書名:『アメリカ人が語る 沈む超大国・アメリカの未来』
著者:マックス・フォン・シューラー著
出版社 : ハート出版 (2024/11/6)
発売日 : 2024/11/6
言語 : 日本語
単行本 : 208ページ
ISBN-10 : 4802401833
ISBN-13 : 978-4802401838
本書はアメリカの陥っている危機的現状を様々な角度から赤裸々に描写し、そのアメリカを待ち受けている破滅的未来を、徹底的に明らかにする書である。そこには、日本で報道されている、或いは多くの日本人が思い描いているアメリカ、即ち、強く自由で希望に満ちた理想の国とはかけ離れたアメリカの真の姿が映し出されている。移民に悩まされ、左翼政権の異常な政策に蹂躙され、地方都市は荒廃し、極端な多様性尊重とLGBTQの掛け声で腐敗しきったアメリカの姿がある。
しかし、本書の目的は、単にアメリカの現状・恥部を暴き立てることではない。著者が本書を執筆して伝えたかったことは、何よりも、日本への警告である。アメリカの幻影を真実と妄信し、追従し、依存する日本に警鐘を鳴らすことである。このままでは、日本自体がアメリカと共に沈み崩壊していくことを、著者は何よりも憂慮し危惧するのである。
自国メディアの偏向報道を信じてトランプ政権を批判的に眺め、真のアメリカの姿を見失っている日本人たち発せられる著者の提言、破滅を免れるための提言は有意義であり、時宜にかなったものといえよう。
その提言は、待ったなしに急務の提言である。一人でも多くの日本人が、アメリカ崇拝から目を覚まし、自分の国は自分が守るという、至極当たり前のこと、即ち原点に戻ることが必要である。本書は日本人の覚醒を促し、日本の独立を守るために必要な原点に立ち戻らせてくれる書と言える。
また、この本の大きな特徴として、英語と日本語の両方が併記されているということである。英語のほうも恐らく高校生くらいの英語力なら楽に読めそうなくらい平易な英語である。併記の理由は詳らかではないが、大学や高校での英語の授業でも取り扱えるようにとの配慮であろうか。或いは、取り扱ってほしいという著者の願いが込められているのであろうか。
著者マックス・フォン・シュラーの略歴は次のとおりである。
本名、マックス・フォン・シュラー小林。
元海兵隊・歴史研究家。ドイツ系アメリカ人。
1974年岩国基地に米軍海兵隊として来日、その後日本、韓国で活動。
退役後、国際基督教大学、警備会社を経て、役者として「釣りバカ日誌8」等、ナレーターとして「足立美術館音声ガイド」等、日本で活動。
YouTube公式チャンネル「軍事歴史がMAXわかる!」でも情報発信中。
著書に『[普及版]アメリカ人が語る アメリカが隠しておきたい日本の歴史』『[普及版]アメリカ人が語る 内戦で崩壊するアメリカ』(ともにハート出版)、
『太平洋戦争 アメリカに嵌められた日本』(ワック)、『アメリカ白人の闇』(桜の花出版)、『アメリカはクーデターによって、社会主義国家になってしまった』(青林堂)などがある。
以下、本書の構成について概括する。
「第1章 現在のアメリカ」ではアメリカの抱える幾つもの病巣が抉り出される。左派黒人の横暴、不法移民の狼藉、薬物中毒者の増加、警察の縮小と治安悪化、多様性を謳うLGBTの割拠、滅亡に向かう地方都市、人種対立、アメリカ軍の弱体化、教育の左傾化、そして諸悪の根源であるフェミニストの存在。いずれもアメリカに根深い問題である。しかしこれらの幾つかは、決して日本の現状と無関係ではない。いや、無関係ではないどころか、日本の現状とも大いに重なる点ばかりである。日本の近未来図とも言えよう。
「第2章 アメリカの未来」では、2024年の大統領選の前でもあり、選挙の予想がなされ、トランプが当選した場合としなかった場合に関する予測がなされている。結果的にはトランプが当選したので、最悪の事態は避けられたと言えよう。
「第3章 日本は何をすべきか?」では、日本が崩壊しないために、日本がしてはいけないことについて先ず言及し、次に、すべきことについての提言がなされる。要は、自分の国を守るのは自分たちであるという、至極当然の、独立国であればあまりに当たり前のことなのだが、今の日本ではその当たり前のことすら、十分になされてはいない。
ひとつわからないのは、アメリカ、いや世界中の国々の潮流が、左翼に牛耳られるようになってしまったのか、左翼が蔓延したのかということである。そうなる前に何故何らかの手が打たれなかったのか。
そうした疑問は解決しないものの、本書は、日本人が覚醒し、独立を守るために何をすべきかについて考え行動する一助になる本である。是非多くの日本人に読んでほしい一冊である。