Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll English Edition | by M Kanzako and Akira Kashima | Jan 6, 2021
書評 神迫幹子・鹿島明[かんざこみきこ、かしまあきら、KANZAKO, Mikiko, KASHIMA, Akira]
この書評は、著者によるもので、自著の紹介を兼ねている。カナダでアイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』(1997年11月)が真実の歴史としてカナダ人に受け取られている状況で、日系カナダ人が真実の歴史を求めてこの著書を公刊した。著者2人は日本で南京事件の研究では泰斗と呼ぶべき阿羅健一氏らと緊密に連絡を取り、記述に間違いのないことを確かめながら、記述を続けていった。にほんでは南京事件の研究が進み、現在では日本軍による国際法に反するいわゆる南京事件は存在しなかったことがじっしょうされており、2023年には南京事件を実証する歴史史料は見当たない旨、政府が閣議決定をするに至っている。

Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll
著者、神迫幹子と鹿島明の共著による本書は、アイリス・チャンの『ザ・レイプ・オブ・南京』(1997年11月)に書かれている事実の歪曲や捏造を詳細に検証している。このようなチャンの本に対する反論書は日本語ではすでに何冊も出版されているが、英語での出版は初めてのことではないだろうか。
北米でベストセラーになり、多くの人々が今でもチャンの本を信じている現状を踏まえると、本書が出版された意義は大きい。
真珠湾で「騙し討ちをした日本」にルーツを持つことの罪悪感を感じていた日系人もいたことだろう。そして、再び日系カナダ人やカナダ在住の日本人は、「南京市民30万人を虐殺した」という嘘に基づく、罪悪感や贖罪意識を抱きながら未来永劫生きていかなければならないのか。そのようなことがあってはならない。そのためにも私たちは歴史を学ぶ必要がある。
Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』は私家版であるが、アマゾンで購入できる。要点が簡潔にまとめられており、本書の最後に掲載されている写真は当時の南京市の様子が手に取るようにわかる。読者自身が自分の頭で考える過程の第一歩となる一冊である。
書評
『Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』を出版した直後に筆者の家族に本書を読んでもらった。読後の彼の第一声は「高校生向きの内容ではない!」だった。それは『ザ・レイプ・オブ・南京』の内容が本書に引用されており、読むに堪えられない蛮行の描写に対する彼の素直な反応だった。同様に筆者の知り合いで、元高校教師で歴史を教えていたN氏にも本書を読んでもらったが、彼も高校生向きではないという感想を述べた。
オンタリオ州の高校で使われている教科書の記述の一部をここで紹介したい。
日本の指導者たちは、民間人を標的した激しい爆撃を命じて、何百万人もの死傷者を出し、また地上でも残虐行為を行った。中国の首都、南京では、6週間にも及ぶ大虐殺が行われ、この間、日本兵は30万人もの中国人兵士や民間人を強姦し、殺害した。日本軍は戦争中、化学兵器も使用した。これらの残虐行為により、米国をはじめとする西側諸国は日本に対する態度を硬化させ始めたのである。
( “Creating Canada: A History 1914 to the Present”, 2nd ed. McGraw-Hill Ryerson 2014, Unit 3, pg. 278)
『Creating Canada: A History 1914 to the Present』には6週間に及ぶ中国兵士、市民に対する虐殺、30万人に及ぶ犠牲者、残虐行為などの記述があるが、これはチャンの本と一致している。
「私が高校で教えていた時にはこのような内容はカリキュラムになかった」とN氏は言う。高校の教科書に前述のような記載があることもすぐには信じがたい様子だった。歴史を教えていた教師である彼が本書を読むことで、南京事件について興味をもち、自分自身で考えてくれることを切に願っている。
高校生以外にも『Making of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』の読者として筆者が想定していたのが、歴史を知らない日系カナダ人だ。本書を読んでほしいと思う理想の読者が、偶然にも筆者の友人のM子さんだった。両親が日本人で日本からカナダに移住、そしてM子さんはカナダ生まれである。彼女は、1997年にオンタリオ州議会に提出された南京虐殺記念日制定法案の成立を支持してた1人である。日本の残虐行為を信じて疑わなかったのだろう。彼女に本書の話をしたとき、「えー、南京虐殺は嘘だったの?」とただただ驚くばかりだった。
中国による情報戦はアジアを越え世界中に広がっている。当然ながらアメリカやカナダも例外ではない。カナダでは、2017年にオンタリオ州議会が南京虐殺記念日の動議を可決した。これは法的拘束力はなく、さらに、124名の州議会議員のうち採決に参加したのはわずか数十名というお粗末さである。しかし、「動議が可決された」という事実は情報戦、歴史戦において非常に有効な武器となる。2018年にはオンタリオ州のリッチモンドヒル市内の墓地に南京虐殺記念碑が建立された。この記念碑が建立されて以来、毎年12月に当地で慰霊祭が行われている。
本書は以前に出版された冊子「慰安婦って何?」からアイデアを得ている。チャン本の問題点を明らかにして、一人でも多くの人々に読んでもらいたい、という強い思いに動かされて本書の出版プロジェクトを立ち上げた。大規模で長期に渡る強力なプロパガンダに立ち向かうには、我々はあまりにも微力であるが、狡猾な欺瞞の呪縛から解放されるために何かせずにはいられない。M子 さんやN氏のような善良な人たち、何も知らない高校生が騙されているのに、何もしない、という選択肢はなかった。
本書の焦点をチャンの捏造本に当てたのは、それが西側英語圏では、一般の人々の間でよく知られており、歴史家やアカデミアの間で高く評価されているからである。本書では、短い記述であるが、詳しく知りたい読者のためにミニー・ヴォートリン日記や極東軍事裁判(東京裁判)記録等の一級資料に簡単にアクセスできるよう工夫している。特に若い人たちに自分の頭で考え事実とフィクションを見極める能力を養うことがどんなに大切かを知って欲しい。
今回、第2次世界大戦に関わり真実の史実の探求で著名な、麗澤大学のジェイソン・モーガン准教授にMaking of The Rape of Nanking: A Big Lie from World War ll』を読み込み書評をいただいたことに大変感謝している。その中に書かれたモーガン准教授の言葉に共感し、それをここで紹介したい。
“There are no taboos, dogmas, or epithets in historical work. Truth is the only standard, and the only goal.” (歴史的な仕事には、タブーも教義も蔑称もない。真実だけが唯一の基準であり、唯一の目標である)*
真実の史実の探求に時効はない。最終的には真実を求め、真実を語ろうとする人たちだけによって書かれるべきものだと思う。
日本が元気になれば世界が元気で平和になる、と信じている著者にとっての願いは、日本が真の独立主権国家として蘇ることである。その過程において、日本の歴史は他国の干渉抜きで日本国民が取り戻すべきものである。政治的な忖度や御用学者に用はない。
* Jason M. Morgan, A Massacre in the Making: Separating Truth from Fiction about Nanking, Subsack, July 26, 2034