月にかけて徹底的な調査を行っている。日本政府各省庁、国立国会図書館、米国国立公文書館の保管する230点以上の関係資料を精査し、元慰安婦、元軍人、元朝鮮総督府関係者、元慰安所経営者、慰安所付近の居住者、歴史研究者等からの幅広い聞き取り調査を行った。また、韓国政府が作成した調査報告書、韓国挺身隊問題対策協議会、太平洋戦争犠牲者遺族会など関係団体が作成した元慰安婦の証言集他多数の出版物も参考にしている。

これらの資料を総合的かつ客観的に分析、検討して明らかになった実態が、1993年8月4日発表された。その発表で明らかになったのは、日本の軍・官憲が、慰安婦を直接強制連行したことを示すものはなかったことである。この発表資料(英訳)は非常に重要な資料とするべきものであり、日本政府から特別報告者にも手交されている。

なぜ、クマラスワミ報告には、この重大な資料への評価が一切ないのか。特別報告者がこの資料を虚偽と判断したのであれば、そのことを明晰に論述すべきである。それがないのは、この資料が自説に不都合であり、それに反駁する余地がなかったからではないだろうか。もしこの推測が間違っているならば、今からでも特別報告者は、自身の評価や判断、判断が正しかったという根拠を明確にするべきである。

2-5.根拠もなく「隠蔽」呼ばわり(パラ43)

以上見て来たように、特別報告者として当然の、情報収集・情報分析・裏付け調査を怠っておきながら、証拠が見つからないのは、日本政府が公文書を全て公開していないためという吉見義明氏の主張を真に受けている(パラ43)。しかし、そのような主張を真に受けるのではなく、特別報告者自身、

日本政府が特別報告者に手交した資料(英訳)を始め、その他の資料・情報を収集・精査し、その上で日本政府が公文書を隠蔽していると判断したのであれば、その判断の根拠を明確に論述すべきである。

2-6.主観的記述・論述:客観的数値の提示回避(パラ21,22)

 本報告書には、事実を示すための客観的な数値や統計的資料の提示に依らず、主観的な表現・記述が極めて多い。例えば「慰安婦の多くは救出されなかった。(中略)日本軍に殺されたり、単にそのまま放置された女性が多かったからである」(パラ21)、「強制退去させられた女性の中には過酷な状況と食料不足のために死んだ女性も少なくない」(パラ22)等である。「多くは」「多かった」「少なくない」といった相対的表現は、極めて不正確であり主観的である。正確さを期すべき報告書には全くそぐわない。こうした主観的表現を多用することは、読む者に誤解を与え偏見を助長することにもなりかねない。報告書であれば、客観的数値や統計的資料を基に論を進め、主観的表現は避けるのは常識である。

3.クマラスワミ報告の問題点 その2:日本政府に対する不当な勧告

3 -1.国際法違反であることの承認と法的責任の受け容れ(パラ137(a))

【特別報告者の主張】

 慰安所制度が国際法違反であることを承認し、その違反の法的責任を受け容れること。

【それに対する疑義・反論】

 ①特別報告者の展開する国際法の議論を受け容れる余地は全くない。特別報告者は、日本が当事国ではない条約を論拠として条約違反を主張したり、何らの根拠もなく一定の規範が慣習国際法であると断言したり、現在の国際法を遡及適用させたりするなどの問題である。

②日本は、先の大戦に係る賠償、財産・請求権の問題について、サン・フランシスコ平和条約、二国間の平和条約等に従い誠実に対応してきている。

3 -2.被害者個々人への賠償・補償(パラ137(b))

【特別報告者の主張】

被害者個々人に対して、被害者の人権等の侵害に関する原状回復、賠償、補償等を支払うこと。

【それに対する疑義・反論】

 ①個人に対する補償義務については、国際法上認められないのが原則である。

 ②他方、日本の謝罪と反省の気持ちを表すために、この問題を正しく後世に伝えること、関係諸国との相互理解の一層の増進に努めることに積極的に取り組んでいる。具体的には、「女性のためのアジア平和国民基金」の発足等である。こうした日本の取り組みについては、「4.クマラスワミ報告の問題点 その3:日本の行ってきた取り組みを全く無視し真意を曲解」で詳述する。

3 -3.全ての文書・資料の完全公開(パラ137(c))

【特別報告者の主張】

 第二次大戦中の日本帝国軍の慰安所及び関連する活動に関して、日本政府が保存する全ての文書と資料の完全公開を保証すること。

【それに対する疑義・反論】

 特別報告者が、充分な論拠もなく、あたかも日本政府が資料を隠蔽しているかのような批判的主張・勧告を行うことは誠に遺憾である。日本政府は、むしろ積極的に資料の調査、公開を行っているところである。このことは、「2-4.日本政府からの資料に対する評価なし:不都合な情報は恣意的に回避か」及び「2-5.根拠もなく「隠蔽」呼ばわり」で述べた通りである。

3 -4.慰安婦個々人への書面による正式謝罪(パラ137(d))

【特別報告者の主張】

 従軍慰安婦の個々人に書面による正式謝罪を行うこと。

【それに対する疑義・反論】

 日本政府は、これまでも様々な場において、内閣総理大臣を始めとする日本政府最高責任者が慰安婦の方々に対して真摯な謝罪と反省の気持ちを表明してきている。このことは「4.クマラスワミ報告の問題点 その3:日本の行ってきた取り組みを全く無視し真意を曲解」で詳述する。

3 -5.歴史教育カリキュラムの改定(パラ137(e))

【特別報告者の主張】

 歴史的現実を反映するよう教育のカリキュラムを改定し、この問題についての意識を高めること。

【それに対する疑義・反論】

 特別報告者が日本の歴史指導の現状(日本史A、世界史A)を十分に調査した上で、かかる勧告を行っているのか甚だ疑問である。日本の歴史指導について、具体的には、学習指導要領において、「両大戦をめぐる国際情勢と日本」(日本史A)、「アジア諸国の変貌と日本」(世界史A)という項目で、客観的かつ公正な資料に基づき歴史の事実の理解を促進する指導を行うことを定めている。

3 -6.慰安所に関与した者の特定と処罰(パラ137(f))

【特別報告者の主張】

 第二次大戦中に慰安所に関与した者を特定し処罰すること。

【それに対する疑義・反論】

 戦争犯罪は、戦勝国と敗戦国との平和条約により全ての処理を終える。また、連合国による裁判により、日本国民の戦争犯罪は処罰され、刑の執行も行われている。

4.クマラスワミ報告の問題点 その3:日本の行ってきた取り組みを全く無視し真意を曲解

 本報告書は、慰安婦問題や女性に対する暴力の撤廃及び防止に関して日本が取り組んできたことを正確に伝えていない。そのために、本問題に関して日本に対する誤った印象が拡散し、議論を混乱させ、戦後80年経った現在、未だに解決を見ないのである。以下、日本が、慰安婦問題や女性に対する暴力の撤廃及び防止に関して行ってきた取り組みを見て行く。

4 -1.慰安婦についての謝罪と反省の気持ちの表明

 慰安婦問題に旧日本軍が関与していたことが明らかになったことから、日本政府の最高責任者はこれまで多くの機会に、心からの謝罪と反省の気持ちを表明してきている。

 ①1992年1月、韓国において開かれた日韓首脳会談で、宮澤喜一内閣総理大臣(当時)が、謝罪と反省の気持ちを表明した。

 ②1993年8月、河野洋平官房長官(当時)が、1991年から行ってきた調査結果発表に当たり、河野談話を発表した。その談話の骨子は、旧日本軍関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を傷つけたことの認識、日本政府としての謝罪と反省の気持ちの表明、謝罪と反省の気持ちの表し方の検討である。

 ③1994年8月、村山富市内閣総理大臣(当時)が、戦後50年を迎えるにあたり談話を発表した。この談話で、慰安婦問題について謝罪と反省の気持ちを表明している。

 ④1995年7月、村山富市内閣総理大臣(当時)が、「女性のためのアジア平和国民基金」発足に際して、慰安婦問題に対する謝罪の気持ちを表明する挨拶を行った。その挨拶は、日本の代表的新聞の全てに掲載された。

 ⑤個々の元慰安婦に対して「償い金」及び医療・福祉支援が提供された際、その当時の内閣総理大臣(橋本龍太郎内閣総理大臣、小渕恵三内閣総理大臣、森喜朗内閣総理大臣及び小泉純一郎内閣総理大臣)は、自筆の署名を付して、謝罪と反省を表明した手紙を個々の元慰安婦に直接送った

4 -2.「女性のためのアジア平和国民基金」(パラ63、74、88、131、132、134)

 ①日本は、慰安婦の問題を、女性の名誉と尊厳を傷つけた問題であると認識し、談話や挨拶、新聞掲載などの形で、謝罪と反省の気持ちの表明を行ってきたことは上述の通りである。また、謝罪と反省の気持ちの表明の一つが、「女性のためのアジア平和国民基金」の発足である。「女性のためのアジア平和国民基金」は、日本政府及び日本国民が、元慰安婦に対する償いや救済事業等を行うことを目的としている。また、アジアその他の地域における女性に対する暴力の撤廃や防止に取り組むことをも企図している。

 ②特別報告者は、大韓民国及び朝鮮民主主義共和国での聞き取り調査から得られた「女性のためのアジア平和国民基金」の即時撤回の声を報告している。その理由は、国民からの募金は、日本政府の責任回避の方便であり、「被害国」への侮辱であるということである。

しかし、これらの声を上げている人達が、「女性のためのアジア平和国民基金」における国民参加の意味を正しく理解しているとは思えない。また、女性に対する暴力の普遍的解決に日本も貢献しようという趣旨も理解しているとは思えない。

 ③「女性のためのアジア平和国民基金」には、日本政府が約48億円を拠出し、また、日本人一般市民から約6億円の募金が寄せられた。日本政府は、元慰安婦の現実的な救済を図るため、元慰安婦への「償い金」や医療・福祉支援事業の支給等を行う「女性のためのアジア平和国民基金」の事業に対し、最大限の協力を行ってきた。「女性のためのアジア平和国民基金」の事業では、元慰安婦285人(フィリピン211人、韓国61人、台湾13人)に対し、国民の募金を原資とする「償い金」(一人当たり200万円)が支払われた。また、これらの国・地域において、日本政府からの拠出金を原資とする医療・福祉支援事業として一人当たり300万円(韓国・台湾)、120万円(フィリピン)を支給した(合計金額は、一人当たり500万円(韓国・台湾)、320万円(フィリピン))。さらに、日本政府からの拠出金を原資として、インドネシアにおいて、高齢者用の福祉施設を整備する事業を支援し、また、オランダにおいて、元慰安婦の生活状況の改善を支援する事業を支援した。

これら以外にも、日本政府は、「女性のためのアジア平和国民基金」公益法人格の許可、寄付の免税措置等、有形無形の協力を行っている。

上記のような実態を見ても、「女性のためのアジア平和国民基金」は日本政府の責任回避のための方便という批判は全く当たらない。

 ④日本政府の真意を理解せず、逆に悪意に解釈する傾向に対して、特別報告者は公正・中立・正確に日本政府の真意を報告する責任があろう。

5.クマラスワミ報告の問題点 その4:軍の関与に関する曲解(パラ19,20、93、94)

特別報告者は、軍の関与や慰安所の規則に言及している。慰安婦が「性奴隷」として厳しく管理され、地獄のような苦しみを味わわされたと言いたいのかもしれないが、逆である。実際は軍の関与は、規律正しさや秩序を保障するものであり、慰安婦たちの人権が守られるためであった。

実際、慰安婦たち、高給をもらい、休暇もあり、奢侈品の買い物をする自由もあったのである。そうした生活が可能だったのは、軍が関与し、整然とした規則があり、それらが遵守されていたからである。このような生活をしていた慰安婦たちが「性奴隷」でないことは明白である。

6.クマラスワミ報告の問題点 その5:「特別報告書」としての目的を逸脱(パラ51)

 報告書は厳正中立な立場から、確かな事実のみを客観的数値や統計的資料に基づき作成されるべきものである。つまり、真実を明らかにすることが報告書の一義的目的である。特別報告者の言う「この問題の解決に向けた今後の行動を促進すること」(パラ51)は、報告書本来の目的から逸脱している。

特別報告者は、「それにも増して重要なのは、本報告書では特別報告者が会うことができた暴力の被害を受けた女性たちの声を取り上げたいということである。」(パラ51)とも述べている。こうした姿勢の表明は、慰安婦側に肩入れし、慰安婦たちに感情移入さえ行っていることを物語っている。特別報告者が厳正中立な立場から慰安婦問題の事実を明らかにするものとは到底言えない。

「2.クマラスワミ報告の問題点 その1:偏見で塗り固められた論旨の展開」で述べたように、報告書全体において、特別報告者の主観や偏見が非常に多く見られる。「この問題に関係する当事者、すなわち朝鮮民主主義人民共和国、大観民国、および日本政府の全ての意見を正確かつ客観的に反映して」(パラ51)いないことは明白である。

 特別報告者が実際に会って話を聞いたほんの数名の慰安婦の「証言」なるものをもって、「彼女たちはフィリピン、インドネシア、中国、台湾(中国の省)、マレーシア、オランダにいる他の全ての元「慰安婦」のために語っているのである。」(パラ51)とするのも、特別報告者の姿勢がいかに感情的であり、厳正中立な立場を大きく踏み外しているかを如実に物語っている。

 付け加えるなら、台湾を中国の省とするのも問題である。

7.クマラスワミ報告の問題点 その6:優先事項の誤認

 戦地での女性への暴力は枚挙に暇がない。先の大戦終戦時のソ連兵による満州従軍看護婦への強姦とそれによる22名の従軍看護婦集団自決、満州引き揚げ者に対する強姦・虐殺・略奪、GHQによる慰安所設置では10万人の日本人女性が米兵の性の犠牲にされた。60年前のベトナム戦争時における、ベトナム人女性を使った韓国兵のための慰安所「トルコ風呂」設置、さらに悪質なものにはベトナム人女性を強姦したライダイハン問題がある。その数は5000人から2万人と言われている。ライダイハンに関して、韓国政府はそれを認めず、謝罪は愚か実態調査さえ拒否している。さらに30年前には韓国人女性3万人以上による韓国軍慰安所及び米軍慰安所もある。現在進行中の女性への暴力としてはウクライナ戦争がある。

 以上のような戦争に関わる女性への暴力は氷山の一角である。こうした、より最近の女性に対する暴力は不問に付し、80年前の慰安婦を、あたかも現代の女性に対する暴力の最重要問題であるかの如く取り上げている本報告書は極めて不当である。しかも、慰安婦に関しては、日本政府が誠実に対応してきていることは、既に述べた通りである。

8.クマラスワミ報告の罪

 以上述べてきたように、本報告書には、報告書としての重大な欠陥が山積している。その報告書がいかに深刻な問題を引き起こしているかを以下に見て行く。

8 -1.クマラスワミ報告の罪①:日韓の友好関係の破壊

 クマラスワミ報告が引き起こした最大の問題は、日韓の友好関係の破壊に先鞭をつけたことである。

既に1965年に最終的な解決を見ていた問題を、あたかも未解決で現代の最重要問題であるかのように煽り立てた。また、法的には全く成り立たない恣意的な解釈に基づく政治的主張に満ちた本報告書は、議論を混乱させた。さらに、およそ不可能で非現実的でありながら、あたかも正当であるかのように装った勧告が、多くの関係者・非関係者を巻き込んで混乱を過熱させた。

韓国では、反日教育が小学校から行われ、慰安婦捏造資料館・徴用工の捏造写真・捏造映画などにより、反日感情育成に邁進している。

さらには、2005年「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(親日罪)」制定、2019年「日帝強占期植民残滓清算に関する条例案」可決など、親日派弾圧・親日狩りを推進する法制度を整えている異常ぶりである。

韓国における反日教育及び反日的法律・反日的行為によって、韓国国民には反日感情が根深く植え付けられ、世代を超えて再生産されていく。将来にわたり、両国の友好と親善は妨げられるのである。クマラスワミ報告はその最大の要因となったといえる。

冷え切った日韓関係を改善すべく、2015年、「慰安婦問題に関する日韓合意」が締結された。これは、「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたこと」を確認したものであり、日本政府が10億円を拠出して財団を設立し、韓国政府は慰安婦像の移転に努力することが謳われていた。日本政府は合意通り財団を設立した。しかし、韓国政府は履行どころか、合意には法的拘束力がないことを表明し、一方的に財団を解散した。慰安婦像は移転どころか、韓国内を始め世界中に増設され続けている。2022年3月時点で、韓国国内の慰安婦像は、合意前の20体から144体に増加した。また、海外での設置(像と碑)も、合意前の9箇所から20箇所(公有地、私有地合わせて)に増加した。 

慰安婦像については「8-2.慰安婦ビジネスの横行」で詳述する。

尚、「慰安婦像」という呼称は、元慰安婦についての描写として極めて不適切であるが、便宜上この呼称を使用する。

8 -2.クマラスワミ報告の罪②:慰安婦ビジネスの横行

慰安婦問題が終息しない背景に、慰安婦を金儲けに利用した「慰安婦ビジネス」がある。代表的なのが「慰安婦像」である。また、正義連やナヌㇺの家といった元慰安婦支援団体も、莫大な補助金・寄付金を得ている。

「慰安婦像」は「平和の少女像」として、「日本軍に強制連行され、性奴隷にされた20万人の少女」を表象するという。しかし、この表現は事実から乖離したものであり、極めて不当である。

①「強制連行」されたことを示す証拠・資料は全く発見されていない。

②「性奴隷」という表現は事実に反する表現であり、2015年の日韓合意でも韓国側と確認し、同合意においては一切使われていない。

③「20万人」という数字は裏付けのない数字である。

④慰安婦=「少女」という認識は、韓国の新聞の誤報から生まれたものである。誤報であることが判明したにもかかわらず、韓国では訂正記事を載せることもなく、韓国の人々の記憶に深く刻まれてしまった。

以下、慰安婦ビジネスの経緯を述べていく。

8 -2-1.最初の慰安婦像

2011年12月、ソウルの在韓国日本大使館前に、最初の慰安婦像が設置された。慰安婦像を制作したのは、韓国の彫刻家夫妻、金運成氏と金曙炅氏であり、「韓国挺身隊問題対策協議会」(挺対協)の依頼で制作された。挺対協は、慰安婦関連の韓国最大の支援団体であり、現在は「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)として活動している。

 最初の慰安婦像が日本大使館前に設置された時、日本政府は、外国公館前での侮辱行為を禁じたウィーン条約に違反しているとして撤去を求めたが、実際には撤去どころか、似たような像が国内外に次々に作られていった。

8 -2-2.慰安婦像設置の急増

 慰安婦像の制作設置に拍車がかかったのは、2015年12月末の「慰安婦問題に関する日韓合意」(慰安婦日韓合意)以降である。既に述べたが、慰安婦日韓合意とは、朴槿恵政権当時の日韓両国の外相(日本側は岸田文雄現首相)が、「日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたこと」を確認したものである。日本政府が10億円を拠出して財団を設立し、韓国政府は慰安婦像の移転に努力することが謳われていた。

しかし、当時の挺対協は、被害者に事前説明がなかったとして激しく反発した。朴政権の後の文在寅政権は、支援団体の圧力に屈し、合意を棚上げして財団も解散した。支援団体の反発の勢いの高まりに便乗するかのように、慰安婦像は急増していった。

上述のように、2022年3月時点で、韓国国内の慰安婦像は、合意前の20体から144体に増加し、海外での設置も、合意前の9箇所から20箇所に増加したのである。

8 -2-3.慰安婦ビジネスの実態

①慰安婦像

正義連によれば、2021年10月現在、韓国内に144体、海外に16体(撤去されたものを除く)、合計で160体の少女像があるという。うち98体が金運成・金曙炅夫妻の作品である。像が一体できるごとに夫妻らは3万ドル(約340万円)の収入を得る。夫妻がそれまでに制作した慰安婦像の売り上げは約3億円に上り、材料費などを差し引いても約1億円の利益を上げたと推算される。

しかも、夫妻は、他の自治体が他の作家に慰安婦像制作を依頼すると「著作権侵害」として破棄処分するよう猛抗議するのである。夫妻の抗議には、慰安婦像制作で得られる利益を独占しようとする意図が明白である。各自治体が他の作家に慰安婦像制作を依頼するのは、夫妻の制作費が割高だからである。

②正義連

正義連は、2017年から2019年の3年間に公的機関からの補助金と国民からの寄付金、合わせて約3億1200万円を得ている。

 ③ナヌㇺの家

  ナヌムの家は、大韓仏教曹渓宗が運営し、元慰安婦に共同生活を送る施設を提供してきた。2015年から2019年に集めた後援金、寄付金は約8億5000万円とされる。

8 -2-4.元慰安婦支援団体の不正の暴露

元慰安婦支援団体の不正が次々露呈してきている。その発端は、2020年5月の李容洙氏(元慰安婦)
の発言である。「正義連(旧挺対協)は元慰安婦を利用して莫大な補助金や寄付金を得ていたのに、その金を元慰安婦のために使っていない」というのである。

①正義連は、補助金・寄付金等約3億1200万円のうち、元慰安婦のために使ったのは、その3%にも満たなかったとされる。

その後、正義連の理事長だった国会議員である尹美香氏は、資金を個人的に流用したとして、横領や詐欺の疑いで起訴された。

2020年6月には、正義連の施設所長が家宅捜査をされ、自殺している。

尚、慰安婦像作家の金運成氏も、正義連との関わりが深く、2016年から正義連の理事を務めている。

②ナヌムの家は、寄付金等約8億5000万円のうち元慰安婦のために使ったのは2.3%、約2000万円にすぎなかったという。2023年1月、ナヌㇺの家元所長、安信権被告に対し、懲役2年6月の実刑判決を言い渡された。また、元事務局長ら2人は執行猶予付きの有罪とされた。さらに、施設を運営する社会福祉法人社会福祉法人「大韓仏教曹渓宗 ナヌムの家」には罰金約103万円が言い渡された。

8 -3.クマラスワミ報告の罪③:日本国民の名誉を深く傷つけたこと

クマラスワミ報告は、過去・現在・将来にわたる全ての日本国民に精神的苦痛を与え、著しく名誉を傷つけた。誤った歴史教育により、日本国民自身が、この虚偽の歴史を信じ込まされていくのである。時が経過するほど、この報告書の虚偽を糾弾する声は弱まることが懸念される。

9.結論

以上、クマラスワミ報告の抱える数多くの重大な欠陥、その結果齎された深刻な問題について見て来た。最後に、我々は、日本政府・韓国政府・国連人権理事会に以下のことを要望する。

9 -1.日本政府に対して

日本国民の生命・財産を守るべき政府は、日本国民の名誉をも守るべきである。損なわれつつある日本国民の名誉を守り、日本国民としての誇りを取り戻すために、日本政府には以下のことを要求する。尚、日本国民には過去・現在・未来の全ての日本人が含まれる。

①クマラスワミ報告に対して断固たる抗議を要求する。

②慰安婦問題の真実(強制連行はなかったこと、性奴隷とは全く言えないこと、20万人という数値は全く事実無根であること)を、国内外に、積極的かつ恒久的に繰り返し発信することを要求する。

③慰安婦問題に関して行ってきた日本政府の誠実な対応を、国内外に、積極的かつ恒久的に繰り返し発信することことを要求する。

④日韓合意を事実上一方的に破棄し、過激な反日教育を行っている韓国は、国際的・外交的に見て極めて異常である。韓国政府を糾弾するために、ア)韓国政府の行っている外交違反の数々(李承晩ライン・日韓基本条約無視・竹島占拠・慰安婦日韓合意破棄等)、イ)異常な反日教育、ウ)親日狩りのための法整備(「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(親日罪)」「日帝強占期植民残滓清算に関する条例案」制定等)の実態を、国連始め世界に発信することを要求する。

9 -2.韓国政府に対して

 日韓の友好関係を構築していくために、韓国政府には以下のことを要求する。

 ①先の大戦に係る一切の賠償問題、財産・請求権問題、「慰安婦」問題は、全て、1952年のサン・フランシスコ平和条約、1965年の日韓請求権・経済協力協定等の定める通り、法的に解決済みであることを認めることを要求する。

 ②2015年の「慰安婦問題に関する日韓合意」の誠実な履行を要求する。

誠実な履行とは以下の3点である。

ア)日韓間の慰安婦問題が最終的かつ不可逆的に解決されたことを確認すること。

イ)韓国政府は慰安婦像の移転に努力すること。

ウ)今後、国連等国際社会において、本問題について互いに非難・批判することは控えること。

 ③元慰安婦の真実(強制連行はなかったこと、性奴隷とは全く言えないこと、20万人という数値は全く事実無根であること)を国民に伝え、異常な反日教育を即刻辞めることを要求する。

 ④「親日反民族行為者財産の国家帰属に関する特別法(親日罪)」「日帝強占期植民残滓清算に関する条例案」を廃止することを要求する。

9 -3.国連人権理事会に対して

クマラスワミ報告の数々の問題点を直視し、撤回することを要求する。

真実が捻じ曲げられたまま伝えられていくことは、日本国民だけではなく、人類すべての歴史に大きな禍根を残すものである。クマラスワミ報告をこのまま報告書として認め続けることは、国連人権理事会の恥であると認識することを要求する。

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一般社団法人 国際歴史論戦研究所 隔月刊活動報告vol.7
*** Topic ***
○第59会期国連人権理事会 現地報告
○『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』発売中
○開催報告『ジャパンズ・ホロコースト』をめぐる2つのシンポジウム
○最近の論説から
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いつも当研究所の活動にご理解とご協力いただき有り難うございます。

○第59会期国連人権理事会 現地報告

現在、第59会期国連人権理事会が開催されています。現地で活動している藤木俊一上席研究員の現地の状況のレポートをお送りします。

2025年9月15日夜、成田を発ち、翌16日朝、ポーランドのワルシャワ・ショパン空港を経由して第60会期国連人権理事会に参加するためジュネーブへ向かった。空港入国管理では、2020年の第43会期人権理事会での習近平国家主席の国賓来日反対発言(https://youtu.be/s2zsHkXk-Ho)以降、毎回行われている特別な尋問を受けた。初回は2020年のアムステルダム・スキポール空港で、パスポートスキャン後に別室で15分の尋問。内容はジュネーブへの渡航目的や私の仕事に関するもので、国連関連書類を提示し解放された。審査官によると、他国からの要請で入国管理ネットワークに調査指示が登録されており、通常1年で失効するが更新される場合もあるという。

スイス・チューリッヒ空港などでも同様の尋問が続き、現在も毎回発生するが、履歴蓄積により別室対応は減少。今回、ワルシャワでは審査官が日本に興味を持ち、セキュリティとは無関係な会話で終了。音声を録音し、字幕付きでYouTubeに限定公開した。(https://youtu.be/kzQTjMt_iZY)

第60会期国連人権理事会では、議題3「すべての人権の促進と保護」および議題4「特に理事会が注目すべき人権問題」で発言し、協力NGOの国際会議への発言者としての参加やフランス、イギリス、スーダンのNGOへの支援も行った。

議題3では、中国政府による日本人参議院議員・石平氏(日本維新の会)への制裁を問題視。2025年9月8日、中国政府は石平氏に対し、入国禁止、資産凍結、取引禁止を課し、台湾、尖閣諸島、ウイグル、チベット、香港、歴史問題等への批判的見解を標的にした。さらに、中国にいる石平氏の家族にも制裁を拡大し、事実上の人質として抑圧。これは『世界人権宣言第19条』の表現の自由を侵害し、国家主権と開かれた議論を損なう行為であると理事会で主張した。中国政府に対し、制裁の即時解除、家族への攻撃停止、基本的自由の尊重を求め、理事会に勧告発出を要請した(発言動画:https://youtu.be/TGN_YHGmFbc)。

議題4では、北朝鮮による日本人拉致問題と特定失踪者問題を取り上げた。1970~80年代、北朝鮮は17名の日本人を拉致し、12名が未帰国。871名の特定失踪者も消息不明のままだ。被害者家族は高齢化し、子供に会えぬまま亡くなるケースも。北朝鮮は問題解決済みと主張し、協力しない。日本政府は全被害者の即時帰還を要求するが、進展はない。理事会に対し、国際的な協力と圧力による被害者帰国と真相解明を求めた。被害者家族の再会まで努力を続けると強調した(発言動画:

https://youtu.be/mkeT1en1WG8)。

現在、国連内では特に北朝鮮および中国による歴史問題と福島第一原発のAlps処理水に関する日本への攻撃が続いており、日本政府代表団も、都度、反論は行っているものの、その反論の方法に大きな問題があり、逆に誤解を与えることもしばしばである。これに関しては、国際歴史論戦研究所として、外務省や政府に対して、対応を変えるように働きかけを行う必要があると考える。
 今年で国連活動を始めて11年目であり、後継者の発掘が喫緊の課題である。後継者を育てるためにも国際歴史論戦研究所としては、国連の様々な会合へ保守側から参加するためのセミナーなどを継続的に開催して、1人でも多くの方に現状を理解していただく必要がある。

○『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』発売中

7月28日『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』が発売となりました。

<<Amazon紹介文より>>
アメリカで発売された『Japan's Holocaust』は反日プロパガンダ大全の歴史捏造本。
「慰安婦性奴隷説」の二の舞を許してはならぬ!
同盟国・米国の学界・言論界にモノ申す!
昭和天皇と日本軍への不当な非難を正す渾身の書

是非お読みください。

○開催報告『ジャパンズ・ホロコースト』をめぐる2つのシンポジウム

『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』の出版を記念して、8月11日文京シビックセンターにて出版報告会を行いました。19人に執筆者のうち前駐オーストラリア特命大使の山上信吾先生、ハーバード大学ロースクールのマーク・ラムザイヤー先生をはじめとする9人の執筆者が登壇し、歴史戦の課題を議論しました。

9月19日には参議院議員会館にて「歴史図書に関する報告会~『ジャパンズ・ホロコースト』の正体と歴史戦の課題」を開催しました。元衆議院議員原田義昭先生による基調講演「歴史戦で我が国の名誉を守る」、執筆者の一人マックス・フォン・シュラー―小林先生の特別講演「『ジャパンズ・ホロコースト』の正体』出版の国際的意義」、執筆者7人によるリレートーク、そして英語出版の発表が行われました。国会議員は超党派での参加があり、各先生から歴史戦に関する貴重なご提言をいただきました。

<参加国会議員>  (敬称略)
自由民主党 参議院議員 山田 宏
自由民主党 衆議院議員 髙木 啓
自由民主党 衆議院議員 石橋 林太郎
日本保守党 衆議院議員 竹上 裕子 
日本維新の会  参議院議員  松沢 成文
参政党  参議院議員 松田 学
参政党  参議院議員 宮出 ちさと

<メッセージ を送って下さった国会議員>
自由民主党 参議院議員 山谷 えり子
自由民主党 参議院議員 片山 さつき
自由民主党 衆議院議員 石橋 林太郎

○最近の論説から

8月の論説は、池田研究員が南京事件を切り口に、メディアの在り方や私たちのメディアとの向き合い方ついて執筆しました。また、9月の論説は山本所長が米韓首脳会談でトランプ米大統領が慰安婦問題に言及したというニュースについて概説しました。

2025年8月 池田悠 日本の言論空間と南京事件

2025年9月 山本優美子 故安倍晋三氏がトランプ大統領に託した言葉~「慰安婦」と日韓関係

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当研究所の全ての活動は、志をともにする国民の皆様からのご寄付によって成り立っています。活発な活動を展開するためにご支援の程、何卒よろしくお願い申し上げます。
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口座名 国際歴史論戦研究所

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店名 〇一九店 (ゼロイチキュウテン)
*支店名は「セ」を指定して調べてください。
当座 口座番号 0421130
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◆三菱UFJ銀行
春日町支店 普通預金
口座番号  1176278
シヤ)コクサイレキシロンセンケンキユウジヨ

当研究所の活動として、「iRICH隔月刊活動報告」を送らせていただきます。ご不要の方は以下連絡先までご連絡ください。

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<一社 国際歴史論戦研究所 事務局>
〒112-0005 東京都文京区水道2-6-3 2F
Website: https://i-rich.org/
メール:info@i-rich.org
電話:03-6912-1045

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一般社団法人 国際歴史論戦研究所 隔月刊活動報告vol.6
*** Topic ***
〇8月1日発売『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』
○海外の公有地に慰安婦像・碑を設置している自治体へ抗議文を送付
〇ユネスコ世界の記憶「慰安婦=性奴隷」登録問題
○最近の論説から
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いつも当研究所の活動にご理解とご協力いただき有り難うございます。

〇8月1日発売『「ジャパンズ・ホロコースト」の正体』

戦後80年の暑い夏、ついにブライアン・リッグのインチキ本「Japan's Holocaust」を徹底的に論破した本が完成しました。堂々の423ページ、ハート出版発行です。

出版を記念してシンポジウムを開催します。著者自身による「書評」シンポという斬新な形式のシンポです。是非ご参加ください。

日時:令和7年8月11日(月・海の日)14:00-16:30

場所:文京シビックホール3階会議室 (東京都文京区春日1-16-21)

参加費:2千円 

参加申込: warprop@i-rich.org  までご連絡ください

○海外の公有地に慰安婦像・碑を設置している自治体へ抗議文を送付

2011年に韓国ソウルの路上に違法に慰安婦像が設置されて以来、いまも海外で韓国系団体が慰安婦像の設置、展示の活動を行っています。

公有地の場合、地域の議会の承認を経て設置されるので、撤去は難しいのが現状です。しかし、時間が経っても忘れていないこと、反対の意志を示し続けることが重要だと考えます。

国際歴史論戦研究所はこれまでに海外(韓国・中国除く)の公有地で慰安婦碑・像が常設設置されている11カ所の市長、議会議員宛てに「日本人は今も撤去を求めている」ことを伝える抗議文をメールにて送りました。また、写しは現地の大使館、総領事館に送りました。

〇ユネスコ世界の記憶「慰安婦=性奴隷」登録問題

ユネスコ「世界の記憶」をめぐり、韓国を中心とする「慰安婦=性奴隷」説の登録を目指すグループとの対話が計画されています。韓国の李在明(イ・ジェミョン)新大統領は、選挙直前に発表した公約集において「国家次元での日本軍「慰安婦」記録物のユネスコ世界記憶遺産登録推進する」と発表しており、我々にとって困難な対話が予想されます。

研究所からは上席研究員の藤木俊一を派遣し、対話に参加する予定です。研究所でも予算をつけていますが、全額派遣費用を賄うことは困難なため、皆様のご支援をよろしくお願い申し上げます。

○最近の論説から

6月および7月の論説は、杉原会長が韓国の憲法について寄稿しました。また、松木上席研究員が韓国大統領選挙を基軸に今後の日韓関係について取り上げました。

2025年6月 杉原誠四郎「韓国の憲法はどのように改正したらよいか」

2025年7月 松木國俊「李在明政権と日韓関係」

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Japanese : https://i-rich.org/?p=2450

Ara Kenichi
Advisor, International Research Institute of Controversial Histories

When the description of the Nanjing incident began to appear in school textbooks in 1982, following the influence from neighboring countries clause, supposedly it was due to the “don’t-rock-the board” mentality toward China on the part of the Japanese Government. Now, however, the Nanjing incident is being used as the due cause for the Chinese people to attack Japanese people in China as well as the vital weapon in the intelligence warfare prior to the looming Taiwan emergency.

On December 13 last year, while Japanese schools in China were either closed or classes were held online, the Chinese Embassy in Japan called on people to remember the Nanjing incident victims, causing us Japanese to worry about Japanese children in China. The film Dead to Rights, whose screening in China began on July 25 this year, became a box office hit. The film showed scenes such as a baby being violently hit or a crucified Chinese soldier being stabbed with a bayonet, causing an acute rise of the Chinese hatred against the Japanese and further increase of worries among Japanese.

On December 13 last year, the Ryukyu Shimpo Newspaper posted a military diary of a soldier engaged in the battle of Nanjing on its front and second pages. Young people from Okinawa Prefecture were mobilized as the Second Sino-Japanese War broke out and deployed in the battle of Nanjing. The soldier’s military diary described well-known facts, but it was reported as if the soldier himself had witnessed the alleged massacre and the editorial of the Ryukyu Shimpo read that a massacre incident may happen again at any time, further asserting, “Think of the present situation. The allied U.S.-Japan military drills openly use commercial harbors, ports, airports and public roads. Urging the preparation for ‘emergency,’ the Self Defense Forces bases are being enlarged,” citing opposition to the military drills. On the TBS radio program “Ogiue Chiki Session,” aired on September 26 this year, journalist Aoki Osamu, touching the issues of “the battle of Okinawa and the Nanjing incident,” said that in the Nanjing incident the Japanese Army killed Chinese for the country and in the battle of Okinawa the Japanese Army brutally killed its own people for the just cause of protecting its own people.” Clearly, Okinawa is being made a target.

These cases show that the Chinese intelligence warfare using the Nanjing incident has deeply permeated public discourse, overwhelming Japan. These are not isolated incidents: on September 17, the Chinese Embassy in Japan invited one hundred and fifty guests to the preview of the film Dead to Rights. Some of the invited guests talked about the Japanese atrocities proving that the Chinese intelligence warfare in Tokyo has been openly staged. Dead to Rights is shown in the United States, Canada and many other countries in the world. Americans shed tears and generations unfamiliar with the Rape of Nanking hold the prejudice that the Japanese people are extremely cruel and such phenomena are seen elsewhere across the world.

In the prewar years, propaganda war or intelligence warfare in today’s terms was reported almost every month as extremely important in general magazines. After Japan’s defeat, the topic of armament became a taboo, and the propaganda war itself was forgotten. Under such circumstances, Japan is left totally vulnerable to operations of disruption.

While examining the Japanese Government’s actions over the recent years regarding the Nanjing incident, we can see that on April 3, 2023, at the House of Councilors’ Committee on Audit, Councilor Wada Masamune said, “Are there any documents kept within the Ministry of Foreign Affairs which provide the grounds for the incident?” Foreign Minister Hayashi Yoshimasa answered, “’War History Series Sino Japanese War Japanese Army Operation (1)’ made by the governmental organization carries the relevant article.” Councilor Wada strongly refuted the statement, saying, “I have read all the related papers, but there was no specific description that the Japanese military intentionally killed Chinese.” He questioned the Minister again on April 24 to confirm it.

While the Foreign Minister kept making excuses, on January 26, 2024, Councilor Kamiya Sohei submitted a written question to the cabinet, asking, “If the War History Series Sino-Japanese War, Army Operation (1) is the basis, the Ministry’s website lacks the ground.” The Government answered that it did not solely depend on the war history series but made an overall decision. Councilor Kamiya submitted another written question to the cabinet on February 28. On May 13, 2025, Councilor Hamada Satoshi submitted a written question to the cabinet, asking, “Is there any official document to verify that the Japanese Army directed murder of noncombatants or acts of plunder?” The government did not answer. On June 17, he submitted another written question to the cabinet, but the government evaded the answer, saying, “Since it is not specifically clear what you mean, it is difficult to answer your question.”

In the first place, the neighboring countries clause was not made on the grounds of the Nanjing incident. Therefore, like a textbook made by Jiyu-sha, textbooks came to pass the authorization procedure without the description of the Nanjing incident. It is now clear that the post on the MOFA website was baseless. Nevertheless, the Ministry of Foreign Affairs of Japan would not delete the article in question on the website but keeps admitting to the existence of the Nanjing incident.

When information came out related to the making of the film Dead to Rights, the story of negatives of photos taken by the Japanese Army being carried out by Nanjing citizens, it was understood that the film is based on the sixteen photographs submitted to the Nanjing military court held in 1947. The negatives of sixteen photos were supposed to have been carried out by Nanjing citizens and submitted to the Nanjing military court, and the court recognized them as valid evidence. However, some were totally unrealistic as photos taken during the rigorously cold winter in Nanjing. Since there was no record showing that photos were taken by the Japanese Army, clearly it was a fake story. Seventy years later, when China tried to register the 16 photos as UNESCO World Heritage, they were denied. At the time when the film was to be shown in China, doubts were pointed out on the Internet and “Sunday Sound Argument” column of the Sankei Newspaper dated August 6 shed light on the dubiousness of the film. And yet, the Japan’s Foreign Ministry would not do anything about it.

It was more than forty years ago when the Foreign Ministry forcibly spotlighted Nanjing incident. The Nanjing incident is not misjudgment like the removal of the sanctions against the Tiananmen incident or Emperor’s visit to China, but it is a case where Japan recognized as a fact at China’s insistence a questionable event without any ground. None of those concerned at the time are alive today. Japanese ministry’s Asian Bureau was changed to Asian and Oceanian Affairs Bureau. The Foreign Minister does not need to adhere to the past. The Ministry must protect the Japanese nationals in China and cope with the intelligence warfare staged by China. Based on the conclusive facts, Japan should immediately change its policy toward the Nanjing incident. There is no time to hesitate.

【英語版】: https://i-rich.org/?p=2548

国際歴史論戦研究所
上席研究員 河原昌一郎

1 頼清徳の価値外交

ここで「価値外交」とは、民主主義を人類普遍の真理であるとし、国家の外交や安全保障に民主主義の価値を認める外交を言う。頼清徳総統は就任以来一貫して台湾は民主主義国家として他の民主国と協力・連帯しながら自らを守ることを外交方針としており、頼清徳の外交の基本的理念は「価値外交」としてよいであろう。

頼清徳の「価値外交」に関する考え方を以下の演説等で確認しておきたい。

まず、昨年(2024年)5月の就任演説では、「世界の民主主義連帯の重要な結節点としての台湾の民主主義の輝かしい時代が到来した」とし、民主主義連帯において台湾をその結節点として位置付けた。続けて、台湾の民主主義は、中国の脅威に直面している自国を防御することになるだろうと述べている。

また、昨年10月の双十節演説では、この台湾の地には国民の選択による民主と自由が成長し、繁栄しており、中華人民共和国はこの地に根をおろした台湾を代表する権利を持たないことを強く主張した。

さらに今年10月の双十節演説においても、民主化を経て得た民主と自由は台湾人の共有の記憶であり、「台湾はアジアの民主の灯台である」と述べている。

このように、頼清徳は民主主義に外交、安全保障における特別の価値を認め、台湾国家の存立の基礎を民主主義に置いている。頼清徳は、民主主義の実践と普及を通じて台湾を世界の民主主義陣営の一角に位置付け、そのことによって台湾の安全保障を確実なものにしようとする「価値外交を」一貫して遂行しているのである。

2 第一期トランプ政権およびバイデン政権の価値外交

 第一期トランプ政権を含め、バイデン政権までの米国外交は台湾と同じく「価値外交」であった。

第一期トランプ政権では、ポンペイオ国務長官の下で、米国は民主主義陣営の指導国であるという立場から外交が推進された。ポンペイオ長官は中国共産党を「マルクス主義的独裁」と位置付け、自由世界すなわち民主主義陣営の防衛を唱えた。2020年7月の有名な「ニクソン図書館演説」では、「21世紀を自由な世紀にしたいならば、中国の世紀を許してはならず、盲目的な中国への関与政策は決して行われてはならない」ことを主張した。このようにポンペイオ長官は、中国に対してイデオロギー的な対決の姿勢を強めるとともに、一方では台湾の民主主義を称揚し、台湾を民主主義実践国の一つとして防衛することが必要との考えを示していた。2018年3月に成立した「台湾旅行法」では、それまで抑制していた米台の高官レベルでの交流を解禁し、互いに民主主義国として緊密な関係強化を図ろうとするものであった。第一期トランプ政権の外交は、ポンペイオ国務長官によって「価値外交」が推進されていたのである。

続くバイデン政権においても東アジアサミット(EAS)等において、「自由で開かれたインド太平洋」、「法に基づく国際秩序」を掲げ、「アジアの自由と民主主義を守る」と語り、台湾を含む地域の民主主義国との連帯を強調し、民主主義を米国が守るべき価値として位置付けた。また、バイデン大統領は2021年10月にCNNタウンホールで記者から「中国が台湾を攻撃したら米国は台湾を守るか」と問われ、「Yes.我々はその責務を負っている」と回答し、2022年5月の東京での記者会談で同様の質問があったときも、「Yes.」と明確に答えている。バイデン政権下でも、ポンペイオ国務長官時の「価値外交」の考え方は揺るがず、民主主義を守るべき価値の中枢に位置付けるということで、頼清徳の堅持する「価値外交」と外交の基盤を共通にしていたということができるであろう。

3 第二期トランプ政権の取引外交

 国務長官に外交をまかせていた第一期トランプ政権とは異なり、第二期トランプ政権ではトランプ大統領が自ら外交をリードするようになり、外交の性格が大きく変化した。

 2024年7月、トランプ氏は週刊誌(ブルームバーグ)のインタビューで、「台湾は我々に防衛費を支払うべきだ。・・我々は保険会社と何ら変わらない」と述べた。台湾の防衛が行われるのは、台湾が予め相応の保険料を支払って保険に入っているからだというものであり、台湾防衛が経済的取引の一環としてとらえられている。

 台湾に対する軍事支援の扱いについても、武器援助から武器販売に移行する兆候が見られ、現金的援助より対価を求める武器売却や大規模取引を優先する傾向が指摘されている。

 トランプ大統領は、政権発足直後、すべての対外援助を90日間凍結して見直す大統領令を出しているが、台湾への支援も価値支援として特別に扱われることなく、条件付き、見直し可能なものとして扱われている。

 また、2025年10月のロイター報道によれば、トランプ大統領は、「台湾は防衛費をGDPの10%にすべきだ」と述べたものとされる。これも米国支援の前提として台湾側に負担増を求めるものである。

 このように、第二期トランプ政権の世界観、外交は「価値外交」とは大きく変わるものであり、民主主義に特別の価値を認めようとするものではない。あくまで米国を中心とする取引関係で米国の対応、方針を決めていこうとするものであり、「取引外交」と言うべきものである。

 頼清徳は一貫して「台湾は民主陣営の一員」という位置付けを強調し、米国が「民主陣営のリーダー」としての責務を果たすことを期待しているが、第二期トランプ政権は民主陣営の普遍的責務として台湾を守るという発想には慎重であり、台湾防衛についても、取引の対象としてとらえる傾向が強く、「米国が損をしない限りで行動する」という考え方が目立つのである。

4 今後の対応

 2025年10月末のトランプ大統領のアジア歴訪においても、トランプ大統領は民主主義陣営および自由貿易体制のリーダー国としての姿勢を示すことなく、各国との取引外交に終始した。韓国での米中首脳会談でも台湾問題は話題になることはなかった。帰国後、台湾に関するメディアの取材にも、自分が在任中は中国による台湾侵略は起こらないと述べるのみで、現実的な対応は曖昧なままとされている。

 こうした第二期トランプ政権の取引外交の性格から、中国の台湾侵攻時に状況によっては米国による軍事介入が必ずしも見込めないこともあり得るので、台湾は「米国だけに依存しない」防衛体制を早急に構築しておくことが求められることとなった。その一環として、防衛予算を増額し、米国からの武器購入計画を可能な限り前倒しにして戦力強化を図る等の取組みが必要とされている。

 これとともに、日本においては、可能な限り自衛隊の抑止力強化のスピードアップを図るとともに、他の民主主義国との連携が重要となることを踏まえ、「民主主義ブロック」での供給網再編、経済制裁・技術規制等の協調体制の整備等について早急に検討しておくことが必要である。