令和8年(2026年)5月26日
(一般社団法人)国際歴史論戦研究所(iRICH)
(1)笠原十九司著『南京事件』(岩波新書)には、南京事件が起こったとされる時期に南京で避難民の支援にあたっていたアメリカ人の女性宣教師ミニー・ヴォートリンに関して次の記述がある。
【「クリスマスがきた。街には、いぜんとして殺戮、強姦、略奪、放火がつづき、恐怖が吹き荒れている。ある宣教師は〝地獄の中のクリスマスだ〟と言った」とヴォートリンは日記に書いた。(「ヴォートリン文書」)】(1997年初版200ページ、2025年「新版」229ページ)(A)
ところが日本語にも翻訳されている「ヴォートリン日記」では、12月25日付けの日記に次のように書かれている。
【クリスマス・ディナーのときにサール・ベイツが、「地獄のクリスマス」と題して記事を書いているところだ、と言った。実際のところ、この金陵女子文理学院ではそのようなことはない。このキャンパスは多少なりとも天国である。】(B)
両者は「天国」と「地獄」であるから、両立し得ない。月刊誌『Hanada』7月号に掲載された茂木弘道・石井竜生・阿羅健一「岩波新書『南京事件』への重大疑惑」という論文にこの問題を巡って岩波書店と行った往復書簡が紹介されている。一次史料である「ヴォートリン日記」の記述(B)を隠して、反対の意味になる著者不明の他の文献(A)を使ったことについて、著者も出版社も答えることができなかった。著者が行った文献操作は学問的に絶対に許されない詐欺的な行為である。これにより、同書は読者に「南京事件」があったと刷り込むことを目的として執筆されたプロパガンダ本であることが明らかになった。
(2)同書初版には章のトビラの写真に、日本ではつとに有名な「慰安婦強制連行の捏造写真」が使われていた。これは『アサヒグラフ』の写真にキャプションを付け、日本軍の悪行に偽造した国民党側のプロパガンダ写真であった。このような旧敵国の戦時プロパガンダを無批判に鵜呑みにして引用する姿勢の中に、岩波新書『南京事件』の本質的性格が現れている。岩波書店は言い訳をして写真を削除したが、同書にはこの他にも多数の問題点がある。
笠原十九司『南京事件』は「岩波の権威」と新書版の手軽さから中学生・高校生を含む多くの読者がこれを手にとり、この問題に関心を持つ多くの読者に、誤った認識を与えてきた。さらに、現在も一社を除くすべての検定済み歴史教科書に「南京事件」が記述されているが、本書はその根拠の一つにもなっていると考えられる。
以上の通り、問題の重大性と影響力の大きさに鑑み、国際歴史論戦研究所は岩波書店に対して、同書の学問的誤りについて謝罪するとともに、同書を絶版とすることを要求する。
(3)南京事件は日本に対する戦争プロパガンダとしては「20世紀最大の嘘」である。21世紀もすでに四半世紀を過ぎた今、戦後の日本人を拘束した「自虐史観」の呪縛を根本から絶つ必要が生まれている。そのためには、今回の岩波新書の絶版要求をスタートとして、外務省のHPの記述の改善、歴史教科書の記述の根本的転換、対外発信など、南京事件をめぐる真実の普及に当所は今後も取り組んでゆく所存である。
以上
