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【ご挨拶】一般社団法人となりました

【英語版 https://en.i-rich.org/archives/427 】

令和4(2022年)年4月1日
国際歴史論戦研究所
会長 杉原誠四郎

ご挨拶

 2018年11月1日設立した国際歴史論戦研究所は、この度、2022年4月1日をもって一般社団法人となり、正式名称が「一般社団法人国際歴史論戦研究所」となりましたので、一言、ご挨拶申し上げます。

 当研究所の目的はこれまで「規約」第3条で「当研究所は、国際的な歴史論戦を通じ、日本と日本人の名誉と尊厳を守ることを目的とする」と定めていましたが、新しく「定款」では、同じく第3条で「当法人は、歴史の研究を中心として行い、その成果を発表し、日本に対する正しい理解を国内外に広めることを目的とし」と定めました。表現は変わりましたが、これまで通り、日本と日本人の名誉と尊厳を守るために国際論戦にいどむことにおいて変わりなく、特に国際的歴論戦で手薄となっている国連対策に力を入れていくことも変わりません。

 その上で歴史研究につき、厳しく指摘しておくべきことがあります。今日の世界の歴史研究は、科学としての研究から外れ、研究ならぬ研究になっているおもむきがあります。

 そのことを指摘するためには、まずは科学とは何かということを問いただしておかなければなりません。科学とは客観的事実に基づく議論のことを指します。自然科学、社会科学及び人文科学の全ては客観的事実に基づく議論であることにおいて科学です。

 歴史学は人文科学に属し、過去の事実を扱うものですが、過去の事実を扱うとは、過去の事実に対して解釈をすることだといえます。事実に基づいて解釈することによって、過去の事実は認識し理解できるものになるということになります。

しかるに、近時、このような研究の在り方に反する研究、つまり科学ではない研究が世界的にたくさん出現しております。

 典型的な例が、我々が直接扱っている慰安婦問題です。慰安婦問題とは第2次世界大戦中に、日本軍と関係して、「従軍慰安婦」というものが存在し、日本の官憲によって婦女子の「強制連行」が行われたというもので、端緒は1983年、吉田清治という人物が『私の戦争犯罪-朝鮮人強制連行』(三一書房)を出版し、韓国済州島で慰安婦狩りをしたと生々し物語を創作して発表したことによります。これを発端に韓国で問題となり、その際の日本政府の対応の不手際も重なり、今では世界中で、「従軍慰安婦」の」「強制連行」があったとする慰安婦像が立てられるようになってしまいました。しかし慰安婦はいても「従軍慰安婦」は存在せず、「強制連行」も無かったということは、韓国及び日本の研究者により完璧に証明されており、吉田清治の創作物語を大々的に報じた日本を代表する大手の新聞も、2014年にこの問題に関する一連の報道は誤報であることを認め、記事の取り消しを行いました。

 そのような研究状況のなかで、ハーバード大学ラムザイヤー教授が2020年、「太平洋戦争における性サービスの契約」という論文を学術誌に発表し、慰安婦は契約を結んで性サービスに従事していたことを明かすもので、「強制連行」のなかったということを決定的に証明するに至りました。この論文は要約にまとめられ、2021年1月「ジャパン・フォワード」誌に掲載されました。そうすると、韓国、アメリカ、ヨーロッパなど、日本も含めて世界中の研究者が、研究者であると称しながら、ラムザイヤー教授にこの論文を撤回するように撤回要求の声明を突き付けてきました。この撤回要求声明に名を連ねた研究者は2021年5月11日の時点で何と3665名に達しています。

 これは科学としての研究から逸脱し、もはや研究とはいえるものではありません。撤回要求をするところのこれら研究者は、研究者であると自称しながら、事実の問い合わせではなく、事実の存否とは関係なく、論文そのものの撤回を求めています。これは事実に関わる科学としての研究ではなく、もはや絶対に研究とは呼べません。

 また、科学としての研究は、特定の国家や民族に対して、軽蔑や憎悪の感情を掻き立てるためのものではありません。この撤回要求はそうした軽蔑や憎悪の感情を掻き立てることを底意としており、科学としての研究の目的からも逸脱しています。

 歴史の研究は解釈が重要になりますが、ある特定の国家や民族の事例を解釈するときには、公正を期すため、他の国家や民族の事例と比較することも研究上の良心として求められます。

 我々、国際歴史論戦研究所の研究員は、一般社団法人化を契機に、さらに広く世界に視野を向けて、いっそう事実に即したまさに科学としての研究に邁進し、世界人類の平和と発展に尽くしていきます。

 これまで当研究所に支援していただいた方には、深く感謝申し上げると同時に、今後とも引き続き厚く支援してくださるよう、お願い申し上げます。

以上