本メールは一般社団法人 国際歴史論戦研究所(iRICH)にご支援下さった方々、当研究所の活動についてご理解いただいている方々に送信しております。
*** Topic ***
○第58会期国連人権理事会現地経過報告
○鈴木隼人衆議院議員が国連活動について国会質問
○最近の論説から
いつも当研究所の活動にご理解とご協力いただき有り難うございます。
○第58会期国連人権理事会現地経過報告
現在、第58会期国連人権理事会が開催されています。現地で活動している藤木俊一上席研究員の現地状況のレポートをお送りします。
現在、2月26日よりスイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催されている第58会期国連人権理事会に参加するため、フランスの小さな街・アヌマスに滞在しています。この人権理事会は約1か月間にわたり、4月4日まで開催されます。
この場所は、元弁護士の戸塚悦郎氏が「慰安婦は性奴隷だった」という虚偽の情報を発信し、それが世界に広まるきっかけとなった場でもあります。
私たちは2014年に、なぜこの虚偽情報が国連で事実として扱われたのかを検証するため、国連で調査を行い、その杜撰な仕組みを知ることになりました。
このような虚偽の情報は、慰安婦問題に限らず、夫婦別姓問題、皇室典範問題、LGBT問題、教科書問題、報道の自由問題など、多岐にわたるテーマで国連に持ち込まれています。こうした状況を受け、私たちは10年以上にわたり、国連での調査活動を継続し、左翼勢力による捏造や歪曲を監視し、適宜対応してきました。
現在、国連内では「中国のNGO」が勢力を拡大し、その影響力がますます強まっています。本来、中国国内には独立したNGOは存在しないはずですが、これらの団体はすべて中国共産党の資金によって運営されており、実質的に工作活動を行っています。最近では、これらの中国系NGOが、国連内で他国のNGOを公然とリクルートし、中国擁護のために多額の資金を提供している実態が明らかになっています。
今回、私は国連人権理事会の5つの議題について発言し、さらに、ジュネーブ市内の国際会議場において世界各国のNGO代表を招き、「ジュネーブ国際人権サミット2025」というイベントを開催しました。また、日本の保守系NGO2団体のサポートも行いました。
1つ目の団体は、「ギャンブル依存症問題を考える会」の代表・田中紀子氏と、沖縄のつきしろキリスト教会の砂川竜一牧師の活動支援です。砂川牧師は、ギャンブル依存の親から子供たちを預かり、里親として支援活動を行っています。
2つ目の団体は、「反差別グローバル・アライアンス」の代表・原健二朗氏のサポートです。彼は、ミャンマーの軍事政権による大量虐殺について国連で発言を行いました。
このように、日本の保守系団体は左翼勢力に約30年遅れて国連に進出し、今年で11年目の活動を迎えています。
この報告書を執筆している時点で、私はすでに3つの議題で発言を行い、「ジュネーブ国際人権サミット2025」も成功裏に終了しました。
人権理事会では、中国による周辺国への侵略や少数民族・宗教への弾圧、さらに、北朝鮮による拉致問題、核開発、日本に向けたミサイル発射の問題について発言しました。
また、両国に共通する問題として、福島第一原発のALPS処理水の海洋放出に関する根拠のない情報を拡散し、日本を貶めようとする動きについても強く抗議しました。
「ジュネーブ国際人権サミット」では、私は主催者として司会を務めるとともに、中国による日本および周辺国への新たな侵略手法について発言しました。他の6名の登壇者からは、パキスタンと中国による少数民族の弾圧・虐殺、ウイグル人弾圧問題、中国の南シナ海領有権問題など、人権侵害に関する報告がなされました。
その後、参加者全員をディナーパーティーに招待し、中国の人権問題や国連の問題点、中国系NGOの実態など、多くの重要な議題について意見交換を行い、有意義な時間となりました。
日本国政府の活動、中国、北朝鮮政府代表団の動きを以下、簡潔に記載します。
1. 日本政府の取り組みと発言
2月26日、生稲晃子外務大臣政務官は、毎年3回行われる国連人権理事会の最初のセッションだけ行われる「ハイレベルセグメント」において日本政府代表とし発言していました。ウクライナや中東、特にガザ地区、コンゴ民主共和国東部などで多くの人々が厳しい状況に直面していることに言及し、すべての人々の「人間の尊厳」が守られる世界の実現に向けた決意を新たにすると発言。また、基本的価値である自由、民主主義、人権、法の支配に基づく国際秩序が挑戦を受けている現状を指摘していました。さらに、中国の人権状況、特に香港、新疆ウイグル自治区、チベット自治区における自由、人権、法の支配の保護の重要性を強調していました。北朝鮮に関しては、拉致被害者とその家族の高齢化が進む中、拉致問題が一刻を争う深刻な人道問題であることを訴え、国際社会と連携して全拉致被害者の即時帰国を強く求めていました。
2. 北朝鮮の人権状況に関する審査
2024年11月7日、国連人権理事会の作業部会が北朝鮮の人権状況を審査しました。日本の尾池厚之大使は、日本人を含む外国人拉致問題について「基本的人権の重大な侵害だ」と述べ、一刻も早い解決を求めていました。また、米国や韓国なども意見を表明し、ロシアへの部隊派遣が国際法違反であるとの指摘をしていました。
3. 北朝鮮人権非難決議の採択
2024年4月4日、国連人権理事会は北朝鮮の人権状況を非難する決議案を採択しました。この決議案は、北朝鮮での広範かつ組織的な人権侵害を非難し、改善を促す内容が盛り込まれています。特に、住民の「知る権利」の侵害や、核兵器・弾道ミサイル開発への資源転用が指摘されていました。
4. 韓国の共同提案国復帰
2023年3月、韓国は5年ぶりに国連人権理事会の北朝鮮人権決議案の共同提案国に復帰しました。この決議案では、北朝鮮の「反動思想文化排撃法」に言及し、思想や表現の自由を抑圧する法律や慣行の見直しを求めています。
日本政府代表のロシア・ウクライナ問題に関する発言は、現状認識が極めて甘く、米国の前政権の方針を踏襲するという誤った対応をとっています。日本が単純にロシアを非難し、ウクライナへの資金提供を進めることは、結果的に「戦争を助長する行為」「人を殺すことに資金を提供している行為」となり、隣国ロシアとの関係をさらに悪化させる危険性をはらんでいます。
私は、日本はインドのように「どちらにも与しない中立的な対応」をとるべきだと考えます。日本の歴史を振り返ると、大東亜戦争への突入もまた、国際社会の圧力と外交の失敗によるものであり、現状はその過ちを繰り返す危険な兆候を示しています。こうした歴史的教訓を無視する日本政府の姿勢には、大きな失望を覚えます。
また、国連においても、ロシア・ウクライナ戦争では「ウクライナ支持」、イスラエル・パレスチナ問題では「パレスチナ支持」といった単純な二元論に基づく議論が展開されています。このような姿勢は、特定の国の利益を代弁するにすぎず、公正な国際秩序の構築にはつながりません。
現在の世界情勢は、日本が大東亜戦争に突入せざるを得なかった状況と多くの類似点を持っています。それにもかかわらず、日本政府が同じ過ちを繰り返そうとしていることは、戦後の誤った教育による影響が根深いことを示しています。日本は、感情的な対応ではなく、冷静かつ戦略的な外交を展開し、自国の利益を守るための独自の立場を確立するべきです。
以下は参考資料
第58回人権理事会 2025年3月19日
議題4:ウクライナに関する独立国際調査委員会との対話
石井芳実公使による声明 ジュネーブ日本政府代表部
副議長、ありがとうございます。
我々は、ウクライナに関する独立国際調査委員会の調査を評価します。
人権侵害や人権侵害の事例を特定し、責任者を処罰する上で、独立国際調査委員会の活動は重要です。
ロシアがウクライナに対して侵略を開始してから3年以上が経過しましたが、これは国際法の明らかな違反であり、国際秩序の根幹を揺るがすものであることを改めて強調します。
この間、病院、学校、発電所などの重要インフラに対するロシアの容赦ない攻撃により、多くの罪のない民間人が命を落とし、さらに多くの人が負傷しました。
日本は、3年間にわたり自国の自由と独立を守るために立ち上がってきたウクライナ国民の勇気と忍耐力に最大限の敬意を表します。
我々は外交努力を継続し、ウクライナで包括的かつ公正で永続的な平和が達成されるまで、ウクライナと国際社会と共にしっかりと立ち向かいます。
副議長、ありがとうございます。
(以下、発言の文字起こし)
Thank you, Mr. Vice-President.
We appreciate the investigation being conducted by COI on Ukraine.
The work of COI is important in identifying cases of violations or abuses of human rights to hold those responsible accountable.
More than three years have passed since Russia launched its aggression against Ukraine, which, we reiterate, is a clear violation of international law and shakes the very foundation of the international order.
During this period, many innocent civilians have lost their lives and many more have been injured by Russia’s ruthless attacks on critical infrastructure including hospitals, schools and power plants.
Japan expresses its utmost respect for the courage and perseverance of the people of Ukraine, who have been standing up in defense for the freedom and independence of their country for three years.
We will continue our diplomatic efforts and stand firmly with Ukraine and the international community until a comprehensive, just and lasting peace is achieved in Ukraine.
I thank you, Mr. Vice-President.
今後は、残る2つの議題について発言する予定であり、さらに、中国によるNGOリクルート問題に関する調査を継続していきます。
○鈴木隼人衆議院議員が国連活動について国会質問
鈴木隼人衆議院議員(自民党)が、2月10日の予算委員会にて、国際世論戦について外務大臣、官房長官に対して質問されました。質問では、国際歴史戦においては民間団体が手弁当で活動していることも紹介されました。当研究所もその一翼を担うものとして大変励みとなりました。
国際世論戦
https://www.youtube.com/watch?v=usV46mkw0Pw
○最近の論説から
2025年2月は藤岡信勝上席研究員が『Japan’s Holocaust』へ反論する活動を紹介する論説を寄稿しました。
https://i-rich.org/?p=2292
また、3月は研究所フェロー白川司氏に日本学術会議にまつわる最近の動向と、今後へ向けた提言を寄稿いただきました。
https://i-rich.org/?p=2303
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シヤ)コクサイレキシロンセンケンキユウジヨ
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